第3話

“ドコォーン”


「いきなり、魔法攻撃をするんだね。体格からして、剣とか使う系なのかなぁ〜って思ったから驚いたよ。」

「だと思われるだろうなと思ったから、魔法攻撃させてもらったぜ。」

「へぇ〜、おっさんも頭使って攻撃するんだね〜。それなら、もう少し面白くできるかも。」

僕は、無言で、7つの魔法陣を作った。すると、おっさんは驚いていた。


「これは、すげぇ。無詠唱で7つの魔法使えるとか、5歳児にしてはかなりエグいな。」

これには、あまり驚いていなさそうだね。7つの魔法陣は普通なのかもしれない。しかも全て避けられるとか、さすがだね。ならこの倍の数14つの魔法陣はどうなんだろう。試してみたいな〜。あっ、そうだ。どうせなら、やっちゃおう。


「おっさん、この7つじゃ物足りないよね。気が利かなくてごめんね。さらにプレゼントしてあげるよ。はい、どうぞ。」

僕は14つの魔法陣にした。


「はっ!?この5歳児何を考えてやがる。世界での最高峰の人だって魔法陣10個で終わりだぞ。それを1、2、…14個??頭おかしいだろう。」

「おっさん、立ち止まるのは危ないよ。逃げなくてもいいの?」

おっさんは立ち止まっていた。僕の魔法は魔力さえあげれば自動的に打ち続けるから、暇だった。だから、受付嬢を見ていると目が点になっていた。へぇ、流石にこれは普通ではなさそうだね。アシードは、どこだろう…って蹲ってる。まさか、ぎっくり腰きたの??えっ、座っているだけだよね。まさか、いきなり立ち上がったりしたの??まぁ、試合終わったらすぐ話してみよう。


「はぁっ、はぁっ、おい、こんなもんか、お坊ちゃんよぉ。」

「あれ、思ったより、やるね。おっさん。」

受付嬢の様子を見た限り、難しいかな〜って思ったんだけど、さすがだね。


「自動狙撃モード解除しよう。簡単に終わったらつまらないもんね。となると…そうだ!僕も戦おう!」

僕は、腰にかけている道具袋から小刀を2個取り出した。

「ねぇ、おっさん。僕と武力で戦おう?ただ、体格上おっさんが有利になるから強化魔法はかけさせてね。」

武力アップ、速度アップなどのバフをかけた。そうしたら、体が非常に軽くなり、このままでも勝てそうな気がした。


「準備完了!おっさんはどう?さっきので疲れた?」

僕は煽るように言った。

「そう、だなぁ。さっきので疲れたかもしれないな〜。でも、良いぜ。どっちかが倒れるまで剣で語ろうぜ。ただ、俺はお坊ちゃんの実力を測らないといけねぇから本気でやるがな。」

「ふ〜ん、本気、ねぇ〜。僕に、攻撃当たるといいね。おっさん。」


僕は、先ほどの情報を思い出し、ギルド長攻略に向けて脳内で作戦を立てていた。

「なめんなよ?こう見えても、みんなを背負っているからな簡単に負けるわけにはいかねぇんだよ。あと、俺のジョブ狂戦士バーサーカーだから。注意しろよ。お坊ちゃん。」


狂戦士か。家の図書室に載ってたな〜。

【狂戦士:戦うが長引くことにより、戦闘能力が高くなっていく。また、欠点として、戦闘能力が一段階高くなるにつれて、知力が一段階低下していくジョブ。

                            レオンの豆知識】


「へぇ〜、おっさんにしてはとんでもないジョブを持っているんだね。僕なんか、まだ何にもわからないというのに。」

「ハハッ、分かるのは15歳からだもんな。でも、俺は無職にしてはその多才な能力を持っているテメェが怖いけどな。」

「う〜ん、それはお互い様だね。まぁ勿論、僕の方が上だけど。」


“カキーンガキーン”

今の発言に苛ついたのか、突然刃を振るってきた。

「いきなりなんて、酷いじゃないか。僕が話している最中というのに。」

「…。」

「黙るんだね、おっさん。まぁ、いいや。もう沢山、話できたし後はランク測ってもらうことだけだし。いいよ、戦おう。本気で、」


どこからか、コインの落ちる音がした。そのコインが落ちた音がしたと思ったら、おっさんはもうすでに僕の目の前まで来ていた。そして、剣で僕をなぎ払おうとおっさんが太刀を振った。


“スパーン”

僕はおっさんの攻撃を避けるために左に逃げた。


「あっぶなっ。地面切れてる。これが僕の方に来たら僕死んじゃうよ。でも、そこまで本気になってくれるなんて、最高だね。おっさんは。」

「ちっ、」


“ドゴォーン”


僕がおっさんの攻撃を避ける度、地面に亀裂が入っていった。


「どこ狙ってんの?このままじゃ魔力と体力なくなるだけだよ。諦めて負けを認めたら?」

「はぁっ、はぁつ、負けを認める訳にはいかねぇんだよ。俺は、この街のギルド長だ!男には負けられない戦いがあるんだよ!」

「ふ〜んでも、おっさんの負けだよ。」

「はあっ?まだ終わってないだろ!」

「いいや、終わりだよ。だって、足下見なよ。」

「…!?」

「ほら、言っただろチェックメイト。」


おっさんの足元には、魔法陣があった。それは、魔力を持っている人は逃げられない鎖の魔法『アンチェイン』であった。しかも、無詠唱では絶対にできない魔法陣でもあった。


「いつッ!いつこんな物が!?見たかぎり魔法陣書いてなかったよな?」

「僕は、書いてないよ。それに魔力逃しただけだし。」

「…ッまさか、俺の攻撃を地面に受け逃していたのはこれを作るためだったのか??」

「ふふっ、気付くの遅すぎ。そうだよ。これを作るため。

まさか、最後まで気付かないとは思ってなかったけど、本当そんなんでよくギルド長できるね?まぁ、鎖に捕まっている時点で負けは負け。残念だったね。」

「クソォぉぉぉぉ!!!」


その鎖に掴まれると使用者が解除しない限り囚われたままだが、実はこれには欠点があり、この鎖のどこかにあるヒビに攻撃すると鎖自体が壊れて逃げることができる。なぜ、そんなことが分かるのかというと制作者が僕、だから。

つまり、その欠点が分からないとこの僕に勝てないということになる。

まぁ、この欠点、魔法名すら教えないけどね。

そろそろかな。


「勝者、レオンさん」


やっぱ、戦うことって楽しいね。

結局、おっさんのジョブ最後まで発揮されてなかったな…。

それは少し残念…。

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