新しい日常(2)
「ただいま、帰ったよ、2人とも。」
「おかえり!カルナ姉さん!」
「おかえり、カルナ。用はもう済んだのか?」
「あぁ、大丈夫だ。ヘレナと遊んでくれてありがとう。マキナの方はどうだった?」
「あー⋯、えっと⋯だな。」
「私から話しますね!なんと!私マキナ姉さんに勝ち越したんですよ!」
「⋯って訳だ。というか、もう勝てない⋯。カルナお前、ヘレナに特訓でもしてるのか⋯?」
「いつも遊び相手にはなってあげてるけど、特訓したりはしてないよ。それだけヘレナが物覚えがいいってことだね。」
いつもの様な楽しい会話が続く。
この時間がいつまでも続けばいいのにと何度も思う。
「あぁそうだ。帰りに買い物をしてきたんだ。はい、ヘレナにはこれ。」
「これは⋯?新しいおもちゃ⋯ですか?」
「これはチェスから派生した遊びでね、ショウギって言うらしいんだ。私も遊んだことは無いから、また後で遊ぼうか。」
「これを私に⋯!ありがとうございます!カルナ姉さん!」
「そして、マキナにはこれ。」
「これは⋯?まさか、これって⋯。」
「フォションのアップルティーだよ。マキナ、紅茶好きだっただろう?」
「いやまぁ好きだけど⋯、こんなのもらっていいのか⋯?」
「いいんだよ、いつも世話になってるからね。私からの感謝の気持ちさ。」
「ありがとう⋯!大事に飲むことにするよ⋯!」
2人とも、これだけ喜んでくれると贈りがいがあるというものだ。
「さて、マキナはそろそろ帰る時間だよね。今日はまだ少し余裕はあるけど、家まで送っていこうか?」
「あー⋯、そうだな、じゃあ今日は送ってもらうことにするよ。」
「あっ!それなら私もお供します!亡くなったと言っていたマキナ姉さんのお母様にも挨拶がしたいですし⋯。」
「ありがとう、ヘレナ。それじゃあ帰る準備するか。」
そう言って、私とヘレナは出かける準備を、マキナは帰る準備をして、家を後にした。
しばらく歩いていると、教会が見えてくる。
昔1度だけ行った記憶があるが、いい思い出は無い。
「ここが母さんの墓だ。ただいま、母さん。今日はいつも会ってる2人を連れてきたよ。」
「お母様、初めまして。カルナと言います。いつもマキナには親しくして貰っていて、とてもお世話になっています。」
「あ、えっと、お母様、私、ヘレナって言います。マキナ姉さんにはいつも遊んでもらってます。」
「今日は賑やかだったね、母さん。じゃあ、また明日。いつも通り朝来るね。」
マキナの母の墓参りを済ませたあと、少し地下街の方へと歩くと、マキナの家が見えてくる。
「今日はわざわざありがとう。母さんもきっと天国で喜んでるよ。」
「私も挨拶ができて良かったよ。届いてるといいね。」
「あ、あの!私もです!」
「あぁ、それじゃあまた明日。」
そう言ってマキナと別れ、ヘレナと私は帰路に着いた。
いずれはマキナも共に住むようになるのだろうか。
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