39色 パーティーの準備
パーティー当日、わたしたち4人はパーティー前の身支度を整える為に招待状の紙に記された場所に向かった。そこは、パーティー会場と同じ建物だけど別室という感じだった。
「ここだよね?」
わたしは地図を確認して確かめてから部屋をノックする。すると、扉が開かれてスーツの男性が嬉しそうに出てきた。
「おー!待ってたぞ!アオイ!…って…お前達もいるのか…」
わたしの後ろの3人をみた瞬間に分かりやすくテンションがさがる。
「誘っておいてその態度はなんだ?」
「お前は誘っとらん!」
我が物ズラでいうマコトにスズヒコは怒鳴る。
「まあ、そんなカッカなさるでない社長さん、わたしゃはお主の邪魔はせんからのう」
「桃山…確かにお前は邪魔しないかもしれないが…」
スズヒコはピンコの隣で眼をハートにしている女性を見る。
「お久しぶりですわ!スズヒコ様~」
「あ、ああ…久しいな…真白よ…」
スズヒコは分かりやすく冷や汗を出しながら眼をそらす。
「まあ、みんなを連れてきたのは悪かったと思ってるけど、成り行きでこうなっちゃったからさ。ごめんね」
わたしは一応スズヒコに謝っておく。
「いや、いいぞ。ワタシはお前が来てくれただけで満足だ!そこの目付きの悪い刀男は見えないことにするぞ」
「人を妖怪みたいにいうな」
「では、まずは身支度を整えるとしよう」
スズヒコは数人の女性を呼び、わたしとピンコ、そして、ミルクを別室へ案内させるようにいう。
「さて、黒崎よ」
「なんだ?」
「貴様の刀は一時没収だ」
「なに!?なぜだ!?」
「当たり前だろう!パーティーにそんな物騒な物の持ち込みを許可するわけなかろう!」
「あ、おい!
「別に盗む訳じゃない、一時没収ってだけだ!」
後ろでそんな会話を聞きながらわたしたち3人は案内された。
「仲良いのう」
それを見ていたピンコは隣で呟く。
案内された部屋は様々なドレスが飾られたり棚に掛けられていた。
「へぇー、すごいかわいいじゃないか」
わたしは飾られているドレスに寄り眺める。
「ほう、シーニさんが食いつくとは意外じゃのう」
ピンコは隣に立ち言ってくる。
「当たり前じゃないか、女の子はこういったものに憧れるものだろ」
「こんなの動きづらいだけじゃない」
「夢がないのう」
ドレスにまったく興味ないミルクにピンコはいう。
「天海様、余計なお世話だったと思いますが、こちらで天海様のドレスを用意させて頂きました」
案内してくれた女性の1人がわたしの前にドレスを持ってきてくれた。
「えっ!?わざわざ用意してくれたんですか!?ありがとうございます」
わたしはお礼を言ってそのドレスを確認する。
それは青色でスカートはワンピース寄りの動きやすそうなものだった。
「ほう、綺麗じゃのう。シーニさんに似合いそうじゃ。いや、似合って当然かもしれんがのう」
「え?そうなの?」
わたしはピンコに聞き返す。
「そりゃそうじゃろう、わざわざシーニさんを招待しておいてシーニさんのドレスを選んでないわけなかろう」
「へえーそうなんだ」
「そういうところは鈍いのう」
ピンコはわたしになぜかジト目を向ける。
「桃山様、真白様、お二人にもご用意させて頂いてます」
「お?わたしゃにもあるのかのう?」
「あら、気が利くじゃない」
二人にも用意してあったようでピンコは驚くがミルクはなんとも思っていない感じだった。
「すぐにお持ちしますね」
そういうと女性はすぐに2着のドレスを持ってきた。
「ほう、これはなかなか美しいのう」
「ふーん、動きやすそうじゃない」
ピンコにはベージュ色のドレス、ミルクには白色のドレスでわたしたちのと比べると動きやすそうな形をしていた。
「社長さんも意外と気が利くのう」
「さすがスズヒコ様だわ」
わたしたちは用意してもらったドレスに着替えてスズヒコたちの元へと戻った。
「おおー!!アオイ美しいぞ!!なんて麗しいんだ!!」
戻って早々スズヒコがテンションマックスで言ってくる。
「遅いぞ、いつまで待たせる気だ」
マコトは椅子にふんぞり返りながらいう。
「仕方ないだろう、ドレスに着替えるのに時間がかかるんだからさ」
「マコトさんや、まずは言うことがあるじゃろう?」
ピンコにいわれマコトはわたしたちのことを見回すと「ふん」というと口を開く。
「豚に真珠だな」
「な!?もっと言うべきことがあるだろう!?」
「まあ、分かっておったが、お主に女性を誉めるなんて無理じゃな」
マコトに突っ掛かるわたしと違いピンコは期待していなかった感じにいう。
「じゃが、マコトさんやお主の黒スーツなかなか似合っておるぞ」
「そうだね、似合ってるんじゃない」
マコトの黒いスーツ姿を見て誉めるピンコにわたしも一応誉めておく。
「当然だろう」
「うわ…うざ」
あまりに堂々というから反射的に言ってしまう。
「アオイよ、ワタシはお前をおはようからおやすみまで一生誉めて誉めて誉めまくってやるぞ」
「それはそれで気持ち悪いからやめて」
会話に入ってきたスズヒコをわたしは適当に流す。
「スズヒコ様~!是非、ワタクシと愛のウェディングロードを飾りましょう~!」
「お…おう、またの機会にな」
わたしたちがわちゃわちゃと話していると控え室のドアがノックされて1人の男性が入ってきた。
「失礼します。王真社長、準備が整いました」
「おお、わざわざすまないなご苦労だった。すぐに行くとしよう」
スズヒコはそう返すとわたしたちを連れて部屋を出た。
「お前達なら大丈夫だと思うが失礼のないように頼むぞ」
パーティー会場に向かう廊下を歩きながらスズヒコはわたしたちにいう。
「オーケイ、わざわざキミから誘ってもらったのにキミの顔に泥を塗る訳にはいかないしね」
「そうじゃのう、そこのところは気を付けるとしようかのう」
わたしとピンコはスズヒコに迷惑をかけないようにすることをいう。
「ええ、スズヒコ様に失礼な態度をとる輩がいたら蹴りを噛ましてやりますわ」
「お前が一番心配なんだよ」
「黒崎お前も大概だぞ」
「は!?なんだと!?」
ミルクに言った言葉がブーメランだと言われたマコトは本気で驚く。
パーティー会場の入り口前に着いたわたしたちは一度立ち止まる。
そして、スズヒコはネクタイを締め上げるとドアに手をかける。
「では、開けるぞ」
スズヒコの一言にわたしたちは頷くとスズヒコはそれを確認してドアを開けた。
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