孤立無援の時計

@kalin_

第1話 居場所

雪が降る。

2月15日の寒い中、窓から見えるのは中学校に向かう中学生たち。

そんな中、家で寝転がっているのは私くらい。

「こはるー今日も学校行かないの。」

「行かない。」

2階にいる私に怒鳴るお母さんは、こんなに行かせようとする。

お母さんが私に近づいてほしくないということ。

このことは、小学校高学年になってからわかったこと。

毎日毎日、このようなことを言われてるからもう慣れた。

「じゃあみんな行くから鍵、閉めておいて。」

そして、お母さんは妹を連れて保育所へ、お父さんは仕事へ向かっていった。

家には私1人だけ。

みんなは一緒に家を出た。

ベッドに潜って、ただ天井を見上げる。

_____どこにも行きたくない

学校に行こうと思うことはもうないと思う。

クラス全員が嫌い、先生も嫌い、学力もない。

だから行く必要がないと思った。

そう考える旅にいつも、妹を羨ましく思う。

妹はまだ幼いのにも関わらず、友達はたくさんいて、生活が規則正しくて、誰にでも優しくて、でもしゃべれる範囲は限られている。

でも私とは大違い。

姉妹逆なんじゃないかなって思う時もある。

妹になりたい人生だと思っていた。

友達もほしい、生活も正しくしたい、優しくなりたい。

妹にできることが、何故姉にはできないのかなって。

そう思う毎日で。

その考えから辿り着いた。

____私に居場所なんてない

ということを。

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