第4話 話せば長くなるのではしょります。でも長くなります

キスした

抱きたいって言われたのを思いっきり拒否したのに

なんて女だと思われただろう

私だって混乱してる

でもキスはしたかった


わかるかな〜わかんないだろうな〜

(これがわかる方かなりの年齢ですよ)



あのキスだけで十分いい思い出になる

なーんて思ってたらいつの間にか大仏さんと付き合うことになっていた

特に何かを言われたわけでもないのだが


2回目のデートの時に私の事を色々聞かれた

私山基芽茄(やまもとめいか)30歳

7歳、4歳、2歳の3人の娘を持つシングルマザー

ド田舎の実家(借家)で両親、妹、甥っ子(次姉の子供)と暮らしている

バツイチになった理由は

旦那の酒癖の悪さとギャンブル依存症と

義理の母との折り合いの悪さからだった

優しい人だったとは思う

そしてまぁまぁのイケメンだった

一回り上のその人がなぜ結婚していないのか不思議だった

結婚してみてわかるのだが、パチンコ屋の常連だったらしい

給料を全てつぎ込むこともあったらしく生活はカツカツだった

3人目の子供を身ごもった時訳あって婚家から出ていた

妊娠に気がつき途方にくれた私は仕方なく婚家に戻ったのだが、その後旦那の寄付金の使い込みや自家保有米を全て売られていたこと会社でも集金したお金を使い込んでクビになり生活保護まで受けることになった


3人の子持ちともなれば旦那もさすがに変わるだろうと思ったが酒、タバコは買えても子供のオヤツや食べるものを買ってこないなど身勝手な1面しか見えてこない

子育てに加えて同居していた義母がだんだん壊れていく

それを訴えても聞かない、見ないふりをする

義母に夜の生活の事までなぜ言われなきゃいけないのか

義理の兄が仕事をクビになった時もなぜか矛先が私に向いた

義兄がこんな状態でどうして結婚出来るのかと

何かと「あなたは私を馬鹿にしている。私に夫がいないから馬鹿にしている」と訳の分からない文句も言われた

旦那の父は早くに亡くなっていたのは承知で嫁いできたのにだ

嫁ぐ前に終わった基盤整備で田畑が整備され土地の所有が旦那名義になっていたのも私が入れ知恵したからだとまで言われた

財産狙いと言われた

貯金もない家だしそんな資産価値がある家ではないのにだ


そんなふうに見られているのがどうしようもなく辛かった


祖母の法要で帰るという理由で実家に帰りそのまま婚家には帰らなかった

何度が実家に電話が義母からかかってきた

その度に長女の名前しか言わない

次女、三女もいるのに


離婚調停もしたが別居期間の短さと旦那の方に元鞘に戻したいという願望が強かったのもありその時点で離婚にいたらず1年の別居期間を設けた

旦那からは毎月最低1万円の婚姻継続費を貰う約束になっていたがそれも3ヶ月程で途切れた

長女の小学校入学を期に離婚届を旦那の会社へ送った

自宅にはいないことを聞いていたから

旦那から女々しいくらい未練タラタラの手紙とともに離婚届が返送された


離婚後簡易裁判所に子供の入籍手続きに行ったら係の人に

「去年調停に来られた方ですね。ようやく離婚されるんですね」と言われた

いや調停委員に別居期間が短いからって1年我慢したんですけど

ムカムカ……今思い出してもムカムカする

とそこまでは話してないけど

色々大仏さんに話したことで少し落ち着いた


大仏さんは

「芽茄ちゃんちゃん側の話しか聞けないから判断はできないけどどうして3人も子供ができるまで我慢したの」


「それは愛してるの言葉に縛られてたから」

何かあると「愛してるから」を繰り返された今まで誰にも言われたことの無いその言葉は麻薬のように私の心を縛りつけていた


子供だったんだよね

結局

大人になって現実を知るとこれじゃ私は幸せになれない

子供たちを幸せにしてあげることもできない

苦労は買ってでもしろって誰かが言ってたけど3人の子育てと呆けていく義母と借金を繰り返す夫をひとりで支えるのは正直辛かった

自分は世界一不幸な人間だと思っていた


そんな世界から抜け出したかった

別れたいと切り出した時

義母と旦那から

「せめて長女だけでもおいで行け」と言われた

「3人を別けると言うことはできない。引き取るんなら全員引き取ってください」と言うと

「それはできない」

「なら私が全員育てます」


と子供たちも3人連れて帰った

子供たちのアルバムを持って出ようとした時

「写真全て持って出るのか!」と止められたので写真は一切持って出れなかった


だから娘達の小さな頃の写真がない

娘達には可哀想なことをしてしまった





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