マジで強くね?


「よぉタクト!」


「あぁ、また来たのか」


 最近はログインしたら、タクトのところに来るのがお決まりになって来たぜ。整理ももうそろそろで終わるからな……。そう言えばこいつ、どのくらい戦えるんかねぇ?少なくとも普通のプレイヤーより強いとは聞いてるけど。


「あぁそうだ。今度クエストを受けてほしいんだが」


「おぉ!?お前がそんなことを言うなんて……。マジ!?」


「な、なんだその反応は……。それより、どんなクエストか聞かなくていいのか?」


 こいつクエスト出してくるタイプの人間だったのか……!しかぁし!面白そうなら何でもかんでも首を突っ込むこの俺が!首を横に振る訳がないだろう!


「え?いややるっしょ普通。何でもいいぞ言ってみてくれ!」


「そうか……。実はな、この前に本が無いと気が付いたんだ。ラ行の一冊がな」


「なんだって!?危ない危ない……。それで今どこに?」


「なぜか本の居場所は分かるんだ。……今、本は『コウバメの巣』に置かれているらしい」


 なんだその……なんだ?巣って事はモンスターがいる感じの奴だろうけど……。まぁ場所が分かってるならいいか!


「じゃあ行くか!案内はよろしく!」


「そこは俺がやるのか……」


「ん?今俺って言った?」


「な、何でもない。それより、良いのなら行くぞ」


 さぁ早速出発!と言ってもそんなに遠くは無いとの事。歩いて十分圏内だって。よくそこまでわかるなぁ……。機械か何かか?


「さてここにあるらしいが……」


「なんかもう、うじゃうじゃいるね、なんかよくわかんない奴が……」


 なんだろうねぇ?あの……なんなんだろうねぇ?犬?いや犬にしては二足歩行してるし、かといって人間?と言われると……違うかな。化け物ってのが一番正当なのかも。


「あぁ。それでどうする……」


凍るアイス水魔法ウォーター』。


「よし行くぞ」


「あ、あぁ……」


 雑魚を適当に足止めする時に、楽にやれるからいいんだよなぁこの魔法。まぁ強い奴は砕いて逃げ出すんだけど、雑魚しかいないみたいだし……。


「あぁ強い奴いたわ」


「そのようだな」


 デカい犬だぁ……。二足歩行の……。しかしどうにでもなるしな。早速……。


「あっ待って!あいつ魔法反射させるアイテム持ってる!」


 あぁだから凍らなかったのねぇ!うーんどうするか……。魔法が使えないとなると、俺完全にお荷物だし、雑魚だし……。


「代わりに私がやろう」


「いいの?」


「流石に、ここまで来たのだからな、久しぶりに暴れるとしよう……。かぁっ!」


 あっ銃だした!と言うか、やっぱあるんだな!?銃がこの世界に!そりゃよかったんだけど、その……全身から出さなくてもいいんじゃない?重くないの?


「これは……確か空気を発射する魔法アイテムだ」


「いや銃でしょ!」


「銃?なんだそれは」


 お?なんか変だなぁ。銃を持ってて銃を知らないってのはちょっと……なんでしょ?まぁ良いか、銃じゃないならそれで別に……。ちょっとしょんぼりするだけで。


「さて……。殺す!」


 物騒だなぁ。もっとマイルドに言おうよそう言うのは……。いやまぁ蹂躙って感じ?明らかに銃から出ていい威力の弾丸じゃないんだよね。俺らの五倍以上ある体格の腕を、弾丸一発で破壊しないでくれる?


「ふぅ……。これだ」


「あ、あぁ……。それがラ行の本?」


「そうだ。名前は『楽々!簡単調理ズ』だ」


 お料理教室か何かか?


「まぁ帰って来たならいいか!ところで聞きたいんだけどさ……」


「なんだ?」


「本を探せるなら、ん行の本一冊を見つけてほしいんだけど」


「……何を言っている?ん行などあの本棚にはないぞ」


 ……。おやぁ?これは……。何やらキナ臭くなってきたんじゃないのぉ~?

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