マジ?って言う事も忘れちゃうくらい。


 さて、ラ行の本を見つけてから数日たったある日。俺はついに本棚を完成させる事が出来た……んだ!


「あ、タクトじゃん。さっきまで誰か来てたん?」


「……。まぁ色々。それよりこれは……」


「あぁ、整理しとこうと思って!どうよ!」


 もう全部片付けたぜ!まぁわ行が死んでるんだけど……。なんなんだよこのわ行の本。ヲは見つけたけどンって本なんかある訳ないだろ……。ねぇ?知らないって言ってるけど、わ行があるのにんだけピンポイントで無いんだよなぁ。


「……いいと思うよ。俺は」


「お。俺って自分の事呼んでるんだ!もっと教えてよお前の事!」


 なんだその嫌そうな顔は!そんなに自分の事を言うのが嫌かなぁ?


「嫌と言う訳じゃない。……思い出せないんだ」


「あ、そうか……。ごめん」


 あー。完全に地雷を踏んだ……。言う前に聞けばよかったなぁ……。ねぇ?と言うかこいつ記憶喪失なのか。日記とか無いのかな?


「いやいい。わた……、俺は。記憶を取り戻したい。この家にいれば何かが見つかるかもと、早千年……」


「何か見つかったの?」


「……何も」


 そりゃ厳しい。……ん?待てよ?そう言えばタクトに関する書物があったはずだ。ちょっと確認してっと……。


「お前機械って知ってる?」


「機械……?なんだそれは」


「お前が千年前に提出したらしいぞ」


「そんな物質があるのか?そもそも機械とは……?」


 これは……、キナ臭くなってきたなぁ!?何かあったんだろうなぁ!この千年の間に!何かが!なぁ!


「まぁ良い、俺はお前の記憶を戻す何かを持っているかもしれない!」


「……そうか……。それはいいんだが、何故俺に関わる?」


「え?……まぁそうだなぁ。俺はね、やりたい事があったらいつだって全力なのよ!俺がやりたいんだ、理由なんかねぇ!」


「……。そうか」


 なんだその含みは。おいなんか言いたいんなら言えよ!なんだその……なんだ!その顔は!


「いいか!ここの本棚また倒すんじゃねぇぞ!まだ片付け終わってねぇ!」


「あぁ。……誰にもこの場所は荒らさせない」


 お、おぅ……。なんか怖いな言い方。ガチで殺そうとしてる感じの声が……。


「じゃあまた来るからな!」


「……。あぁ、また」


 しかし俺一人だとやっぱ苦労するなぁ……。なんか気になるんだよなぁ、何かが……。なんだろうか?図書館?んでも街にある図書館も、ここの図書館も似てると言うか……。似てる?


「そう言えばここの本棚、似てるなぁ……」


 ……。


「ファストトラベル」


 来たぜ図書館。


「ちょ、何やってんですか!?」


「『追跡するサーチ炎魔法フレア』!!!」


「やめろー!本が燃えるー!おい誰か来てくれー!」


 全部焼こう。この図書館全部。


「何やってんすかぁ?!」


「おぉクヌギ!ちょっと手伝ってくれない?」


「バカ!何やってんすかお前!?」


「轟炎に、焦げる図書館、あぁ無常。で、なぜおまえが、それをするのか……」


 ずーッと気になってたんだ、街の方の図書館の違和感……。変だと思ってたんだ。もし仮に、同じ図書館であると言うのなら、部屋の構造上……。。つまり隠しスペースがあるんじゃね?って事だ。


「じゃああるんじゃねぇの?……ここに」


 ほら。燃えてない本が一つあった。明らかにこの世界、この時代背景にそぐわない……、機械で出来た本。


「『ン・神の置手紙』……。よし!」


「何がよしか!お前!」


「ファストトラベル」


「あっ!」


 逃げるぜ!


「よっタクト!……タクト?」


 いないの?まぁいいや、最後の一冊……。これだ。最後のん行、この一冊。明らかに、異様な……。この本!差し込んでやるぜ!さぁ鬼が出るか蛇が出るか!?


「うおっ!?本棚が動いた!」


 お!?中に何かあったぞ!本だ!本と……。白骨死体?


「誰の死体だコレ?いやそこが問題じゃない、問題になるのはこの本だろ」


『機械少女上』

『新魔法を知ろう!(初級編)』

『機械少女下』


なんだコレ……小説?ちょっと見てみよ。……へー。ふんふん、成程成程……


~三十分経過~


「ヤッベちょっと見ただけだけど小説として面白いなこれ。持って行こう。で、タクトは……いないな。どこに行ったんだよあいつ?」


 普段ならすっ飛んできそうなくらいなんだけどなぁ。まぁ良いか、それより持って帰ってだなぁ!


「ファストトラベル!さぁ行くぞ!」

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