第7話

朝はこんなにも眩しいものなのか…。

僕は手で目元に影を作った。久しぶりに感じる暖かい朝、風が吹いているがそれすらも心地よさを感じた。


「家より外の方が良いなんておかしいよな。」

小声で話した。誰も聞こえないぐらいの小声だった為、爺やも聞き取ることはできなかった。


「…」

「…」

ギルドに向かう最中、爺やと僕は何も話さないで静かに向かっていた。


ギルドに着くと前と変わらず冒険者たちで溢れていた。

受付に着くと、昔案内してくれた受付嬢がいなく、新しくなっていた。

「ようこそ、お客様。お客様は新規ですか?それともクエストですか?

クエストの場合は、ギルドカードをお見せいただいてもいいですか?」

「…」

俺はギルドカードを見せた。

「!?」

見せたら、受付嬢が慌てていた。

「少々お待ちいただいてもいいでしょうか?」

俺はコクンと頭を下げた。

すると、受付嬢はどこかに電話していた。

しばらくすると、受付嬢がクエストボードを見ていた僕たちに近寄り、ギルド長がお呼びです。部屋で待っているそうです。と教えてくれた。僕たちは頷き、昔の知識を頼りに向かった。


“トンットンッ”

辿り着き、ギルド長の部屋をノックした。

「どうぞ」

僕と爺やは部屋に入った。


「やあ、久しぶりだ。レオン君?」

ディセンさんが憤怒をあらわにしていた。

「お久しぶりです。ディセンさん」

「どうにか、俺の名前を忘れていないようで安心したよ。それで、どうしてこんなにも会うのが遅くなったんだ?それと、今かけている魔法外してもらってもいいよな?3年ぐらいでそんなに伸びているのは可笑しいとわかるぜ?しかも、今の歳は8歳だったよな。尚更おかしいと分かるぜ。」

「…。」

俺は、魔法を解いた。

「そうそう、これこそレオンだ!ってどうしたんだその姿!?。表情筋あんまり機能してないしすっごく痩せてねえか?一体どうしたんだよ。」

ディセンさんは、俺の本当の姿を見て憤怒から一気に心配の表情へと変わった。

「…。」

「答えたくないってか?」

「…。」

「…分かった。答えなくていいでもこれだけは教えてくれ、元気に過ごしていたか?」

「…!?」

僕は思わずその一言で泣きそうになってしまった。だが、ぐっと堪えて頷いてみせた。

「…なあ、アシードさんよぉ。この部屋から出て行ってはくれないか?」

「!?私は、お坊ちゃんをお守りしなければなりませんので、出ません。」

「なら、お坊ちゃんから言われたらどうなんだ?」

「!?」

爺やは、僕を見ていた。それは、ギルド長も同じく見ていた。

「爺や「なりませんぞ」この部屋から「駄目ですぞ」出ていけ。」

「…畏まりました。」

爺やは僕を心配そうな目で見ながら部屋から出ていった。

「なあ、お坊ちゃん、この部屋の声、誰からも聞こえないようにできる?」

「…。」

僕は、指をパチンっと鳴らした。


「ありがとう。助かるぜ。」

「…。」

「なあ、俺は職業柄色んなことを知るんだ。例えば、この城下町の領主のお話とかをな?」

僕は自分の父のことに触れられ、一瞬驚いてしまった。

「それで、少しばかり変なことを知ったんだ。それは、領主の息子は二人いて、一人は次期領主として勉強していて、もう一人は役に立たないことから監禁されている。そして、監禁されている方は滅多に姿を現さないし既に、死んでいるのではないか。

というお話だ。」

「…。」

監禁…。そんなことはあるね。ただ、僕は外に出たかった。でも、出してくれなかった。正確にいえば、父や母、そして弟に会いたくなかった。あの幸せな家族の一員になりたかったけど、なれないから会いたくなかった。ディセンさんの話なら、死んでいるのは当然なんだろうね。

「俺は、その死んでいる方が君なんだろうと思っている。最初は、次期領主なのかなと思った。だから、喜ばしいことだな〜とずっと思っていた。だから、報告に早く来ないかな〜いた。だけど、一年経っても二年経ってもお前は来なかった。忙しいのかなとお前の家にギルド長として訪ねてみたりしたが、いるのはお前以外の3人だった。そうして、お前のことを聞いたりしたが、誰のことだと。鼻で笑ったり、そんな子知らないと言っていた。だから、俺は間違っていた。死んでいると噂されている子がお前だということを知った。俺は深く後悔した。あの日返さなければ良かった。もう少し遅くまで引き留めておけばよかったと後悔した。だから、俺はお前と会ったら言おうと思っていたことがあったんだ。レオン、あと1年待ってくれないか。それもあの城で。そしたら、一年後の今日俺はこの城下町で反乱を起こす。勿論俺だけでは無理だ。だから俺は今は待っている状況だ。俺の相棒をな。」

「…相棒?」

「そう、俺の相棒だ。俺の相棒は幼い時に片腕が無くなってしまって義手だが、外見はカッコよくてな。よく女性から告白されてんだ。ほんと、羨ましかったぜ。俺は全くされなかったのに…あいつは一日に4回ぐらい告白されてるんだ。今思うと凄くムカつくけどな。でも、性格も外見もいいからモテるのもわかるけどな。

一応、今度いつ会えるか分からないから外見伝えとく、その男ははっきり言って王子様だ。髪の毛は、黄色で目は澄んだ青色で身長は180ぐらいあるとおもう。そして、何より、左腕が義手で両手は手袋をしている。だが、左手はひんやりとしているのが特徴だ。握手してみれば分かる。だが、極度の方向音痴だ。気をつけろよ。着いて行ったらどこにいるのか分からなくなる。それが自分の生まれた地だとしてもわからなくなる。それぐらい方向音痴なんだ。でも、不思議なことに自分の家だけには帰れるんだよな。正確には、自分の家だと認めた場合に限るらしい。

実力は、俺より遥かに上だ。まあ、武器全般使えるらしいから恐ろしいものだ。でも、話通じるし面白い男だ。っと、自慢しすぎた。だから、この男に会ったら、すぐにディセンの友達ですか?と聞け。さもないと殺されるぞ。反乱すると言ったら、すぐどこ?と目をキラキラさせてたからな。はあ、戦闘の面では狂ってるんだよな〜。まあ多分、一年後ぐらいに着くと思う。まあ、レオンの領主のいるところに相棒がついたら反乱の開始だ。だから、気をつけてな。あと、コレ」

ディセンから無線のような透き通る丸い物を渡された。

「これはギルドバージョンの無線だ。だから、これはギルド行っていないと気づかない代物だ。あからさまなものだとバレるからな。これを渡しとく。相棒が来た時にはこれにて連絡する。応答する際はここのボタン2だ。誰かにかける場合は1で連絡をしろ。」

僕は頷いた。半ばこんなものまであったんだと感心していた

「ちなみにいいのか。反乱起こしたら、親死ぬかもしれないんだぞ?」

「…いい。僕には関係ない人たちだったから。少しも悲しくない。だって、ギルド長にすら、のこと知らないと言ったんでしょ?なら、の人生に必要ない。」

「!?おいっ、殺意出すなよ。俺に当たられても知らないぞ。まあでも、元気出たようで何よりだ。」

「…ありがとう、では次は僕の話聞いてくれる?ギルド長になら話せるかもしれないから。このの3年間をさ。」

「!?ああ…聞くよ。」

そう言ったギルド長を見て俺は動かない表情筋が少し動いた気がした。







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恩師と天才の行く末は… 星蓮アカネ @kikiku__kvu__

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