13色 三つの試練の先に

 トビラをぬけると小さな小部屋みたいなところに出た。


「アカリ!クー!」


 そこにはマルとシーニが先にいてわたしにかけよってきた。


「よかった無事だったんだね」

「なかなか来ないので心配しましたよ」

「うん、ごめんね」


 わたしを心配してくれた二人に謝るけどわたしは二人の姿をみて驚いた。


「二人ともどうしたの!?マルは服と顔が汚れてるしシーニは顔をケガしてるよ!?」

「ああ、これ?ただのかすりキズだよ」

「ええ、ちょっと体の節々が痛みますが、大したことありません。まあ、寝れば治る奴です」


 わたしの心配をよそに二人はまったく気にしていない様子。


「だ、ダメだよ!帰ったらしっかり病院に行くんだよ!」


 わたしは二人の手をとっさに取る。


 すると、急に二人のカラダが白くヒカリだした。


「え!?」


 三人同時に驚いているとシーニの顔のキズがキレイに消えてしまった。


「シーニ!顔のキズがなくなったよ!」

「え!?」


 シーニは反射的に自分の頬を触って確かめる。


「キズが治った!?どういうこと!?」


 シーニは驚いている。


「キズだけではないみたいです」


 そこにマルが言葉を挟んだ。


「私の体の痛みもなくなっています」

「え!?」


 その言葉にもう一度驚いてしまう。


「アカリなにをしたの?」

「え?え?わ、わかんない!」


 シーニはわたしに聞いてくるけどわたし自身が一番よくわかっていなかった。


「まあ、とりあえず落ち着きましょう」


 ちょっとパニックになっているわたしをマルが落ち着かせる。


「恐らくですがこれは《治療魔法》だと思われます」

「ちりょうまほう?」

「アカリそんな難しい魔法を使えたんだね」

「え?そうなのかな?」


 わたしは頭がこんがらがっていた。


「いえ、多分ですが《無意識》に使ったんだと思います」

「むいしき?」

「意識の外つまり自分でも気づかぬ内に使っていたってことですね」

「えーっと?」

「解りやすく云うと息をするのは無意識ですよね?そうゆうことです」

「なるほど、なんとなくわかったよ!」

「無意識とはいえアカリに治療魔法の素質があったとはね」

「そうなのかな?わたしもしらなかったな」


 そんなことを話していると部屋の壁にトンネルみたいな空間が出てきた。


「なにかでてきたね」

「全員そろったので通れということでしょうか?」

「じゃあ、行ってみようか!」

「ピュルーン♪」


 わたしはトンネルにかけよる。


「アカリ、一応警戒は怠らないで下さいね」

「そうだよ、まだナニかあるかもしれないしね」


 二人に注意されてしまった。


「う、ごめん。気をつけるね」

「解ればよろしい」


 反省したわたしに二人は息ピッタリに返す。


 そして、わたしたちはゆっくりとトンネルにはいっていった。



「なんだか奇妙な感じですね」


 トンネル内の階段のようなモノを上りながらマルがいう。


「そうだね。ここが今高い場所なのか低い場所なのか認識出来ないもんね」


 シーニのいう通りこの場所はなにもない空間に階段のようなモノを上っているけどまったく進んでいる感覚がしなかった。


「でも、なんとなくだけど出口には近づいている感じはするな」

「はい、ゲームでいうところのラスボス戦前の長い階段ですね」

「戦闘は正直もうこりごりだな」

「確かに出来れば話し合いで済めば一番いいですね」

「なんか…フラグ発言っぽいね…」

「大丈夫だよ!『ラスボス戦 みんなで挑めば こわくない』だよ」

「めちゃくちゃビンビンに立ちましたね」


 大丈夫だよ!とゲンキよくいったわたしをなぜかマルがツッコム。


「あ!みて二人ともナニかみえてきたよ」


 シーニが階段の上を指すとそこには大きなリングの輪のようなモノが浮いていた。


「ここを潜れと云うことでしょうか?」


 マルは警戒しながらリングを観察する。


「わたしが先に行ってみようか?ここは年上のおねえさんの威厳を魅せるところだね」

「いえ、全員で手を繋ぎ一緒に入りましょう。大丈夫だとは思いますが、もしかしたらまた離れ離れにならないとも言い切れません」


 マルは「それに」と言葉を付け足す。


「御嫁に行く前の女性に危険な目に合わせる訳にはいきませんしね」

「ありがとう、でも、残念ながらまだ貰ってくれる人はいないけどね」

「え?シーニってカレシーニさんとケッコンするんじゃないの?」

「ええ!?違う!違うよ!マコトとはただの腐れ縁ってだけで別にそんな関係じゃないよ!?」


 シーニは慌てて両手をブンブンと振る。


「それに、わたしには愛しの弟と妹がいるから結婚なんてしないよ!」

「まあ、そういうことにしておきましょうか」

「え?どういうことにするの?」

「アカリにもそのうち解る時がきますよ」

「本当に違うからね!?そんな孫を見守るおばあちゃんみたいな顔しないでよ!」

「分かってます。分かってますとも」


 マルは本当に孫を見守るおばあちゃんみたいなことをいう。


「では、行きましょうか。エスコートの練習にもなりますしね」

「目的が変わってるよ」

「よーし!行こう!みんな!」


 わたしは二人の手を握りリングの輪にはいった。


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