第17話PTA会長やる事になりました

 末っ子もあと1年で小学校最後になる

 しみじみ考えていた

 田舎の小さな学校は私の母校でもあり同じ道を通う事になった

 子供たちにはちょっときつい坂道2.7km

 1番近い同級生の家までも2kmある

 時々車でその同級生の家の前まで送って行ったり迎えに行ったり

 あそこの犬がねとかあそこに野いちごが実っててとか毎日楽しい話を沢山聞いていた


 3月次の年の役員を決める為に集まった

 PTA会員が全員集まっても20数名新しく入った人を外してももうほとんどが会長経験者だった

 いつもなら2人いる副会長のどちらかひとりが会長をやる事になっていたけどその年の副会長の1人が会長を受けれないと言い出したらしい


 私は会長と副会長(母親代表)に呼び出された

「山基さんお願いがあるんだけど」

「なんですか?」

「会長をやって欲しいの」

「えぇ〜いやいや○○さんがする事になってたんじゃ」

「受けれないって言うのよ。もしかすると旦那さんの実家に行く事になるかもしれないから転校するかもって言われた」

 同級生の保護者は私と母親代表の副会長そして去年一昨年に転校してきた保護者意外は会長経験者で残っているのはシングルマザーばかり

 下級生の保護者も兄弟関係から経験者ばかりであとは2年目の保護者しかいない

 私たちが出てしまえば必然的にその人たちが役員を回さなければならないけど来年度は中学校区の連合会役員も当たっていて市P連の役員もやらなければならないらしい

 ちょうど市内の中心部へ仕事で通っている私がそういった会議や行事に参加しやすいだろうとのことで声がかかったらしい


 もう受けざるを得ない状況で引き継ぎを終えた

 最初の仕事は入学式でお祝いの言葉を言わなければならない

 あがり症な私は職場の朝礼で当番ですら緊張して上手く喋れないのだ

 小学生の時は作文などを発表する時に泣いていた位だった

 成長するにつれ治ってきたと思っていたが最近また発症したらしく声が震えて上手く喋れなくなる

 上手く喋ろうと思えば思うほど緊張してしまうのだ


 それなのに人前で挨拶をしなければならないことが何度もあるのは頭の痛い仕事が増えた

 それにやってみて気がついたのだがPTA会長は町内の色々な役員が付帯してくるのだ

 毎月1回か2回会議であちこち行かなければならない

 学校行事も目白押しだ

 そんなバタバタの中彼とも会う時間も限られてくる

 そんな1年の中で彼の転勤が決まってしまった


 年末大晦日は夜中から出勤して仕事する事になったのもこの頃だ


 忙しくて早く出勤しなければ行けない日には朝30分の通勤が辛くなり始めたので彼の家に泊めてもらうようになった


 早く寝るつもりで行っているのになかなか寝させてもらえないのは失敗したかなとは思ったけどそれはそれで楽しかった


 娘の小学校の卒業式が終わればこんな忙しい日も落ち着く

 卒業式の日やはりお祝いの言葉は緊張して娘が心配していたらしい


 卒業式が終わって春休みに入ったら彼が転勤した街に子供たちを連れて1泊旅行に行く事になっていた

 本当は私が車を運転して彼の住む街まで行く事になっていたが心配だからと彼が迎えに帰ってきてくれた

 バス停近くの駐車場へ車を停めて彼の車に乗り込む

 お城へ行ったり遊覧船に乗ったり展望台に登ったりした

 展望台は3階立ててみんなで階段を登っていく

 2階から3階へ向かう途中彼に止めれKissされる

 先へ行った娘たちが呼ぶ

「おかーさん、おじちゃーん早く上がっておいでよ」

「はーい」返事だけ返すのが精一杯


 ゆっくり彼と階段を登っていく

 階段を登りきるまでその手は繋がれたままだった

 いつまで私はドキドキしてなきゃいけないのかな


 楽しい旅行もあっという間に終わった






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