第217話 転送の魔石とギルド査定
魔法陣の転送先は、1階層の入り口側にある隠し部屋だった。普段は、普通の壁だけど、転送陣が発動した時だけ現れる空間のようだ。突然、僕たちがダンジョンから出てきたからジェイコムさんたちが驚いていた。
「
「
「流石に、そんな法螺話信じられないな。このダンジョンは、魔物の肉や皮以外のドロップ品は、ゴブリンの武器くらいしか聞かないぞ。それにエリアボスって何階層まで潜ったんだ?」
「えっとですね。11階層です。10階層にエリアボスがいて、転移魔法陣がありました。これが、転移の魔石です。エリアボスを討伐したら手に入りました。」
僕が、転移の魔石をジェイコムに見せると、息をするのを忘れたみたいにポカンとして魔石を見ていた。
「本当に、本当に本当に、アイテムバッグがドロップしたのか?」
「本当ですって。9階層でグレートウルフを倒した時と、キングベアを倒した時にドロップしたんですよ。」
「そんな浅い階層でか…。そのアイテムバッグを見せてくれないか?」
「これです。」
「キングボアの皮のアイテムバッグか…。国宝級とはいかないが…、かなりの値が付くだろうな。ありがとう。良い情報だ。きっとギルドでも大騒ぎになるぞ。ギルマスに宜しく伝えてくれ。」
それから、僕たちは、冒険者ギルドに行ってアイテムバッグを査定してもらって、調剤ギルドで上級回復ポーションと上級毒消しポーションを査定してもらった。アイテムバッグは、査定結果が出るのに少し時間がかかると言われたので、調剤ギルドでの査定結果を聞いている。僕が精錬した物より少し安かった。1本金貨7枚の査定だった。そこで、ダンジョンで拾った上級ポーションを再度精錬してみた。
なんと、ポーション瓶の性能も上がって最上級ポーションの品質になってしまった。それだと、金貨40枚でも安いと言われた。もしも、ポーション瓶もちゃんと最上級ポーションの物にすれば、金貨100枚で買い取ることができると言ってもらった。しかし、フォレストメロウの調剤ギルドには、最上級ポーションの瓶がなかった。今度王都に行った時に手に入れておこう。
アイテムバッグの査定結果が出たらタブレットで教えてくれるということだったから、パーティーハウスに戻って休むことにした。そう言えば、SSSランクの魔物の魔石ってどのくらいの価値があるんだろう。ヒドラ退治のこと言ってなかった。まあ、後で伝えたらいいか。
『FGA:ギルドポイントについて話したいことがある。フォレスアグリケートの各パーティーの代表は、冒険者ギルドに来て欲しい。それと、エリアボス討伐の話は聞いていないぞ。ジェイコムから連絡があった。まだ、話していないことがあるなら今すぐ話に来て欲しい』
「レイ、あんたも来なさい。ヒドラの魔石も持っているし、さっき最上級ポーションなんか作っていたでしょう。それに、色々査定してもらわないといけないドロップ品もあるしね。」
という訳で、シエンナの運転でエスに乗って冒険者ギルドにまた向かっている。さっき帰って来たばかりなのに…。同乗者は、ミラ姉、ヒューブさん、ボフさんだ。ギルドポイントの振り分けについてとドロップ品の査定の話だそうだ。僕は、荷物持ちだ。色々なドロップ品をアイテムバッグの中に入れているからな。カニのハサミや甲羅なんか買取してもらえるのかな…。
ギルマスの執務室で話をしているのは、ダンジョンの地図の買取価格についてだ。1階層から10階層までの最短の階層入り口までの地図をいくらで買い取ったらいいかについてだそうだ。シエンナを連れてきていてよかった。地図は、タブレットに送ってもらったらアイテムボックスの中でデータを読み取って紙に写すことができる。
全ての階層の地図ということで、かなりの価値になるそうだ。マウンテンバイクだけでは、踏破することは不可能だけど、船があれば、何とかなるかもしれない。船が手に入れば、ダンジョンでの渡しの仕事で一稼ぎする冒険者も出てくるだろう。あんまり効率は良くないかもしれないけど、9階層でマジックバッグと上級ポーションのドロップがあるとなると話は変わる。数%のドロップ率でも一度手に入れれば金貨数十枚は手に入る。1割のドロップ率でも1本金貨7枚は美味しい。
という訳で、海の階層と鍾乳洞階層の渡し必要な船と渡しの冒険者が休むためのコテージを譲ってもらえないだろうかといお願いをされた。それともう一つ、10階層へギルド職員と冒険者を一緒に転送してもらえないだろうかというお願いだ。
10階層のエリアボスの部屋から9階層へ移動するのと上から順番に攻略するのはどちらが楽かと聞かれたら、分からないと答えるしかない。エリアボスの部屋は、とにかく遠い。陸地の洞窟からも繋がっていると思うけど120km以上あるはずだ。
モンスターハウスをいくつも抜けてアーマードライノやサンドクラブがウヨウヨいる中を走り抜けることって大変じゃないだろうか。高ランク冒険者パーティーならもしかしたら簡単かもしれない。
今日の雰囲気だったら、ワイバーン退治はフォレス・アグリケートなら単体パーティーでも可能だと思う。今から行って3個の転移の魔石を手に入れることも可能だろう。ワイバーンがすぐに復活するならの話だけど。
そんな話をギルマスにしたら、今日いる冒険者パーティーの中でワイバーン討伐ができそうなパーティーを一緒に連れて行って欲しいと頼まれた。まだ、2時で夕暮れまで時間があったからOKしたけど大丈夫かな…。
すぐに出発して、ワイバーンが討伐後すぐに復活するなら2時間で帰ってくることができるはずだ。ただ、復活しなかったらコテージを貸してあげるから僕たちだけ先に帰るってことにした。
冒険者ギルドにいたAランクパーティーが二つギルド依頼を受けて参加することになった。ワイバーン退治をしたことがあるということで僕たちとしては安心だったんだけど、その結果受賞者が3人も出てしばらく活動休止したという話を聞いてアンディーとロジャーがそれぞれのパーティーに応援に入ることになった。という訳で、僕たちは、ミラ姉とシエンナと僕の3人で討伐しないといけない。まあ、何とかなるでしょう。
全員で27名の集団に膨れ上がったけど転移の魔石は大丈夫かな…。この大人数だとオットーじゃあ椅子が足りないからゴーレムバスでダンジョン入り口まで移動した。少し揺れたけど20分もかからなかったから気分が悪くなった者はいなかった。
転移の魔石に魔力を注ぐと隠し扉が開いて中に入ることができた。27人はかなり窮屈だったけど何とか入り切った。転移の魔石に魔力を注ぐ。かなりの量の魔力が吸われたけど、部屋いっぱいに魔法陣が展開し、手の上の魔石が消滅すると同時にボス部屋の扉の前に転送された。
「誰から行く?僕たちで良いかな?」
みんなに聞いて許可をもらったからシエンナ、僕、ミラ姉の3人で行くことにした。勿論、ガーディーとソーディーに扉を開けてもらう。徒歩で中に入ると扉が閉まった。多分、エリアボスを倒すまで扉は開かないし、下の階層から上がってくる時しか扉は開かない。つまり、ワイバーンを倒すしかないということだ。
「撃ての合図で一斉射撃よ。良い?」
「「了解。」」
一発目、魔力を限界まで練り込んだファイヤボールを準備した。
「撃て!」
ワイバーンに攻撃の時間を与えないようにすぐに右手の合図が出された。
『『『シュゴーッ、シュゴーッ、シュゴーッ。』』』
9発の白いファイヤーボールがワイバーンに炸裂した。首から上を吹き飛ばされたワイバーンは、転送の魔石とコテージをドロップしてダンジョンに吸収されていった。ドロップ品と魔石を回収して下の階層に降りて行った。寒い。だからすぐに引き返して扉を開けて外に出た。
次は、大樹の誓のメンバーが準備していた。オットーのデッキの上にヒューブさん以外全員乗っている。シェリーさん以外は魔石ライフルを構えている。ヒューブさんは、シエンナにオットーでの魔石ライフルの扱い方を教えてもらっていたから、操縦と魔石ライフルでの攻撃を行うのだろう。
下には、オットーのまま降りていくつもりだろうか…。まあ、入り口の大きさは何とかなる大きさだ。中に入って5分程で出てきた。転送の魔石とオットーさんたちもコテージを手に入れたようだ。デッキの上にコテージを乗っけている。ドロップ率高いな…。
次は、ファルコンのメンバー。ファルコンは、2号で中に入るようだ。ドローさん以外はデッキに上っている。ここも5分程で扉から出てきた。
次は、Aランクパーティー。6人のパーティーメンバーとロジャー。ロジャーは斧で首を落とすのかな…。首狩りのロジャーだからね。
ここは、3分ほどで出てきた。ドロップ品はなかったようだ。転送の魔石だけ。
次は、同じくAランクパーティー6名ととアンディー。ここも3分ほどで出てきたけど、コテージを拾ったそうだ。二つのパーティーも誰も怪我することなく討伐することができた。これで、依頼完了だ。
27人全員が一度には、転移の魔法陣に入りきれなかったから、先に僕たちが魔法陣で戻ってゴーレムバスを出して待っていた。すぐにAランクパーティーのメンバーが転移していてバスで町の冒険者ギルドに戻った。
「アンディーさん、ウェポンバレットってすごいです。あの一発でワイバーンが霧散してしまいました。俺も同じ土属性なんで、教えてもらえませんか。」
Aランクの先輩冒険者がアンディーに教えを乞うていた。アンディーは、王族にもグル何て呼ばれているからよっぽど指導者ぽいんだろうね。
冒険者ギルドで、転移の魔石を2個販売した。1個を金貨100枚で購入してくれた。一緒に行った冒険者も転移の魔石を購入してもらっていたが、金貨50枚だった。ただし、優先的に転移の魔石を使用することができるのだそうだ。その場合は、必ず誰かを一緒に転移させないといけないらしい。そんな風にしてギルドは、転移の魔石を増やしていくのだそうだ。
今回の転移で1回27名は大丈夫なことが分かったから今後も27名を基準に転移してくのだと言う。しかし、ワイバーンを倒すことができないと転移の魔石は手に入らないんだけれど、大丈夫かな…。
僕たちは、ギルド依頼の達成ポイントと依頼料として金貨10枚を受け取った。さっき転移の魔石を金貨100枚で買い取ってもらったから今日だけで金貨210枚を稼いだことになる。それから、小さめのコテージをドロップ品として手に入れたことを伝えるとそれも査定してくれた。地下がないコテージだけど、金貨15枚で買い取ってくれるそうだ。この大きさだとマジックバッグに入れることができてちょうどいいということだった。
地図の査定とマジックバッグの査定は明日まで待って欲しいということで、その後、ギルドポイントの振り分けについて話をした。エリアボス退治は、ギルド依頼でも各パーティー行っているからそれぞれがAランクパーティーの実力があることは、証明されている。
それで、大樹とファルコンに今回のギルドポイントをぎりぎりまで振り分けて僕たちには1ポイントだけ大樹がAランクになるために必要なポイントには足りなかったけど、大樹がBランク、ファルコンがAランクに昇格できるポイントには足りた。それで昇格申請をして帰ろうと思って、今回SSSランクの魔物討伐をしたことを思い出した。
「ギルマス、実は、今回、高ランクの魔物を討伐できたんです。それで、その魔石の査定とアグリケートに与えられるポイントの査定を行ってもらえませんか?」
「高ランクの魔物ってこの前、ホワイトドラゴンを討伐してたよな。それ以上の魔物なのか?」
「それを査定していただきたいのですが…。これです。」
僕がでっかい魔石を出すとギルマスが固まった。
「その魔石の大きさは何なのだ?ドラゴンよりも大きくないか?」
「大きさだけなら、大きいと思います。何せヒドラの魔石ですから。オカタルさんが言うには、SSSランクの魔物だそうです。
「トリプルSランク…。それって査定なんて不可能だ。国宝。最上級の国宝物だ!すぐに献上の手続きをしろ!王都のギルドに連絡だ!」
「えっ?王都のギルドですか…。献上しないといけないなら直接、陛下に伺ったらだめですか…。陛下に伺うって言うより宰相閣下にですけど…。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます