第7話 遺志を継ぐ者達

「────ツニ!」


ダリングを麻酔で眠らせた後俺たちは喉が張り裂けそうな声を出してツニの元に駆けつける。


仲間が死んだ。その真実さえ受け入れられずに


何で、なんで、なンで、ナンで──と頭が廻る、回る。


でも、それでも。


俺たちなんかよりずっと辛いのは


「あ──あぁ────」


ヴルサだろう。

彼女とツニは長い間いてその中でもツニは彼女を"異性"として扱った事はなく、ただ──


"何の変哲もない友人"として彼女を大切にしていた


「何泣いてんだ、バカ。俺が死ぬぐらいでそんな大袈裟な」


「だって……、だって────!」


「俺だって死ぬのは嫌だぜ?でもよ、仲間が死ぬのはもっと嫌なんだ」


優しい笑顔でそっとヴルサに微笑み、そして最後の言葉を紡ぐ


「無事ならそれでいい!俺の事なんて忘れてさっさと外に向かえ!」


それに続きツニの発言を擁護するようにリッキーが帽子で視線を逸らして

「もたもたしていたら増援が来る、俺だって悲しいが後悔なんて後からいくらでもすればいい」

とツニの死で立ち止まっていたみんなの意識を取り戻す。


ツニを担いで運ぶ事も考えたが心臓を撃たれてて治癒は絶望的だとリッキーは判断した為その案は撤回された


四角い空間、そして周りには4つのドアがあるがどこから出ればいいのか、そして空くのかどうかすら分からない。


そんな俺たちを見てリッキーは事前に奪取しておいた鍵と外へのルートを確認して南方向のドアをカギで開ける。


俺達もヴルサもさっきまでツニが死ぬことを嘆いていたが、ツニの想いを無下にしてはいけないと先に進む覚悟を決めた。


「じゃあな。今まで楽しかったぜ」


俺はツニに別れを告げる。返事を期待して後ろを振り返っても、そこにあったのは既に屍で、幸せそうな顔をして息を引き取っていた


「──まったく、なんて幸せな顔をしてやがる」


***


ドアの外に出てみるとまるで迷路みたいに入り組んでいる廊下。それでいて「緊急事態発生、囚人たちが脱獄を試みている模様。直ちに捉えよ」とうるさいぐらいにアナウンスが鳴り響く。


「ハハッ!これじゃもう後戻りなんか出来ねーな!とっとと出てやるぜ」


そういえば、今日は看守の数が少なかった。


……ということはまだどこかにいるのだろうか?


「な、看守ってあれだけなのか?前はもっといた気がするが」


「あぁ、もちろんいる。だけど昨日から新隊長のミヤと共に戦場に出向いたようでな」


おそらく人員がそれに向けられたのだろう。だからここにいる看守はさっきので全部。


しかし、リッキーが言うには処刑はダリングの独断との事。多分ミヤが聞いたらおそらくブチギレてただろうなー……


「大方独断だと思ったよ。ダリングっていっつも勝手にやってサンクシンとかに怒られるからさ」


ヴルサも呆れるほどだ。サンクシンやミヤにとっていい事をやろうとするが、怒られる。皮肉でしかない


あと道案内の方はリッキーがやってくれて何とかいけそう


***


出てきたのはまっすぐな通路。その奥に扉のロックを解除する機械みたいなのがある


「ここが出口のはずだ、後は扉を開くだけ──」


その瞬間。再び警告音が鳴り響く──


〈警告、出口付近に未登録の身体反応あり。これより出口付近を封鎖し、猛獣を解放します〉


そして後ろの壁の中からライオンが1匹──否、次々と出てくる


「なっ!?猛……獣……?」


「こんな事聞いてないぞ……」


リッキーが冷や汗をかく。事前調査に出口付近には防衛プログラムが無いと聞いていたからだ


つべこべしていては食われる。だから──


「みんな走れ!あの機械のパスワードは分かっている!だからあそこまで走れ!」


俺たちがいる距離とライオンがいる距離はだいぶ離れているため、余裕でたどり着けるが扉が開くスピードによって終わりかねない。


だから早く────


「ボクが扉を開ける、もちろん後で合流するから!で、リッキー。パスワード早く教えて!」


イルウィが出口を開ける役を担うそう。この中で一番足が早いのはイルウィだ。だから時間短縮になりうる


「パスワードは8686!頼んだ、イルウィ!」


「ああ!任された!8686……おっけ!開いたみたい!」


「よし、全員連れ出せたからイルウィも早く!」


「もちろん!」


俺達は出口の扉が開いたことを確認して、パスワードを打っていたイルウィと一緒に外へ出ようとする。


外には閉めるボタンもあって出た後はすぐ閉めれば問題ない。


これでやっと、外の世界が見れる。その期待を膨らませてイルウィを待っていた。


────が。


「────え」


イルウィが出ること無く、ドアが閉まる。


ドアの中で悲鳴とライオン達に食いちぎられるような音がする。


そして希望に溢れた顔が一瞬で絶望に変わる。


俺も、ヴルサも、リッキーも。


それにおもわず俺は叫びをあげる。


「イルウィ────!!」


涙を交えながら濁ったような声で。俺たち三人以外誰も聞こえてない野原の上で、その叫びを。


何故閉まった?誰か触れたのか?


無論、誰も触れていない。


となると……


「()」


────にしても


「別れの言葉を言えなかった……!さっきまでいつも通りだったのに……!」


リッキーは帽子で泣いている顔を隠し、ヴルサも我慢出来ずに泣きじゃくって、俺も救えなかった無念と別れの言葉を言えなかった悔しさを地面に叩きつける。


それでも、彼らは生き返らない。


後戻りも出来ない。


彼らに出来る手向けはただ、進むことのみ。


────この残酷に満ちた世界を。


































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