第6話 違和感 玲side
飲み物を買って講義のある教室に行くと、ちょうど2人分空いている座席があったので、そこに2人で座ることにした。
「ちゃんと教科書持ってきた?」
琳月は色々と気にかけてくれる。本当に良い子だなあ。
だがな、琳月。今日はちゃんと持ってきたのだよ、ふふふ。なんせ出る前に、部屋中の教科書くんたちに尋ねたからな!
「まかせて、ほら見てちゃんとあるのだ!」
俺はしたり顔で教科書を見せつける。
心なしか俺の教科書が輝いて見えるが気のせいではないはずだ。
「あら、えらいじゃない。・・・それで筆記用具は持ってきたのよね玲くん?」
「もちのろんよ、ちょっと待ってね、刮目して待ってて」
俺は自信満々にカバンの中をまさぐる。
あれ?・・・・あれ?
え俺みんなに聞いたじゃん!「自分忘れられてるよーってやついるー?」って!
・・・・まだまだ修行が足りんようだな。ゆくゆくは、俺が尋ねずとも教科書どもが自己申告してくるようにすることが夢である。
えできるよね?日本には付喪神がいるって言うもんね?信じてるよ、みんな。
などとくだらない事を心のなかで考えていると、
「・・・はぁぁ。その様子だと、忘れたのね。ほら、これ使っていいから」
琳月はペンを1本貸してくれた。ありがとう
あれ?琳月ってこんな高そうなペン持ってたっけ?
あ、琳月にお金が全然ないとかの話じゃなくて、むしろバイト頑張ってるからけっこうお金持ってるんだけど。
琳月は筆記用具とかにそこまでお金を使う人じゃない。前に、「書ければ何でもいいわ。その分玲とのデートとかにお金使いたいし」と言っていた。
それに、この文字、、、K.T?
ペンの上の方に金の文字で入れられてるけど、会社名とかじゃないっぽいし、そもそもこのペンオーダーメイドっぽいし。
誰かのイニシャルかな?でも琳月ならR.Oだし・・・
誰かから貰った物なのかな?
なんだろ、少しだけモヤモヤする。
・・・それに、
「琳月、香水変えた?」
「え、えぇ。その・・・気分転換に、ね」
「・・・そっか、前のも良い香りだったけど、それもいいね」
「・・・ありがとう」
琳月は今までずっと同じ香水を使っていた。
俺が前に「良い匂いだね、それ好き」って言ったやつを。
「玲が好きって言ってくれたやつを身に付けたいの。」って綺麗な笑顔で言ってくれた。
もしかして・・・・
(・・・そっか。まぁ、しょうがないよね)
もし琳月が他の男の人に惹かれ始めてるなら、応援しないとね。
こんな素敵な子と俺じゃ釣り合わない、釣り合えない、よね。
琳月には、幸せになって欲しい。
まぁまだ分かんないしね!
でももしその時が来たら、俺は諦めるんだろうな。
その後、玲は何事も無かったように講義を受けた。
☆☆☆
いつもお読みくださり、ありがとうございます!
拙い所などあって読みにくいこともあるかと思いますが、これからもどうぞよろしくお願いいたします!!
また☆や♡、コメントなどとても励みになっております!いつもありがとうございます!
次回、琳月視点になります!
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