第261話 洞窟階層踏破

 洞窟ダンジョンだけど、割と大きめの洞窟で壁がほんのりと光っている。採集して素材にできないか研究したいところだ。というか、転がっている石や削った壁を採集した。


「次階層入り口まで40km程なのね。前をガーディーとソーディーに後ろをインディーに護衛させてエスに乗って探索しましょうか。」


「了解です。ガーディー、ソーディー、インディー警護をお願い。」


「俺たちは、デッキでそのまま待機する。用心の為にバッキーをデッキに上がらせておいて、魔法攻撃があった時にこの広さじゃゴーレムハンドでの盾の取り回しは、厳しそうだ。」


「了解です。バッキー、アンディーさんとロジャーさんの護衛を頼んだわよ。」


 フォーメーションを確認して探索を開始した。


 今の時刻は、10時50分さっきまでの調子なら12時前には、次階層入り口に到着できるだろう。11階層12階層と2階層踏破なら1日の成果としては十分だ。


「ねえ、ミラ姉、この階層の階層入り口を越えて、13階層に行くことができたら、今日の探索は終わりにする?」


「そうねえ。2階層踏破出来たら終わりにしても良いわね。素材もたくさん手に入ったし、まあ、時間があったら指名依頼の転送の魔石を何個か集めてから戻りましょうか。」


「5ローテしたら、20個は手に入る。そしたら全部で金貨200枚になるから一日の稼ぎとしてはかなりいい稼ぎだと言えるね。」


「そうね。3カ月前からは考えられない稼ぎだわ。」


「前方、右から魔物が来ます。大きいです。ソーディーとガーディーが、接触しました。」


『ガガーンッ』


 重たいものが金属にぶつかる音。ガーディーが魔物からの攻撃を盾で受けた。シールドバッシュが通らない。攻撃を止めるだけでギリギリだ。横からソーディーが切りかかった。


 魔物は、左手に持った木の盾でソーディーの攻撃を受け流し、後方に飛びのいた。ガーディーが腰を落とし、構えを一段低くした。その直後、頭の上を投げ斧が通過し、魔物の首に命中した。


『ボトリッ』重たい音がして頭が落ち、魔物は魔石に変わっていった。ドロップ品は、こん棒。石でできたこん棒だった。


「トロール?ですか…。」


「大きかったね。」


「一体だったから、楽勝だったけど、あんなのが群れでやった来たら苦労することになるかもしれませんね。」


「俺たちは、全然楽勝だぜ、少しスピードアップしても良いんじゃないか?いつ会敵しても対応できるように準備してるからな。」


 ロジャーは、自信満々で上から話しかけてきた。


「了解です。しっかり準備頼みますよ。スピードを上げます。」


 スピードアップ後の会敵は、戦う間もなく終わることが多かった。スピードに乗ったソーディーたちの会敵直後の一撃で魔石になってしまう魔物ばかりだったからだ。魔石回収はした。ほとんどがトロールの魔石だった。トロール以外には、オーガの魔石も3体程混じっていた。


 30分後、僕たちは次階層入り口の前にいる。ボス部屋だ。扉は大きい。ワイバーンの次の階層ボスの部屋だ。ワイバーンを越える魔物か一度ワイバーンよりも弱い魔物に戻るのか入ってみないと分からない。


 扉は、大きい。オットーで入ることができる大きさだ。今まで通り慎重に行くなら、オットーに全員乗り込んで中に入り、デッキの上で戦うか中から魔法攻撃を行うかは相手を見て決めてきた。


 今回も同様の作戦で行く。フォーメーションもいつも通り、先頭はガーディーとソーディー、2体にドアを開けてもらってオットーが続いて中に入り、殿しんがりがインディーだ。その後、相手を見てその後の対応を決める。


「じゃあ、行くわよ。シエンナ、お願い。」


「ガーディー、ソーディー、入り口を開けて、中に入って扉を開けておいて。」


 ガーディとソーディが中に入った。シエンナが情報共有で中の様子を探る。


「今のところ罠はないようです。中に入ります。」


 僕たちの後ろを警戒しながらインディーが着いてきた。

 全員中に入ったところで、パタリと扉が閉まった。階層ボスとの戦いが始まる。


「前方から魔物が一体現れます。頭が牛、二足歩行の魔物です。体長およそ10m。ミノタウロスのようです。」


「バッキー上に上がって、続いて上がってくるロジャーたちの警護、シエンナは、運転席に残って、ゴーレムハンドに盾を持たせておいて頂戴。シエンナ以外は上で応戦よ。」


 ミノタウロスは、右てをオットーの方に向け魔力を集めている。シエンナは、ゴーレムハンドに盾を持たせて防御の体制を取った。


『ゴーッ』


 大きなファイヤーボールがミノタウロスの右手から射出させた。


『バフッ』


 ファイヤーボールがオットーの持つ盾で叩き落された。


 バッキーに続いてデッキに出たロジャーがデッキ上でジャンプし、無理やり作った射線に向けて投げ斧を放つ。正確にミノタウロスの首に飛んで行くロジャーの斧をミノタウロスは、自らの斧で受け流した。


「右手が下がった。オットー、盾を下げて射線を作ってくれ!」


「ウェポンバレットーッ!」


 アンディーが放ったたくさんの武器がミノタウロスを襲う。何本もの大剣や槍を体に受けボロボロになりながらも崩れないミノタウロス。


 両手で持った大斧を上段に構え、オットーに向かって切りかかって来た。


「シエンナ!シールドバッシュよ。」


 ゴーレムハンドが構えた盾で大斧を受け流し、ミノタウロスを吹き飛ばした。


「止めだよッ!」


 ロジャーの斧が大勢を崩したミノタウロスの首に向かって飛んで行く。


『ボトリッ』


 ミノタウロスの首が落ち、魔石と高級カジュアルマジックバックがドロップした。


「中々、手ごわいボスだったね。」


 って僕とミラ姉は何もできなかったけど…。ぼそりと独り言を言う僕だった。


 下の階層は、またも森の階層だった。


 下階層入り口をサーチしてみる。今度は、上よりもさらに多い9か所の階層入り口が引っかかった。一番近い入り口はここから2km程の場所にある。


「ミラ姉、ここって入り口が9か所もあって、一番近い入り口がここから2kmほどの場所あるんだけど行ってみる?」


「入り口が9か所なんでしょう。一番近い場所が正解の可能性は限りなく低いから今日はこの位で引きあげましょう。後は、転送の魔石を何個か集めてレイを賢者の工房に残してギルドに報告に行くっていう流れでどうかしら。レイは、時差ボケ防止の為に昼寝してたらいいんじゃない?夜中起きていられるように。多分、森の賢者様って今頃寝てるんでしょう?」


「今、午後2時か…。向こうは多分深夜だから寝てるね。明日の朝8時が向こうの夜9時40分過ぎらしいからどんなことしても時差ぼけはしてしまうと思うんだ。ただ、次の日が休みだからね。あっちで時差ぼけ調整かな…。まあ、でも今日は、明るいうちから寝ていたら、時差ボケを軽くすることができるかもしれない。」


「とにかく、一度、10階層に戻って、転送の魔石採集ローテを開始しましょう。」


 10階層まで戻って、転送陣から1階層に戻った。それから転送の魔石で10階層にまた戻って、ワイバーン退治って言うローテを繰り返した。冒険者ギルドに収める転送の魔石を20個そろえたところで、賢者の工房に送ってもらった。勿論、ガーディアンの間でのコア採集はしたけどね。


「この前ここにきてから14日以上たったんだね。メアはちゃんと家を整えてくれているかな…。」


「大丈夫じゃない。シエンナとしっかり情報共有できていたみたいよ。」


 森のダンジョンの4階層にある賢者の工房の結界を解き、中に入った。前回来た時よりも家はこざっぱりしていて、雑草なんかも生えていなかった。


「ただいま、メア。頑張っていてくれたみたいだね。」


 メアは、僕のお礼に丁寧なお辞儀で応えてくれた。


「今から、お風呂に入って、しばらくの間、眠るからさ。起きた時の為に食事の準備をお願いするね。」


 僕とロジャー以外は、全員、冒険者ギルドに寄ってパーティーハウスに戻る。僕とロジャーは、森の賢者を迎えて、王都に向うことになっている。だから二人とも森の賢者の工房に泊まりだ。


「警護が必要な時は必ず呼んで頂戴よ。ロジャーも二人で大丈夫なんて考えないで、今日の夜からアグリゲートメンバーは全員揃っているからね。王室との魔術契約なんて大事なんだから軽く考えないのよ。」


 くれぐれもと何度も注意をされ、みんなを見送った。その後、お風呂に入って仮眠を取った。ロジャーも一緒なのは、森の賢者と同じように動く予定だからだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る