第348話 連絡休止前のリクエスト
久しぶりにゆっくりした朝だ。帝都のいつもの宿でたっぷりと時間をかけて朝食を取った。ここのメニューのレシピもかなりたくさん手に入った。ウッドグレン王都の宿のメニューとかぶっているものも多いけど、煮込み系の料理なんかをいくつか手に入れた。
部屋に戻って、ベッドに寝転がってダイアリーを確認してみた。ホームスペースで日記をゆっくり読んでいたりすると思いもよらない転生事故が起こる可能性がある。だから、いつも使っているスペースにコピーしてじっくり読むことにする。地球との時差が縮まって、起きている時間がかぶっているから転生事故の可能性も高くなっている。
ベッドに寝転がってからのダイアリーの確認だ。
「ロジャー、アンディー。玲が、しばらく連絡ができなくなるって書き込んでいるよ。」
「なんでだ?怪我か病気にでもなったか?」
ロジャーが直ぐに聞き返してた。
「そういう訳じゃないみたい。2カ月後に高校の入学試験って言うのがあるみたいで、それの準備をしないといけないかららしい。明日の連絡を最後にするから、何か伝えたいことや聞きたいことがあったら、今日の書き込んでくれってさ。」
「ラーメンだ!ラーメンのレシピを書き込んでおいてくれって、約束したんだろうって書き込んでくれ。それは、忘れられたら困る。」
「わかった。書き込んでおくね。まあ、困りはしないと思うけど、僕も食べたいし食べさせてあげたいからね。」
「それなら、ついでに地球の化粧品の精錬術式をコピーしてもらってくれないか?乳液と化粧水以外の化粧品ってあるんだろう?研究所から新しい化粧品やバッグなんかのファッションアテムの開発を急いでほしいって何度も連絡が入ってるんだ。森の賢者魔様からアイディアを頂けないかってな。レイに連絡しろって返してるけど、化粧水なんかをレイに内緒で開発してきたから頼みにくいらしいんだ。」
「化粧品の精錬式とファッションアイテムのアイディアね。それも書き込んでおくよ。でも、直ぐに返事してもらえるかどうかは分からないよ。」
「レイ~っ、入っても大丈夫?」
ミラ姉の声だ。
「は~い。大丈夫だよ。」
「あのさ、日焼けに聞くポーションなんてない?」
そう言いながら、ミラ姉とシエンナが入ってきた。
「どうしたの?」
「今更なんだけどね。さっき、シエンナと話している時に、二人ともとっても日に焼けてるってことに気が付いたのよ。シップレースに出たり、観光に回ったりしてたでしょう。今までと違って兜やフードもかぶってなかったし、かなり直射日光を浴びてたみたいで、冬なのに黒くなっててさ。びっくりしちゃったのよ。」
「それでですね。レイさんが以前化粧水って言うのをくれたじゃないですか。あれ?化粧水くれたのって地球の玲さんでしたっけ?」
「そうかもね。僕は二人にプレゼントした覚えはないから。それでその化粧水がどうしたの?」
「そうそう、その化粧水がもうないのよ。っていうか、アグリゲートハウスに戻ったらあるんだけど持ってきてなくてね。その化粧水か、日焼け治すようなものないかなって思ってね。」
「化粧水ならすぐ作れるよ。でも、そもそも日焼けしないようなポーションがあればいいんだけどね。」
「それも聞いたらどうだ?日焼けを防ぐような化粧品やアイテムはないかさ。」
「何?、何を誰に聞くの?」
「ああっ、あのね。玲から地球でしばらくの間、忙しくなるから、連絡が取れなくなるって書き込みがあったんだよ。聞きたいことや頼みたいことがあったら、今日中に書き込んでいてくれってさ。」
「ああ、それならある。甘味のレシピをいくつか教えて欲しいって。特に冬場に美味しく頂けるものが良いわ。暖かい甘味が良いけど、暖かい部屋で食べる冷たい物って言うのも捨てがたいわよね。」
「それなら私は、水上での乗り物ですね。高速で移動できる水上での乗り物が欲しいです。ガイヨウギョセンも十分速いですが、もう少し違った…、例えば、そうですね。海でも陸でも進めるようなものも乗ってありませんかね。そんなのがあれば、作って欲しいです。」
「シエンナ、それは無理だと思うぞ。玲は向こうじゃなくて殆どこっちで新しい乗り物を作ってるからな。向こうじゃ色々と制限があるんじゃないか?」
「そうなんだ。僕も向こうに行って、乗り物作りに挑戦したけど、ゴーレムコアがないからね。魔力を動力にすることが難しいんだ。ただ、ベルがマギモーターを作ることができるようになったら、これからは、かなり楽になるんじゃないかな。でも、玲が忙しくて連絡できなくなるってことは、ベルたちも同じように忙しくなるはずだから、集まって乗り物を開発したりするのは難しいんじゃないかな。」
「それなら、そんな乗り物の資料だけでも送ってもらったら、私たちで作ることできませんかね。水陸両用の乗り物なんてないのかなぁ?」
「分かった。水陸両用の乗り物に着いて何か資料があれば送ってくれってことだね。」
「はい。宜しくお願いします。」
「じゃあ、書き込む内容を整理すね。まず、…。」
「ラーメン!」
「はい。ラーメンのレシピね。まず、食べ物から書いてみるよ。次が暖かい甘味と冷たい甘味だね。食べ物は他にはないよね。」
「レイはないのか?お前は、あっちに行って美味しいもの食べたんだろう?こっちになくてあっちにある美味しものを何か思い出してリクエストしておいてくれ。」
「この前食べたのだと土瓶蒸し…、でもあれは、特別なキノコが必要だって言ってたし好き嫌いがありそう…だな。雑煮は美味しかったけどお餅はこっちの世界にはないか…。チーズインハンバーグは美味しかったな…。から揚げも美味しい。エビフライも良いな。」
「おい、レイ!何ぶつぶつ言ってるんだよ。なんでも良いから、とにかく美味しそうな物のレシピをいくつか書いておいてくれ。」
「分かった。まず、チーズインハンバーグとトンカツだな。それと鶏のから揚げだ。まずは、この位で良いかな。」
「後は、化粧品と便利なファッションアイテムだったっけ…。それと日焼けを防ぐポーションね。小物や化粧品関係で他に何かない?」
「うーん…。思いつかない。最後にシエンナが言っていた水陸両用の乗り物の資料くらいね。」
ミラ姉が思いつかないって言うのならそれでいい。言われた物をダイアリーペーパーに書き込んで日記にリペアしておいた。でも、こんなにたくさんのリクエストに今日一日で応えられるのかな…。
無理だな。
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