第6話 定まりし運命

「あの子は身体に戻ったのか?」

おじさんの問いかけにイチルは頷く。


「そうか。よかったな」


「あなたに関しては、結果分かりきってるんであんまり面白くないです。さっさとシャワーを浴びて下さい」


イチルの言葉を聞いておじさんは不貞腐れた顔をした。

「面白くないとか言われる筋合いはねえんだよ。まぁ、あの坊主が帰ったなら気がかりもねえしな」


 そう言っておじさんがコックをひねった途端、ものすごい声の洪水が起こった。


「あなた! 目を開けてくださいよ」


「お父さん! お父さん、目を覚まして」


「先生ぇ! 死なないで」


 壁一面が小学生やその保護者と思われる親子で埋め尽くされた。


 隣の壁では奥さんと娘さんがベッドサイドに詰めて一生懸命手や足をさすっている。


「見た目に反して、ものすごい人気ですね」


「チッ、一言余計なんだよ!」


 おじさんはそう言うと照れたように頭をかきながら、とめどなく溢れる『生還を待ちわびる言葉のシャワー』を浴びた。


「さて、あと二人」

おじさんが実体に戻っていくのを見届けながら、イチルは言った。


 白い空間に残されたのは私とメガネをかけた少女。私は思わず彼女に視線を這わせた。


 真面目そうなその少女は、ガリガリに痩せた腕を恐る恐る上げる。

「あの……私……」


「どうぞ」

気づいたイチルは発言を促した。

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