第266話 変な車とお母さんのコーシェン
朝起きてダイアリーを確認すると、変な飛行機のイラストと精錬式がコピーしてあった。
「カッティングスカイだ…。」
魔物のがたの有人飛行機を作って、試乗実験に成功した?今日が魔術契約の儀だと言うのに大丈夫なのかな…。
折角精錬式をコピーしてくれたから、模型サイズで作ってみた。だだ、中に椅子や操縦席があるからちょっとじゃまだ。中完全空洞にして精錬をし直した。講習会に行って専門の人にこの機体で飛ばすことができるか聞いてみよう。
朝の間にベルに電話してみた。ベルはまだ寝ていたみたいで、寝ぼけた声でどうしたの?って聞いてきたから、昨日の夜こっちに来たんだよって言っておいた。
「ん?どこから?」
なんて言ってたけど、多分寝ぼけていたんだと思う。明日、前待っててくれたとこにいるねって伝えておいたけど、分かったかな…。
お父さんと一緒に講習会でラジコン飛行機の飛ばし方を習った。4チャンネルラジコン。インストラクターの人に初心者にしては上手だと褒められた。昨日の夜の練習が役に立っているようだった。とっても優しそうなお兄ちゃんだったから、車から持ってきたていで魔物型の飛行機が飛ぶかどうか聞いてみた。
しばらく、バランスを見たり、手に持って走ったりしていたけど、飛ぶとは思うけど、4つもモーターを付けたらバッテリーが直ぐになくなってしまうから、二つはダミーにしたらどうかと言われた。なるほど、バッテリーのことまで考えていなかった。
講習会が終わっても、練習場を借りることができたから、ラジコン飛行機を飛ばし続けた。バッテリーは、いくつか準備していたし、イオン状態の変化は精錬で作ることができたら瞬間充電ができる。いつまでも飛ばし続けることができた。夕方までお父さんとらじこんを飛ばしてかなり上達した。
魔術がないこの世界は不便なこともあるけど危険が少なくてのんびりできる。僕たちは、暗くなるまでラジコン飛行機の操縦を楽しんで帰宅した。
家の前に大きな乗用車が一台と待っていた。
「どうしてだ?こんなところに車を止めてたら、庁舎上に入れられないじゃなかい。」
お父さんがボヤいている。
「ちょっと待ってね。」
僕は車から降りて、我が家の駐車場の前に止めてあった車を一旦収納した。
「お父さん。今のうちに駐車したら。持ち主が戻って来たらびっくりするから早くお願い。」
「おっ、おう。分かった。」
幾ら家の駐車場の前に止めてあっても、勝手にどこかに持って行ったら窃盗になるかもしれない。お父さんが、車を入れたらすぐに取り出して、何もなかったかのように置いておいた。
家の中に入ると、4人のガラの悪そうな男の人がお母さんの前ですごんでいた。ちょっとまずいかもしれない。あの男たちがお漏らししたら、片付けるのは嫌だ。お母さんもそう思ってか、すごまれてもなんともないですよって顔で少しにらんでいた。
「ただいま。電気も付けずにどうしたの。」
「お客じゃないのに、うちに上がり込んで帰ってくれない人がいてね。少し困っていた所なのよ。」
「あっ、そうだ。さっき、うちの前に合った車、誰かが乗って行ってたけど、おじさんたちのじゃないの?」
「何言ってんだ?さっき見に行った時、ちゃんとあったぞ。」
「本当?だって、お父さんねえ。家の車を駐車場に入れたよね。」
「おっ、おう。ちゃんと入れたぞ」
「お前なぁ、嘘ばっかいうんじゃねぇぞ。」
「そんなこと言うなら見てごらんよ。ちゃんと車入れてるでしょう。」
玄関を出ないと門の前に止めてある車は確認できないけど、うちの車は見える。
「本当だ。車が入って来てるぜ。」
「おい、お前、ちょっと確認に行ってこい。」
一番下っ端の人間なんだろう。一人、確認に生かされた。でもここまでは、想定範囲だ。すぐ後。
「てめえ!騙しやがったな。あるじゃねえか。」
「えっ、本当ですか。僕が見て来て良いですか?」
「勝手にしろ。」
「旦那さんも帰って来たことですし、もう一回ちゃんとお話ししますね。」
僕は、玄関からでると、男たちの車を収納した。そして、
「やっぱりないじゃないですか。警察呼んだ方が良いんじゃないですか?」
「何度も嘘こくんじゃねえよ!さっき確認したっつうんだよ!」
「お兄さんの仲間が盗んだんですね。だから、仲間の逃げる時間を稼ごうと思ってそんなウソ言ってるんじゃないですか?」
「おまえなぁ、言って良い冗談といけない嘘があるんだぞ。」
「おい、お前が言ってることは本当なのか?誰かが車を持って行ったってのは。」
「本当ですよ。こんなところでウソ言ってもすぐにわかることでしょう。嘘だと思うなら見に行けば良いじゃないですか。すぐそこですよ。見える場所は。」
「お前、そして、健司、どっちかがすぐわかるうそを言ってんだ。嘘だったら分かってるな。痛い目を見てもらうからな。」
「大黒さーん。車が、車がねえ!健司、どこにやった。さっさと吐きやがれ!」
それから男たちはみんなで玄関の方に出て行った。玄関の外に出てくれれば、お漏らしされても水で流せば大丈夫だ。
「お母さん、コーシェンだよ。心胆寒からしめてやってよ。」
「レイ、良く分かったわね。お漏らしされるのが嫌だったって。おまえらー!よくも我が家を脅そうなんて考えたわねぇ。そこに直ってひれ伏しやがれ!二度と来るんじゃねなわよ。」
母さんの魔力が膨らむ、男たちはガタガタと震えて地面に頭をこすりつけんばかりだ。
「立ち去んなさい!二度と我が家に近づくんじゃないわよ。!」
『ひぇーっ』
ズボンの前をびしょぴょにしながら後ずさっていく男たち。顔は青ざめてガタガタと震えていく。ある程度後ずさるとこちらを振り無ことなく逃げて行った。
「あっ、収納した車どうしよう。」
「警察署に届けるか素材にしたら?」
「警察署になんて言って届けるのさ。」
「落とし物拾いましたってよ。」
「普通拾えないでしょう。」
「じゃあ、素材にするしかないわね。」
「それでさ、あの連中何しに来たの?」
「さあ、良く分からないけど、私の化粧品が欲しかったみたい。違法薬物を使ってるだろうなんと息巻いてたわ。」
「なんでお母さんの化粧品?誰かに貸したりしたの?」
「以前、化粧品会社に分析頼もうとしたけど…、そのサンプルが変なところにわたっちゃったのかしら…。」
「分かんな。でも、変なのが来たら気を付けないといけなぞ。奴らだけならもう二度とこないと思うけど、上がいるなら心配だ。」
お父さんが、少し不安げな顔で僕たちを見ていた。
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