第3話 小野寺琳月

私の名前は小野寺琳月おのでら りつき。大学2年で、玲とは同じ学部に通ってる。学科というか、コースは違うんですけどね。


それでも取得免許の関係上、同じ講義を履修することも多く、自然と週に何日かは玲と隣で座って講義を受けるようになっていた。


今日も2コマ目の講義を一緒に受ける約束をしている。講義が始まるのは10時30分。


そのため、待ち合わせは10時15分としていた。


そして現在、時計の針は9時50分をちょうど指していた。


「っよし!そろそろ行きましょうか」


私の住んでいるアパートから大学までは歩いても10分かかるかどうかの距離。


それを考えると家を出るにはまだ早いかもしれない。


ではなぜもう出るのか?



そんなのは簡単よ、





玲に早く会いたいから。



***


左手首につけた時計を見ると、時刻は10時をちょっと過ぎたくらい。


「もー着いちゃった。さすがに少し早かったかも」


でもいいの、だって玲を待っているのも楽しいからね。


ところで、


「玲は、、、まだ来てないっぽいわね」


どうやら今日は私の方が早く着くことができたようだ。


「なんの飲み物買ってもらおーかなー」


彼女らは集合するときは毎度、「遅く着いた方が先に着いていた方に飲み物を買ってあげるゲーム」をしている。(名前はまだない。名前募集しようかしら)


そもそもこのちょっとしたゲームをはじめに持ちかけたのは私だった。


だって私が集合場所に明らかに早く着いても、玲は「あぁ、そんなに喉の渇きがいかついんだな」って思ってくれるでしょ。


玲は変なとこ鈍いから、ほんとはただ単に早く着いて玲を待っていたいだけだけど、勝手に勘違いしてくれるに違いないわ。


こんな気持ち知られたら恥ずか死ぬもん。



────小野寺琳月は、素直じゃなかった。



そして後に、この素直でない性格が原因で・・・・




「玲まだかなー、うふふっ♡」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る