彼女に浮気しているところを見せつけられたけど、特に何も言わなかった。(仮)

第14話 後輩

舞台は戻って、玲のアパート。

「･･･････」

ﾓｸﾞﾓｸﾞﾓｸﾞﾓｸﾞ

「･･･････」

ｺﾞｸｺﾞｸｺﾞｸｺﾞｸ

「･･･････」

「ぷはー！ごちそうさまでした！なにこれめっちゃ美味いんですけど？もしかして玲先輩ってば、料理は天才なんですか？うちにお嫁に来ません？」

なにこの子。なんか、食ってね？

「････ねぇ瑞凪ちゃん」

「なんですか？玲くん」

ﾋﾟｷｯ。

「何してるの？玲くんの家で。てか料理はってなに？！他は凡才以下とでも？！」

「いや何してるって、見れば分かるじゃないですかー。フライパンに余ってたチキンライスをすこーし頂いただけですけどー？てかさらっと玲くん呼び受け入れてるね」

「いやまぁ呼び方なんて何でもいーけどもさ。････美味かっただろ？」

「････控えめに言って至高の逸品かと」

お互いにサムズアップを見せ合う。なにこの子、楽しいですわ。

いやまって瑞凪がけっこう余ってたチキンライスを全て平らげたとかそんなことはいいのよ。めっちゃ食うやん、今度何か作ったげよ。

いや違くて、なんでいるん？あとなんで俺のアパート知ってるん？え来たことないよね？

「なんですかその目はー？右目の瞳孔に「なんで俺のアパート知ってるん？」て書いてありますよー。見え見えです。」

あれ？伝わった。えてか瞳孔？右の？まじかよすげーなこの子、目いいな。

「･･･じゃあ左の瞳孔にはなんと？」

「･･･ずばり、「なんでいるん？」です！！」

お互いにサムズアップを見せ合う。なにこの子、化け物ですわ。

「それで？答えて貰えますかね。なんで来たのよ？」

「いやなんで来たって、ちょっと待っててください！って言ったじゃないですかー！それなのに勝手に電話かけてるし！待てもできないんです？ワンちゃんでもできますよ。･･･やはり料理だけか、。」

あれ？なんだろ、帰って欲しい。

「ちょっとまてぇぇぇ！えなに、来たのって俺をからかい殺すため？だとしたら目的達成だよ！！」

「んーまぁ、そんなとこですね♡」

なにこの子。帰らないかなぁ。

「てか待っててってそういう意味かよ。伝わらんよ。スマホ奪って勝手に出て勝手に切るしさー。あてかスマホそろそろ返そうね。」

「それは嫌です」

なにこの子。返らないかなぁ、スマホ。

「じゃあなんで俺の家知ってるんですの？来たことないし場所も教えたことないよね？」

「それはー･･･、秘密です！♡」

･･･ん？は？

「女の子は秘密があるくらいがちょーどいいんですよー。秘密で女の子は輝くのです！！」

瑞凪がサムズアップを見せてくる。今じゃねえのよ。

＊＊＊

「ところで瑞凪さん、電話してから来るまでが早すぎない？君の家そんなに近いの？」

「いつから私が自分のアパートから来たと錯覚していたんです？あとなんでもいいですけど、さん付けやめてもらえます？距離ができた感じがして台パンしそうになります。」

こっわ。なにこの子、野蛮ですわ。てか今拳を振り下ろそうとしたよね。しかもそれ俺の発言じゃなくて、君が今やってるモン狩のせいだよね。

「えじゃあ大学にいたの？意外だな」

まぁ大学にいたのならあの早さも納得だな。

「どーゆー意味です？私こう見えて評定けっこう優秀なんですよ？GPA3.00超えてますし。まぁアパートから来ても同じくらいの時間で着けますけど」

「いやだって瑞凪のことだから、昨日モン狩買ってから寝ずにやり続けて、大学も行かず没頭すると思ってたから。てか割とご近所さんかよ」

「必修科目の出席がちょっとあれでして･･･。てへ♡」

てへ♡じゃないが。なにこの子、あざとかわいい。

それはそうと、めっちゃモン狩の音聞こえる。やーばい、楽しそう。欲求不満(モン狩)になってきました。

そんな俺の心を知ってか知らずか、瑞凪が声を発した。

「ところで玲せんぱーい？先輩はモン狩やらんのですかー？いつもみたいに一緒にしましょーよー♡」

「･･･うむ。ところで俺の相棒〈闘蟲棍〉君は今作どんなよ？」

「んー、機動性は爆上げですけど火力の方は、まぁ言っちゃうと虫の息というかそんな感じでーす」

「まじかぁぁぁぁー。じゃあ他の武器種メインにするかー？･･･てか上手いこと言うな。」

「玲先輩オールラウンダーなんですし、無理に〈棍〉にこだわらなくてもいーと思いますよー。ちな〈軽弩〉は相変わらずの火力です」

「相変わらずの火力かぁ･･･。遠距離武器担ぐのもまぁありか。とりま全武器種見てみてって感じかね。ガンナーの瑞凪には悪いけど、他の武器担いでみてくれん？効率良く動き見たいし」

「私も別にどれでも使えますし大丈夫ですよー。確かにふたりで別々の武器担げば、1回で2種見れますしねー。でも見るだけで大丈夫です？」

「ん？まぁ見れば大体は分かるでしょー、じゃよろしくね相棒」

「さすが相棒先輩、モン狩に関しては天才でしたねー♡」

ふたりは高校の頃からのモン狩仲間である。瑞凪は最初やっていなかったが、玲が大好きだと聞いて始め、それから一緒にやっている。

両者ともに全武器種を平均以上のクオリティで扱えるが、どちらかと言うと玲は近接、瑞凪は遠距離が得意だった。

得意分野が分かれているため非常に相性が良く、長年の付き合いから来る阿吽の呼吸で、流麗なプレイができることが楽しかった。それ故に両者ともにふたりで一緒にモン狩をするのが好きで、日常ではともかくモン狩の中ではまさに「相棒」という関係だった。

しばらくプレイし、全武器種の試運転がこのクエストで終わるというタイミングで、

「ねぇ玲先輩」

「んー？あ粉塵？はいらないでしょその体力。どした？」

「私、日曜日駅にいたんですよ」