カラーエブリデイ その3
38色 パーティーへの招待
「さて、今日の仕事はここまでかな」
いつも通り魔導具の開発の仕事を一通り終わらせたわたしは席を立ち伸びをして硬くなったカラダを伸ばす。
ポットに水を入れて沸かし茶葉の入ったティーポットに移しかえ少し蒸してティーポットを少し横に振り『の』の字を描きながら紅茶を淹れる。
なんて手順を踏みながらも正直味にこだわっていないわたしは少し適当な手順で淹れた紅茶の匂いを嗅いで落ち着く。
「ふぅー」
紅茶を一口飲んで一息ついた。
ピンポーン♪
すると、インターホンの音が部屋に響いた。
「!?」
今日は誰かくるっていっていたっけ?それにミズキとランが帰ってくるにしても時間が早いよね?そんなことを考えながら玄関に行きトビラを開ける。
すると、灰色のスーツをきた背の高い男性が青い花束を持って立っていた。
「やあ、アオイ、久しいな」
「スズヒコ!」
意外な人物が扉の前に立っていてわたしは驚いたが、彼は気にせずに手に持っていたモノを渡してくる。
「アオイよ、お前の為に青いアネモネを持ってきたぞ」
「へぇー、キレイじゃないか、ありがたく受け取っておくよ。で、今日はなんのようだい?」
渡されたアネモネをありがたく受け取り要件を聞く。
「相変わらず、ワタシの気持ちは流すんだな」
「何度もいってるけど、わたしの答えは『ノー』だからね。愛しの弟と妹がいればいいからさ」
「まあ、いいさ。いつかお前のハートをガッシリと掴んでやるぞ」
スズヒコは「さて」と言葉を続けると渡してきた花束を指差す。
「ワタシの要件はそれだ、開けてみるといい」
「え?これ?てっきりキミの痛い愛のメッセージが書いてあるのかと思ったよ」
「うぐ…相変わらず手厳しい…」
わたしの一言にダメージを受けているスズヒコを無視してわたしは花束の中にあった紙袋を開けると1枚のチケットの様なものがはいっていた。
「これは?」
「それはワタシ達の会社などが参加するパーティーの招待チケットだ」
「パーティー?」
「ああ、様々な会社が集まる親睦会を踏まえたパーティーなんだが是非ともアオイお前にも参加してほしいとのことだ」
「え!?なんで!?」
唐突にそんなことをいわれわたしは驚く。
「他の会社の御偉いさんが是非とも『天海 葵に一目会ってみたい』とのことだ」
「なんでわざわざご指名?」
「何故ってお前は魔導具の発明でかなりの実績があるだろう?それで業界では名が知れ渡っていることぐらいお前も知ってるだろう?」
わたしの疑問にスズヒコは逆に疑問に思った感じで聞く。
「え?そうなの?」
その返しにわたしも首を傾げる。
「アオイ…まさか、本人が知らなかったのか?」
わたしの反応にスズヒコは眼を見開くように驚く。彼の反応を見てわたしはマジなのだと逆に驚く。
「あ…そんなんだ、正直そういうのに興味なかったからしらなかったよ」
「まあ、お前らしいといえばらしいか…」
わたしが本当に知らなかったという反応をみたスズヒコは溜息混じりにいうがクスリと笑う。
「そういうことだからアオイお前に是非とも参加してほしいんだ。ドレスとかなら安心しろパーティーはワタシの会社の所有する会場で開かれるからそこで用意しよう」
「ちょっとまってよ!まだ参加するなんて一言も…」
スズヒコはわたしに構わず説明をする。
「詳しいことは一緒に同封した手紙に書いてあるからな。すまないがワタシはこの後仕事があるもので失礼するぞ。では、待ってるぞ」
「ちょ、ちょっと!」
要件だけいうとスズヒコは去って行ってしまった。
「…なんだよ、いうだけいって帰るのかよ」
わたしは愚痴りながらも手紙の内容を読む。
そこには、日にち、場所、どんな名目のパーティーかなどが書かれていたがわたしはある文に目が止まる。
『参加者の御家族、御友人、何名でも参加可能』と書かれていた。
「家族と友人何名でも参加可能か…」
「スズヒコさま~!」
なんてわたしが考えていると誰かがこっちに地響きを立てるかのように走ってきた。
「ミルク!?」
「アオイ!スズヒコ様はどこにいるの!?隠しても無駄よ!」
白い胴着をきた女性が出会い頭にわたしの肩をゆさゆさと揺さぶる。
「ぬわッ!ちょ!ちょっと!お、落ち着いて!」
「落ち着いていられるものですか!アオイ、アナタの持ってるその手紙からスズヒコ様の気配がするわ!」
「あいかわらず、鋭い勘だね…。でも、スズヒコはこれだけ渡してさっさと行っちゃったよ」
わたしは手紙を見せてミルクを落ち着かせる。
「なっ!?パーティーへの招待ですって!?抜けがけは許さなくってよ!」
逆に火を着けてしまったみたいだ。
「ここ見てよ、ここ」
わたしはある一文を読ませる。
「『御家族、御友人何名でも参加可能』?」
「そうそう、だから、ミルクも一緒に行こうよ」
わたしはミルクを落ち着かせる為にいうと眼を輝かせる。
「ええ!是非とも参加させてもらうわ!」
ミルクはわたしの手を取り嬉しそうにする。
「なんじゃ?随分と騒がしいのう」
「近所迷惑だ、静かにしろ」
ミルクの背後から声が聞こえ、わたしはミルク越しに見ると腰にカタナを掛けた黒髪の男性とホウキを持ったピンクの色の髪の女性がいた。
「二人まで…タイミング良すぎでしょ」
わたしはある意味運命力でも働いているんじゃないかと思うくらいの集まりの良さに苦笑いする。
「ほう…なんとなくシーニさんの研究所に遊びにきたが、なかなかいいタイミングじゃったようじゃのう」
状況を見てなんとなく察したピンコはニヤニヤとする。
「アオイ、魔道具がもうそろそろ出来上がってる頃だと思って来たぞ」
マコトは状況を気にせず言ってくる。
「とりあえず…三人とも中にはいって」
わたしは急に騒がしくなった場を抑える為に中に移動させる。
「なるほど、大手会社が集まるパーティーのう面白そうじゃのう。もしかしたら、医療関係の方も居るかもしれんのう」
「そんなパーティーがあるなら警備も厳重だろうな」
中にはいってスズヒコから貰った招待状をみせると二人はそれぞれの分野で興味があるみたいだ。
「なら、せっかくだし二人も参加する?」
「では、お言葉に甘えて参加させてもらうかのう」
「俺も上に報告の後参加しよう」
わたしたちはパーティーに参加することを決めた。
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