第249話 化粧水の魔法陣

 今日することは、昨日の内に話した。まず、玲がため込んでいる色々な物の働きと作りを教えてもらうこと。これは、お店が空かないうちにだ。お店が空いたら、炭を買いに行く。ラジコン飛行機と言うのを買いに行く。ラジコン飛行機の精錬コピーをしてホームスペースにコピーすること。それから、そのラジコン飛行機と言うのを飛ばしてみること。炭を作る実験をすること。できれば、溶岩採集にも言ってみたいけど、さすがに無理かな。


 朝ご飯を食べて、工房に移動した。父さんと母さんも一緒だ。で、玲のアイテムボックスの中にある得体のしれない物について話を聞くことにした。


 まず、タブレット。ゴーレムタブレットに似ているけど全然違う。玲が持っているのは、全く動かない1台と画面が光って色々な模様が出てくる1台だ。


 動く方は、父さんの携帯電話と通話ができる。ゴーレムタブレットの通話機能付きのようにだ。でも、もう一台の方は全く動かない。どうしてだ?色々な部品を買って来て精錬コピーした物だそうだけどどうして動かないのか不明だそうだ。


 黒いキラキラした石。これは?


 黒曜石という石だそうだ。ガラス質で昔は刃物や矢じりになっていたそうだけど、何の役に立つ物だろう?大事に取ってあったから加工するのも申し訳ないと思ってそのままにしておいた。


 テレビのリモコンも入っていた。電池も入っている。これも理由はは分からないけど動かないらしい。


 ガラスのコップやポーション、薬草や毒気し草なんかも入ってるけど、大体向こうの者と同じような物だ。ポーション入りの化粧水が沢山あったけど、ポーション瓶に入ってないからすぐに劣化するはずだ。ポーションの魔法陣を手に入れたからこっちの溶岩を粉にしたものと海岸の砂で瓶を作って魔法陣を刻んだものを作ってみた。少し茶色ががかった瓶になったけどこの中に入れておけば、化粧水が劣化することは無いと思う。


「この瓶に入れておけば、ポーション入りの化粧水が劣化することが無くなるよ。お母さんが使っている化粧水なんでしょう。」


「えっ。本当。玲とレイに作ってもらった化粧水はとっても効果抜群なんだけど、1週間もしないで効かなくなるのよね。まだ、前回の化粧水の効果が残っているのによ。それって瓶のせいだったの?」


「そうだよ。今アイテムボックスの中にある化粧水と乳液って前僕が作ったのを玲が再精錬した物なの?」


「そうなの。だから、使う時に使う分だけ出してもらってたの。じゃあ、この瓶、乳液の分も作ることができる?」


「できると思うけど、同じ色の瓶にしたら分かりにくくなるね。溶岩と砂を混ぜただけじゃあ同じ色になるからね。他に色のついたガラスかなんかあればいいんだけど…。」


「古いガラスの花瓶があったはずよ。赤い色がついていたからそれで作ってみて。」


 お母さんが古いガラスの花瓶をどこからか持ってきた。そのガラスと溶岩の粉末を混ぜて赤味の強い瓶を作った。茶色と赤茶色だから似てると言えば似ているけど違いは分かる。赤茶色を乳液にした。中に白い液体が入ったことで少し明るい赤色に見えるようになった。


 前回も化粧水と乳液を作った気がするけど、今回は瓶だ。僕の魔力だけで作った化粧水と乳液も作っておいた。玲が再精錬すれば、効果が高い化粧水になるはずだ。


 そんなことをしていたら10時を過ぎた。まず、模型店に行ってラジコン飛行機を探してみることになった。模型店に行き、ラジコン飛行機を探した。模型店も見つからなかったけど、飛行機のラジコンなんてどこにもなかった。お父さんと一緒に電話したり、車で捜しまわったりして大型ディスカウントショップで一台購入することができた。


 昼過ぎまでラジコン探しに時間がかかってしまった。モーターや電池は、向こうでは再現が難しいけど、外観や細かなつくりは、再現することができる。それにモーターと電池は、ゴーレムコアと魔力で何とかできるから、こちらで一から作成するより簡単だと思う。


 家に帰って、お父さんと工房にこもってラジコン飛行機の組み立てをした。初心者向けのラジコンモデルだったけど組み立てにも時間がかかった。


 飛ばしてみようということになったんだけど、飛ばせる場所がない。となったら、廃校にゴーだ。出来上がったラジコン飛行機を精錬コピーして向こうに送っておく。それから車に乗って廃校に向かった。


 廃校までは、車で2時間かかる。既に夕方近い時間だ。地球では何かと時間が早く過ぎていく気がする。まあ、向こうの世界でドローンなんかを乗り回している方が普通じゃないとは思うのだけど。


 ラジコン飛行機飛ばし。なかなか面白かった。操縦はとっても難しかったけど、何度壊れても、リペアがあるから大丈夫だ。


 暗くなるまでラジコン飛行機を飛ばした。とうとう炭を作る実験はできなかった。炭だけは、購入しているし、木材もあったから精錬魔術で作ることはできた。でも、魔術を使わないで作る方法も知っておきたい。それは、次に転生した時の実験課題にしておくことにした。


 飛行機が空を飛ぶイメージは持つことができた。そして、その難しさもだ。着陸が特に難しい。ゴーレムコアの力を借りれば何とかなるかもしれないけど、無事故を続けるには、かなりの熟練度が必要だろう。ゴーレムは、情報共有ができるから、熟練度を上げるスピードは速いと思うけど安全第一で実験を進めないといけない。


 明日の朝、向こうに戻ることになる。今日のラジコン飛行機飛ばしのことしっかりダイアリーに記録しておこう。

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