第233話 初めての王都旅行―シャル
【シャル視点です】
今日は、朝からみんなそわそわしていた。初めての王都への旅行。馬車なら2週間。歩いたら
私が借りているバッグは、いつものお茶の道具を入れている。小さなバッグだから、ドレスなんかを入れると皺になっちゃいそうだったの。それで皺になったりしない物をいれておいて言うことでお茶の道具が入っているの。私の財布と下着なんかもいれてるよ。
ドナ先生は、自分の荷物と軽食、食器、軽食用のテーブルなんかもいれてるみたい。椅子もあるって言っていた気がする。アテムボックスみたいなスキルを持ってるから色々入れられるらしいの。
レイさんたちが研究所から戻ってきたら、新ゴーレムバスで王都まで旅行よ。砦から町まで行き来しているゴーレムバスは、ガタガタ揺れるけど新ゴーレムバスは、あまり揺れないんだって。長距離用のバスっていうのよ。初めて乗るの。それも楽しみ。
あっ、レイさんたちが帰って来た。一緒にいるのは、ジェイソン様とアントニオ様だ。他にも研究所の研究員の方が10人くらい。それでも余裕で全員乗れてしまう。
「じゃあ、留守の間警備をしっかりお願いね。バッキーが責任者よ。何かあったら、このタブレットに情報を乗せて送ってちょうだい。」
『バッキー:畏まりました。皆様行ってらっしゃいませ』
私たちのタブレットにもバッキーからの連絡が入った。
「行ってきます。バッキー。後は宜しくね。」
魔力登録していない私の声はバッキーには届かないと思うけど留守をお願いした。
砦を出発して1時間。メイド3人でバスに乗っている皆さんに冷たいポーション入りのジュースをお配りした。あんまり水分を取るとトイレに行きたくなっちゃうからって、お替りをする方はいない。
皆さんにお配りした後、私たちも頂いた。美味しいジュース。その後は、何もすることは無く、その景色を見ながら過ごした。アリア姉が窓の外に魔物を見つけては騒いでいたけど、このバスのスピードに追い付くことができる魔物がいるはずもなく、何事もなく王都まで到着するはずだったのだけど…。
「フォレスト・アグリケートの皆様。少々前の方へお集まり頂ていもよろしいでしょうか?」
「エリックさん、どうかしましたか?」
前の方で、ミラ様とエリック様がお話をされている。
「進路前方の砂煙ですが、戦闘中のようです。」
「ちょっと待って…。索敵で探ってみる。」
…。
「商隊と魔物…。いや、魔物と人が人を襲っている。どう言うことだ?」
ロジャーさんが難しい顔をしている。何か良くないことが分かったのかしら。ロジャーさんって、面白くて、いつもみんなを笑わせくれるのに、今は少し怖い顔をしていた。
「エリックさん、バスはいったん止めて、私たちは、オットーで商隊の救出に向かうわ。バスは、安全な距離を確保したまま待機しておいて。もしも、私たちが危なそうだったら王都に救援依頼に入ってちょうだい。宜しくね。」
「畏まりました。皆さんが不覚を取ることなどないとは思いますが、もしもの時はそう致します。」
フォレス・アグリゲートの皆さんは、急いでゴーレムバスを降りて、いつものゴーレム戦車に乗り換えて行ってしまったわ。エリック様は、その後を少し距離を取って追われている。私もドキドキしながらその様子を見ていたの。
もう2
アリア姉が、ギュッとしてくれた。暖かくて、少し怖いのが遠のいて行った。
「大丈夫。ミラさんたちとっても強いから。」
暫くして、エリック様のタブレットに何か連絡が入ったようだ。
「皆さん、商隊の中にたくさんの負傷者がいるようです。ミラ様が治療を済ませましたが、馬車で王都まで戻ることが難しい方をバスに回収します。私たちは、その方たちを乗せて王都に向かいます。少々時間が遅れますが、ご承知おきください。」
エリック様から説明があった。負傷者を回収するそうだ。少し時間が遅れるって、どのくらいだろう。レイさんたちの話だと後1時間位で王都って言ってたけど。
「エリック、少々送れるとは、どのくらいの時間なのだ?」
ブラウン様がお聞きになられた。
「今、戦闘が行われていた場所に向かっております。少し街道からそれた場所で戦っていたようですから、そこに向かって負傷者を回収してと考えますと多くて30分の遅れになると思います。」
「そんなものか。本来、2週間の道のりなのだ。2時間の予定が2時間30分になったところで遅れたなどと思わぬぞ。」
30分ってゴーレムバスを使ったら町まで往復できる時間だけど、普通に歩いて行ったら町までの半分も行ってないくらいの時間よ。遅れたなんて思わないわ。
バスが止まって、何人もの人がバスに乗ってきた。皆さん顔色が悪い。10名くらいの人がバスに乗ってきた。中には冒険者の方もいるようだ。
「皆さん。遠回りしてもらってすみません。念のため、ここに簡易トイレを作りましたから、一度トイレ休憩を取りましょう。メイドの皆さんは、トイレを済ませて、怪我人の方達にポーション入りジュースを配ってもらえますか?まずは、トイレを済ませてですよ。」
「はーい。」
私たちは、トイレを済ませて、しっかりと手を洗ってバスに戻ったの。それから、ポーション入りジュースをお配りしたわ。皆さん、美味しい美味しいって飲んで下さったの。エヘン!そうでしょう。私たちが作ったポーション入りジュースは、王室の方も美味しいって言って下さったのよ。
フォレス・アグリゲートの方もバスに乗り込んできたけど、アンディーさんとシエンナさん、ドロフェイさんとソイントゥさん、シェリーさんとヴェルさんは乗ってこなかったの。ゴーレムバイクとマウンテンバイクで盗賊たちを近くの町まで運んで行くんだって。
何でそんなにたくさんの人が残っているかって言うと、とにかく盗賊の人数が多かったのと魔物使いがいたから用心の為だって。私がそんなことを知ってる理由?レイさんとエリック様の話を聞いたからよ。
それから、1時間10分程で王都に着いたの。怪我をした方達もパーションジュースを飲んでバスの中で休むことができたからか、王都の大門前で降りる時には元気になっていたわ。
商隊の方々は、王門に入るための審査を受けないといけないということでバスを降りたけど、私たちは、バスに乗ったまま王都の中に入ることが許されていたわ。事前に人数と名前、目的などを知らせていたからなんですって。
バスで止まる予定の宿の前に到着。レイさんがバスを収納して、ブラウン様とアントニオ様は、それぞれの自宅に、研究員の皆さんも王都の自宅に戻って行かれたの。
「シェル。今日は、一緒の部屋ね。後でお風呂に行きましょう。ミラさんから教えてもらったんだけど、とっても素敵なお風呂何ですって。アリアも一緒にね。」
バスが王都についたら、メイドのお仕事はお休みにして下ったの。だから、ドナ先生も休み。一緒にお風呂に行こうって。何か嬉しいな。パーティーハウスでも良く一緒にお風呂に入ってるけど、こんなお宿何て初めて泊まるし、早く着替えてお風呂に行こう。
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