第5話 玲と琳月②
時刻は10時5分。
あと200mほどで琳月との待ち合わせ場所に到着する。
「今日暖かいなー」
今日は雲一つない快晴だ。
玲が2号館までの道を歩いていると、
「せーんぱいっ!」
可愛らしい声が後ろから聞こえてきた。
「・・・・今何時かなー」
「10時5分39秒ですよ!せーんぱいっ!」
無駄に正確な・・・あと速いんよ
「・・・・お昼何食べよーかなー」
「私とラーメン食べいきましょー!あとなんでシカトするんですかっ?」
「・・・・・」
なんかしつこくね?あと近いほんとに
(あーもう・・・)
立ち止まって後ろを見ると、可愛らしい後輩が立っていました。そーです、ただの後輩です。
「やっとこっち見てくれましたね、玲先輩。おはよーございます!」
「・・・・ん、おはよ瑞凪。朝から元気だね、元気過ぎておじさん今すぐ立ち去りたいよ。てことでごめんあそばせ。」
「ちょっ、ちょっと待ってくださいよ!こんな可愛い女の子を無下に扱って、バチ当たりますよー?」
だる絡みをしながら俺を引き止めるのは、
ボブヘアなのは高校の頃から変わらないが、大学に入ってから髪全体を白に染め、先端は淡い水色にしている。
もともと目が水色っぽいのでとても似合っていて可愛いのだが、、、うん、ごめんけどちょっとうざいんよ。
「・・・それで?俺に何か用事でもあったの?もし俺じゃなくて琳月に用があるなら、俺たち今から待ち合わせしてるから、、」
ちなみに瑞凪は琳月とも面識がある。学部自体は同じだし、俺に割とよくだる絡みしてくるから、その時に隣に琳月がいることも多くてね。
「別に用とかはないんですけど、あ、じゃあ今日お昼一緒にどーです?」
「じゃあ、ってなによ。ごめんたぶん今日は琳月と食べるから」
すると瑞凪は頬をムーっと膨らませる。
「たまには私と食べてくれてもいーじゃないですかー!そんなに琳月先輩のことが好きなんですかー」
「うん、すごくすごく好き」
「即答かよ・・・」
さらに頬を膨らませる瑞凪さん。どんだけ膨らむんだよこの子の頬。
「・・・・高校の頃からずっと好きだったのに」
その時突風が紅く染まった葉を舞い上がらせる。
「今の風強かったなー。それでなんて言ったの?」
「・・・・何でもないですー。もういーです、私これから講義あるので失礼します」
「う、うん。講義頑張って、ね?」
瑞凪が恨めしそうに見上げてくる。そんな目で睨まないで泣いちゃう。
俺が182cmで168cmの琳月の頭が俺の鼻の辺りに来るから、、瑞凪は157cmとかかな?
この身長差で恨めしそうに見上げられると迫力がやばい。
こいつの目は神器だったのか。じゃあ今は神器解放状態?大罪の皆様もびっくりの威力。
***
「!!玲みーっけ!」
向こうから玲が歩いてくる。
時刻は10時7分。さすが玲、5分前到着ね。
すると、玲の後ろから可愛らしい女の子がひょっこり。
「・・・瑞凪、かな?」
遠くでよく見えないが、めっちゃ玲に絡んでる。
けど、
「玲のスルースキル高いわね、、」
目を凝らしてみると、玲は気づかないフリをしている様子だ。
でもあの子、絶対玲のこと好きよね・・・。
私が最近玲のことで色々考えちゃってるのに、玲は他の女の子と仲良くしちゃってさー。
玲が私のこと好いてくれてるのは感じるけど、、、
ちょっとくらいイタズラしても、バチ当たらないわよね。
これを機に、玲は私のことが心から好きだということを改めて自覚して、今よりももっと心を許してくれればいいわ!
それで、悩みでもなんでも相談して欲しい。
だから、ごめんね玲。少しの間だけあなたに不誠実な態度をとることになってしまうわ。
でも安心してね、私にはあなただけなの。
***
8人目の大罪もとい、瑞凪から解放された俺は再び2号館へ歩みを進めていた。
すると2号館の前の大きな時計の下で、琳月が俺のことを待ってくれていた。
本当に綺麗な子だなぁ。
今日は黒のスリットレザースカートに白いタートルネックセーターを合わせ、セーターの前をスカートの中に入れている。黒のロングブーツも相まって、かっこかわいいコーデだ。
タートルネックセーターの白さが、琳月の透き通るような肌の白さと艶やかな黒いロングヘアを引き立たせている。
・・・・こんなに綺麗な子には、俺は釣り合わないかもなぁ・・・。
「琳月おはよ。待たせてごめんね。それと今日も今日とてめちゃくちゃお綺麗ですね、めっちゃ似合ってる」
すると琳月の頬が分かりやすく紅くなる。
舞い落ちるモミジよりも紅くないか?これ
琳月にも秋が来たようです。
「っっ!!!・・・ありがと。ほ、ほら講義行くわよっ」
本当に可愛らしい人だ。
思わず笑みが零れてしまう。
「はいよー。その前に、何飲みたい?」
「・・・・アールグレイ」
「りょーかい。じゃあ俺はコーヒーにしよっと」
この子といるとブラックですら、甘すぎる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます