新しい日常

ヘレナがうちに来てから半年が経った。

綺麗なブロンドに吸い込まれそうなほど深く蒼い眼、人形のように整った顔立ち。

服は私が数年前に来ていたものを貸してあげた。

少し臆病な所もあるが、悪い子では無い。

私とマキナによく懐いてくれるし、この子と遊ぶマキナは楽しそうだ。

親友の楽しそうな顔を見ていると私の方も幸せにな気持ちになる気がする。



「ヘレナ、そろそろマキナが来るから、出迎えてきてくれるかい?」


「はいっ!カルナ姉さん!」



元気よく返事を返し、マキナを迎えに外へ出ていく。

玄関付近で出迎えてくれれば良かったが、わざわざ止めることも無いだろう。

初めはマキナを見てはかなり怯えていたが、今ではとても懐いている。



「おはようございます!マキナ姉さん!」


「あぁ、おはよう!ヘレナ。元気にしてたか?」


「もう、昨日も会ったばかりじゃないですか。私はちゃんと元気ですよ!ほらカルナ姉さんも待ってますから!早く行きましょう!」


「あぁもうわかった、わかったから!あんまり引っ張らないで!」



二人の元気そうな声が家の中からでも聞こえてくる。

仲が良くて何よりだ。



「おはよう、マキナ。」


「あぁ、おはよう、カルナ。今日は何するんだ?」


「そうだな⋯、正直もう特に教えられる事も無いんだけど⋯。とりあえず、ヘレナと遊んでてくれるかな?ちょっと1人で出掛けたい所があってね。」


「そうなのか?わかった、それじゃあヘレナ、何して遊ぶ?」


「じゃあチェスやろうよ!私、また練習したんだから!きっと今度は勝てると思うよ!」


「いいぜ、私もチェスはそれなりに得意だしな!まぁカルナには勝てた試しがないけど⋯。」


「あっ、それは私も無い⋯。」


「ふふっ、それじゃあいってきます。2人とも仲良くね。」



そう言って私は家を後にした。

向かうのは壁の向こう。

深く暗い、植物に覆われた森。

私はマキナを、大切な彼女の事を守るために。


そうして辿り着いた森の中。

レベリオと呼ばれる彼らと私はとある計画を立てていた。



「武器等はおよそ6ヶ月で準備出来る、作戦は丁度1年後、場所は侵攻直前で伝える。君達を信用してない訳じゃないが、情報が漏れてしまっては元も子もない。すまないが、了承してくれるとありがたい。」


「いや、それでいい。俺達もそれくらいの理解力はある。それより、本当に出来るのか?不殺で侵攻して、頭の固いお上と交渉なんて。」


「その点に関しては恐らく問題ない。私の大切な親友の得意分野だからね。」


「へっ、出たな親友。ほんとに使えんのかよそいつは。俺は一回もそいつを見た事がねぇし、第一信用が出来ねぇ。そんなのを作戦に組み込んでも大丈夫なのか?」


「おい、貴様如きが私の親友を愚弄するな。今すぐ貴様をこの場から追放しても私は構わないんだぞ?」


「わ、わかったよ⋯、悪かった。謝るからあんまり怒らないでくれ。」


「はぁ⋯、いや、すまないね。私も親友を馬鹿にされると黙っていられなくて。」


「まぁともかく、次は武器等の準備が整ってから、だな。これだけの大規模な侵攻なんだ。向こうも無視は出来ねぇだろ。」


「そうだな、そうであることを祈ろう。それじゃあ私は帰るよ。大切な親友と、妹が家で待っているからね。」



そうして彼らと別れ、私は家へと帰路に着く。

ついでに2人に何か買って帰ろうか。

そんな事を考えながら森を後にしたのだった。

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