第4話 新たな戦い

トイレットタワーの戦いの翌日、私はホームセンターでトイレットペーパーホルダーカバーを購入する。


早速取り付けてみるが………


まるでお婆ちゃんの家だよね…


だがしかし、伸一が私の為に少しは努力する姿を見せたこともあるから、私も多少は譲歩しなければいけないよね。


そう思い直し、トイレットペーパーホルダーカバーに替えのトイレットペーパーを補充する。


これで長かった私と伸一のトイレットペーパーを巡る戦いも終戦わ迎えることが出来るわね。


そう考えてから一週間……。


私が甘かった……。


私は、スカートとショーツを下ろし、下半身半裸で白い陶器の便器に腰をかけ、用を足したその解放感……からの激しい怒りと言う、感情のジェットコースターを久しぶりに味わっている。


トイレットペーパーホルダーの中には、筒状の厚紙…つまり、芯が残り、ホルダーカバーにあるあくまでも替えとしてそこに鎮座しているはずのトイレットペーパーに使われた形跡が………。


伸一……何故そこまでしてトイレットペーパーを替えるのを拒否するの?


私はそんな事を思いつつ、使用感のあるホルダーカバーに収まったブツを取り出すと、トイレットペーパーホルダーに残された芯を取り外して、交換を済ませる。


そして、洗面化粧台の下の扉を開き、新しいトイレットペーパーをホルダーカバーに補充……。


この作業をしてみて感じた事は、確かに少し手間ではある。


しかし、衛生面とその後に使う人、そう私のことを考えれば、たいしたことではないのはずよ?


そう思わずにはいられなかった私は、久しぶりにトイレットペーパーの芯を手にしつつ、伸一のデスクへ……


背後へと近づく私の怒りが足音から伝わったのか、歩み寄るそばから、


「え?ご、ごめん。」


そう謝意を口にする伸一。


しかし、そんな言葉は聞きあきている私は、


「伸一くん、何がごめんなのかな?」


そう問い直す。


すると、やはり自覚の無い彼は暫く思案した後、私の事を観察し、手に握られている、筒状の厚紙を確認すると、


「わ、分かりません……ってまたトイレットペーパー?」


そう意外そうに返してきたのだ。


私はそんな伸一に、


「あのねぇ、確かに手間かもしれないけれど、トイレットペーパーホルダーカバーに替えのトイレットペーパーは用意してあるわよね?直ぐそこにあるんだから取り替える位してくれないと……。」


私は怒りで顔を赤く紅潮させ、言葉を詰まらせていると、伸一は対象的に顔を青くして、


「そ、そうだね……はい。すみませんでした。今度から気を付けます。」


そう言って自分の愚かさを見直したようで、その場に正座をして謝意を示す伸一。


私は伸一のそんな態度に、少し怒りすぎてしまったかと反省をするが、けじめはキチンとつけないといけないと考え、


「本当に今度からお願いしますね。」


私はそう伸一に釘をさすと、自分のデスクへと戻る。


私は伸一と仲良く暮らしていたいだけなのに、何故こうなってしまうんだろう……。


本当はこんな争い何てしたくないのに……


そう哀しみを感じながら、その日は過ぎて行くのだった……







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