第4話 分岐点はそこに
〈食堂〉
「ごめんね〜……リッキーは気に入ったヤツの股間蹴る癖があってさ」
「すまない……」
あの後看守も何事かとトイレに駆けつけてきたが事情を説明して少し怒られた後食堂に戻された。
***
〈引き続き食堂〉
「アラン、2人ほど紹介したいヤツがいる。付いてきてくれ」
「そういえば紹介してなかったね!さ、行こ行こ」
食堂で少し雑談をした後に唐突に言われ、
困惑しつつもイルウィに手を引かれて半ば強制的にどこかに連れていかれる
「わ、ちょ、ちょ!」
無論そりゃこんな声も出る
***
「というわけで!二人とも自己紹介よろしくぅー!」
目の前には20代ぐらいの黒髪リーゼントの不良みたいな人とそいつと同じぐらいの年齢の銀髪センター分け風のメガネのイケメンがいた。
そして先に不良の方が手を差し伸べる
「ああ?新入りかぁ、よろしくな」
「よろしく。俺はアラン」
「アランか!俺はツニ。そんで俺の隣にいるコイツはヴルサ」
「ま、仲良くやってこや!何か相談事あれば乗るぜ?」
そして自己紹介はヴルサにバトンタッチされ、ため息をつきながら答える
「まったく──深い自己紹介というのは苦手でね」
「簡単な自己紹介で済まさせてもらうよ」
彼は自分の情報をあまり出したくないようだ。
おそらくそういう性格なのだろう
「好きな食べ物は無し、趣味も無し」
「見ての通りのヴルサだ。これでいいだろう?」
ヴルサは見た感じ早く帰りたさそうだった
自分に何か非があるのだろうか?
と疑問を呈しているとリッキーが「(お前のせいじゃない、後で事情を伝える)」と小声で耳元で語りかける
「ああ、それで構わない。それはそれとして早く戻りたかったのにツニに無理やり連れていかれた事で
ふてくされているのか?」
「そうだ、必要な事は済んだから戻らせてもらう」
そういいながら彼は不機嫌そうに自分の牢に戻って
行った
それでもみんな全然戻って大丈夫みたいな
顔をしている
そして彼がしばらくしておそらく戻ったであろう時刻を見計らってリッキーがツニに説明をするようにお願いする
「あいつはなァ……全然自分の事を語らねーんだよ」
「さっき部屋に戻るつってたのもおそらく読み残した漫画雑誌とか読むためだろ」
「後好きな食べ物は無いって言ってたが食堂で
こっそり塩ラーメン食べてるのを見た」
話を聞きながら水を飲んでいた俺はその言葉を聞いてつい吹き出してしまった
「ゲホッゲホッ…、誰かティッシュねえか!?」
「ほらよ」
「ありがとな、ツニ」
「てかやっぱお前も吹き出したかw
これで全員この話で吹いたって事になるな」
俺はまだ心の中で「塩ラーメンw塩ラーメンてw」と笑いを引き摺らせていた
にしてもギャップが面白い。
***
〈食堂の外、看守に手錠をかけられて話を見守られる〉
俺たちは看守にガチャリと手錠をかけられて、身動き出来ないままみんなと一時の別れをつげる
「今日は楽しかったぜぇ、また明日食堂でな」
「もちろん!」
俺はツニとリッキーに別れの挨拶を済ませ、イルウィとの牢に戻る
***
〈アランとイルウィの牢にて〉
窓から月明かりが少し照らす
そんな牢にて男二人は談笑する
「今日は楽しかった?」
「ああ、リッキーとのあの話の時は寧ろヒヤヒヤしてたが一日で見ると楽しかったな」
「わーい。それならよかった」
そして俺はタイミングはここだと確信しイルウィに疑問に思ってたことを質問する
「そういえばイルウィってさ」
「うん」
「どうしてここに入れられたんだ?」
それをイルウィに訊くと顔を曇らせ難しい顔をした後質問に答える
「ここの住民でさ、そん時くしゃみと鼻水がよく出てて」
「道歩いててティッシュ無くてそんで道端にあったよく分からない紙?を拾って鼻かんで捨てたらそれが
暗殺隊の作戦が書いてるやつだったらしくて捕まっちゃった☆」
「……もしかしなくてもバカだったりする?」
「お褒めの言葉いただいたぁ!」
「褒めてねぇよ!?」
***
〈薄明かりのサンクシンのマイルーム〉
「今日も次から次へと国交問題だったり銃の輸入問題等で休む暇なんてありゃせん」
サンクシン氏、今日も残業10時間越え
強制ではなく自分で請け負ってやってるからえらい!
────コンコンコン
おーっと!そんな絶賛社畜隊長に客人が
いらっしゃったようだ
「私は忙しいと言うのに……こんな夜遅くに誰だ?」
サンクシンが入れという前に入り、瞬間的に
サンクシンの横に移動し謎の人物が銃を持ち佇む
「何の真似だ?ブ────」
彼が言い切る前に脳髄と体躯目掛けて弾丸が打ち出され、命中した
さて、この死体をどうしようか
何者かは形跡等でバレてはまずいとある方法に出る
***
〈数時間後、深夜の食堂にて〉
「明日はカレー作ろうかしらねぇ」
少し太っていて髪にリボンが特徴的な彼女はここの料理長、スモ。深夜に仕込みして囚人達に美味しい料理を振舞っている
彼女の料理は隊長から囚人までここの人々に好評だ
「肉は冷凍庫、野菜は野菜保存庫にあるはずだけど
どうかしら?」
「そういえば肉が昨日で全部使い切っちゃってる
わね……、どうしようかしら」
彼女が少し考えているとテーブルに肉塊の入った袋が置いてあった
「……何の肉かしら?これ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます