第2話

「名前は」

面接官のうちの一人がボクに聴いた。

「権三郎忠実(ごんざぶろうただざね)」

ボクが真顔で答えた。

「おちょくってると一族郎党皆殺しにするよ」

「かまいません。いえ、むしろお願いします」

ボクがそういうと、面接官たちは困ったような

顔をして互いに目を見合わせた。

「前職は何だね」

「漫才師をやっていました」

「コンビ名は」

「移ろうこの世、あの世です」

「知らんな」

「だってウソだから」

ボクがそう言うと、面接官たちが一斉に

握っていた鉛筆をボキッと折った。

「キミは我がホテルに入る気があるのかね」

面接官の一人がボクに聴いた。

「ありません」

ぼくはキッパリと言い切った。




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