第338話 合格祈願の初詣
今日は、僕は初詣。本田さんと上村さんは、2社目のお詣りだ。二人とも僕の家に集合している。父さんたちも一緒に行くって聞かなかったからだ。おじいちゃんたちまで一緒に行きたいらしい。父さんの車は5人乗りだから全員が、一台には乗ることができない。そこで、母さんとおじいちゃん、おばあちゃんが母さんの車、父さんと僕と本田さんたちがお父さんの車に乗ることになった。
僕の家に全員が集合しているのには、訳がある。車以外で行くためだ。おのずと、行先もいつものお詣りと違う場所が候補に挙がる。
「せっかく、空を飛んで行くんだから本州以外に行くなんてどう?」
「出雲大社や厳島神宮、それに伊勢神宮なんかどうよ。ドローンで行くんだったら日頃いけない所に行こうよ。」
「800km圏内だったら2時間なんでしょう。往復でも4時間なんだから、お昼には帰ってこれるよ。だから、〇勢〇宮に行こうよ。ここだったら800kmよりずっと近いよ。」
「ベル、あんた、赤〇〇を食べたいだけじゃない。私は、甘い物よりも、お好み焼きが良いな。○○風。」
「カラ!お正月からお好み焼き屋さんが開いているはずないでしょう。それに、遠すぎると思います。」
「どうせ、遠くに行くなら出〇〇社はどうだ?本当に行くことない場所だと思うぞ。行って何があるっていう訳ではないがな。儂も行ったことないし。でも、お〇勢さんも捨てがたいのう。」
「じゃあ、ジャンケンにしよう。本田さんが勝ったら〇勢〇宮、上村さんが勝ったら〇島〇社、おじいちゃんが勝ったら、出〇〇社で良いかな?他にじゃんけんに参加する人いませんか?」
「はい。はい。あんたたち合格祈願に行くんでしょう。どうせなら日本3大天満宮を回ったら、きっと合格するわよ。なんちゃってね。」
「その三大天満宮ってどこですか?」
「ええっとねぇ。茨城県の大生郷天満宮と京都府の北野天満宮、福岡の太宰府天満宮よ。三つは無理だから、茨城と京都か京都と福岡ね。どう?」
「距離的には、茨城、京都かもしれないけど、福岡と京都にしたいです。やっぱり菅原道真と言ったら福岡ですよね。それに、菅原道真が祟り神になって暴れたのって京都でしょう。その両方に行ったら、絶対合格しそうじゃありません?」
「よし。長旅になりそうだけど、福岡行って京都な。直ぐに出発だ。」
家の中庭のコテージ工房とプレハブ倉庫を収納してドローンを出すことができるスペースを作った。ギリギリ入ったよ。父さんと母さんの車も収納して全員でドローンに搭乗した。
「では、最初の目的地、福岡太宰府天満宮に向かって出ぱーつッ!」
あんまり高度は上げられない、1000m位を飛行する。国内の飛行機との事故が怖いからだ。海沿いを飛行して高い山にぶつからないように気を付ける。海沿いにある飛行場の近くは迂回気味に飛行するように気を付けておく。ルーサーさんのマギ・モーターの性能が凄すぎる。平均時速400kmを越えているのじゃないだろうか。
スマホの地図を頼りに進路を取り11時くらいに福岡に入った。福岡空港と太宰府天満宮の距離はかなり近い。北の海の方からじゃなく、行橋を通って陸地を道沿いに飛行した。
「開けた場所に出たら、西鉄電車って言う線路を見つけて。水色って言うかエメラルドグリーンって言うかそんな色の電車が走っていたらそれだから。」
「あったよ。」
「OK!まだ、太宰府に向かう分岐に来てないからこの線路が右に入る場所の先が太宰府だ。」
分岐点は直ぐに見つかった。暫く飛ぶと太宰府天満宮が見えてきた。さあて、どこに着陸したら良いんだ?人が出て来ても不審に思われないで人目がない場所で、車に乗り込むことができる場所ってあるのかな…。
あった。山の上の方に公園がある。車は、今は止まっていない。カメラはあるかな…。まず、公園の人目のない所に着陸しよう。着陸したら一人ずつドローンを降りていく。サーチはしている。人はいない。全員降りて、結界を切って収納。
少し歩こう。駐車場に近くにはカメラがあることが多い。木の陰になっている場所で車を出す。2台の車に乗り込んで出発だ。
1月2日は、太宰府天満宮は人が多い。兎に角短時間でも車を駐車できる場所を探した。駐車料金が高いのは目をつぶる。
「ねえ、お腹空かない?」
「良い匂いがしてくるね。」
参道には沢山の屋台が並んでいる。梅が枝餅というのが名物らしい。いたるところにその看板がある。
「梅が枝餅、食べてみたい。」
「そうだね。折角太宰府天満宮に来たんだから、何か名物食べておきたいね。」
僕たちは、今なら座れますよという声掛けに引かれて、茶店に入った。
まだ、お詣りもしてないけど、
「お腹が空いてたら、真剣にりお詣りができない。」なんて本田さんが言い出すもんだから、その通りだ!ってことになった。
まず、熱い。そして香ばしいにおいが鼻をくすぐって、甘い。周りの皮はほとんど味はない気がするけど香ばしさと餡の甘いにおいとのバランスが良い。
「美味しいね。」
一人2個ずつ梅が枝餅を食べてお参りに行くことにした。
結局それは正解だった。だって、お参りが終わるまで2時間近くかかったからだ。時刻は既に2時を過ぎた。
「もう一つ天満宮に行くのって無理じゃない?」
「せっかく、福岡まで来たんだったら、何か美味しもの食べて帰りましょう。めったに来る場所じゃないでしょう。」
「でも、まだ、1月2日だよ。やってるお店ってあるのかな?」
太宰府天満宮の近くの店や参道沿いの店は開いている。多分稼ぎ時なんだろう。でも、近くの店って開いているのかな…。
「お店に入って、この近くで食べれる福岡の美味しい物がないか聞いてみようか?」
僕たちが聞いたお店では、太宰府市内は、飲食店は大抵しまっているということだった。参道付近の店は開いているけど、どこも多い。1月2日だったら天神に向かえば、初売りをしている店があるということだった。太宰府から天神に行くなら電車の方が早いらしい。どこかで、車を収納して電車で天神に向かうか車で行くかだ。
結局、車で天神に向かうことになった。人目が多すぎて、車の収納なんて無理だった。カーナビとスマホで調べてキャ〇〇・〇〇〇ーっていうショッピング施設に向かった。40分位で目的地に着いたが、ここでも駐車場待ちが発生した。こんな町中にカメラも人目もない場所なんてないから待つしかなかった。
中に入ってラー〇〇・ス〇〇〇ムってところでラーメンを食べた。色々な地方のラーメンがあったけど、博多ラーメンを食べた。折角福岡に来たのだから当然だ。
それから、いくつかの店を見て回って、お土産を買った。本田さんたちなんって言ってお土産を渡すつもりなんだろう。自分用かな。合格祈願のお守りは、天満宮できちんと買った。第一の目的は達成できたから良いことにしよう。
本田さんたちのもう一つの目標3社参りの残り一つは、キャ〇〇・〇〇〇ーのすぐ前にある〇田〇社って言うところで済ませた。福岡で2社も済ませるつもりはなかったと思うけど、成り行き上、しようがない。
キャ〇〇・〇〇〇ーをでて、北九州方面に向い、海水浴場を探してそこで車からドローンに乗り換えた。サーチしてから乗り換えたけどやっぱり気を使う。
自宅まで、ほぼ自動操縦だった。帰りにコンビニでスナックや飲み物を買っていてよかった。トイレにもいかせてもらったしね。夕方、5時近くになっちゃったけど、父さんに本田さんたちを送って行ってもらって家に帰ってきた。
明日までは、少しゆっくりして明後日からは、受験勉強を始めないといけないな。
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