第7話 違和感 琳月side
講義室の行く前に、2号館の入口近くにある自販機に寄って、玲に優勝賞品を買ってもらった。アールグレイ。
「ん、おいし。あんがとね」
なんか、自分で買うときより美味しい気がするわ。
思わず笑みがこぼしながら、玲にお礼を言った。
ブラックコーヒーのボタンを押した玲は、出てきたコーヒー缶のプルタブを開けると、笑顔になった。
玲は私が喜ぶと笑ってくれる。嬉しいなあ。
「そいえば、俺あんまりアールグレイって飲んだことないかも。琳月ちょっともらってもいい?」
「え、えぇ。もちろん、どーぞ」
玲は温かそうなコーヒーを一口啜ってからそう言うと、私のアールグレイを少し口に含んだ。
「んー!美味しいね、こんな味なんだ。けっこう好きかも」
「そっか、よかったわ」
少し素っ気ない返事をしちゃったけど、私が好きなものを玲も好きと言ってくれて、嬉しかった。
────玲から受け取ったアールグレイに再び口をつけると、苦かった。
***
教室に入って玲と2人で席に着くと、講義が始まるまで少しまだ時間があったため、話していた。
どうやら筆記用具を忘れたようね。
ふふっ、玲はおっちょこちょいで可愛いわね。
しっかりしているけど少し抜けているというか、一緒にいて本当に楽しい。
・・・それに、ちょうどよかったかもね。
「────ほら、これ使っていいから」
私は1本のペンを貸した。意図的に。
そのペンはオーダーメイドで、私がいつも使っている筆記用具とは雰囲気が全く違う。
それに、このK.Tのイニシャル。もちろん私のイニシャルじゃない。これはある人のもの。
ここまですれば、玲も少しは違和感を覚えてくれるかな・・・
「琳月、香水変えた?」
そう。今日はわざといつもとは違う香水にした。
いつもは、以前に玲が好きって言ってくれた香水をつけているけど。
文字通り匂わせね、不謹慎すぎるけれど。
「・・・そっか、前のも良い香りだったけど、それもいいね」
そう言って、玲は何事も無かったように講義を聴き始めた。
あれ?そこまで気にしてない・・・の?
このくらいでは、気にしないってこと・・・?
求める結果を成就させるためには、もう1歩必要なのかしら・・・。気が進まないわ。でも・・・。
彼女は、勘違いをする。
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今回もお読みくださりありがとうございます!
短くてすみません。。
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