第214話 ドロップ品仕込みと階層探索

「お早う。」


「「「「お早う。」」」」


 全員、揃っていた。昨日は、ぐっすり眠れたようだ。今朝は、アンディーとドローが朝食の準備を手伝っていた。僕は、昔から朝が弱い。まあ、昔はいっつも弱かったんだけど…。早く寝ないと早く起きれない。だから、今日も最後だった。


「朝食の準備はできてるから、さっと食べて行動開始だ。」


 朝食を食べた後、片付けもサクッと終わらせて、ヒューブさんがエスを操縦して森へ向かった。アンディーとシェリーさん、ルーさんはデッキに上がっている。魔物がいたら全部狩ると息巻いている。


 僕は、ヒューブさんの横に座ってナビゲートだ。まずは、薬草をサーチして生えていそうなところに案内していく。薬草でサーチしたんだけど、対象が動いている気がするのは何故だろう?


 しばらく進むと魔物がいた。小さい魔物で、緑色をしている。大量にいるんだけど、なんか弱そうだと思っていたら、きらりと光るものが見えた。


「アンディー、下の魔物、毒針か何かを飛ばしてくる!」


「アローレイン!アローレイン!アローレイン!アローレイン!」


 魔物の毒針よりルーさんのアローレインの方が射程が長い。撃ち漏らした魔物がいないか確認しながら、アンディーがエスの右側の魔石とドロップ品を僕が左側の魔石とドロップ品を回収していく。初級ポーションがいくつかポーション瓶に入ってドロップしていた。昨日の実験がうまくいったようだ。


 ドロップ品の中には、薬草と毒気し草もあった。ここの薬草で作ったポーションはどの位の効き目があるのだろう。薬草と毒気し草の両方が早々に手に入った為、予定よりも早く森に向かうことにした。


 次は、コテージの材料探しだ。釘の代わりに魔物の素材なんかを使用してあるようだからここのダンジョンにあるもので作ることができるかもしれない。とにかく、木材を採集しないと始まらない。


 森に向かう途中、キングボアを3体狩った。ボアの魔石があれば、上級回復ポーションが精錬できる。僕が回収したボアの魔石とモーピングプランツがドロップした薬草を使って上級ポーションを精錬した。ポーション瓶500本分のポーションができたけど、ボアの魔石は半分くらいしか使っていない。キングボアの魔石は大きかったんだよね。普通のボアの魔石の2倍くらいの大きさ。多分Bランクの魔物かな…。


 エスのスピードを落としてもらって所々に回復ポーションを撒いて行った。種蒔きみたい。すぐにダンジョンに吸収されていったようだ。僕は見えなかったけど、アンディーがタブレットで知らせてくれた。


 Bランクの魔物の魔石と魔物の皮があるということは、アイテムバッグが作れるということだ。僕は、キングボアの皮と魔石でアイテムバッグを作ってみた。馬車3台分位の容量のバッグができた。中々良くできたバッグだったけど、ここのダンジョンの価値を上げるためだ。


 一度、エスを止めてバッグを地面に置いた。すぐにバッグは吸収されて無くなってしまった。僕たちの狩りのドロップ品で出て来てくれればいいんだけれど…。


 それから、できるだけたくさんのキングボアを狩ってもらったけど、上級ポーションもバッグも出てこなかった。残念。でも、1本だけ上級ポーションがドロップした。これで、この階層の価値はかなり上がったと言って良い。だって、多分だけど、1本、金貨10枚くらいの価値はある。ダンジョンを出たら、調剤ギルドに持ちこんでもらおう。


 森に着いた。アンディーがウェポンバレットを撃って、森の木を倒して回収。急いで回収しないと単ジョンに吸収されてしまう。それを3回くらい繰り返した。回収した木材の中にかなり大きな魔石と上級毒消しポーションが入っていた。そして、アンディーの武器がかなり減っていた。魔石があったということは、森の中に魔物がいたということだ。後で精錬分析したら何の魔物かわかるかもしれない。


 気になったから、魔石の分析をしてみた。マジックバイパー。こんな大きな魔石を持った毒蛇なんて会いたくない。


「じゃあ、この材木と魔石でコテージを作ってみる。あんまり大きな物は持ち運び不可能だろうから、僕たちのコテージの半分くらいの大きさのもので良いかな…。地下室なしで作ってみるよ。アンディー後で色々手直してね。」


「了解。作ってみてくれ。」


できるだけこのダンジョンで回収した物でコテージを作ってみた。大きさは、3m四方。結界付き。狭いけれど、5人パーティーが寝泊まりするには十分な広さだろう。


ドアや窓の開け閉めの調整や隙間の修理なんかをアンディーがして完成した物を精錬コピー。


「さあ、こんな大きな物でも吸収してくれるかな。」


魔石に魔力を充填しないで、結界も貼らない状態で地面の上に置いておく。10分くらいで沈みだして、20分後には、完全に吸収された。これで、この階層でダンジョンとアイテムバックもドロップするようになってくれれば大人気ダンジョンになるんだろうけど…。


僕たちのこの階層での目的は終了した。後は、この階層の魔物の調査とドロップ率の調査だ。僕とヒューブさん以外デッキに上がって狩りの準備だ。これからは、できるだけ大物を探して狩る。


魔物をサーチ。気配の大きな魔物は何体もいるが、この付近は、森の中ばかりだ。


「森の中の魔物は厄介だから、草原に向かうね。Bランク程度の魔物は、そこそこいるよ。できるだけ多く会敵するように進路を取目から宜しく。アンディーと大樹に送信。」


「ヒューブさん森を背にして11時の方向に向きを変えて下さい。」


それから、僕たちの狩りが始まった。


……。そろそろ、100体を超える。Bランクの魔物が40体程。Aランク相当が30体ほど。これは、コカトリスとキングベア、グレートウルフなんかだ。ブラッディブルもいた。どけも、群れで来られると危ない魔物ばかりだった。でも、スピードは僕たちの方が何倍も早い。危ない時は、そもそも近づかないから肝を冷やすようになことは無かった。グレートウルフのドロップ品にマジックバッグがあった。戻ってきてくれたようで嬉しかった。


3時間ほど狩りをして、ミラ姉達と連絡を取り、入り口に集合することにした。次の階層に行くかどうかを話し合うためだ。ミラ姉達もマジックバッグと上級回復ポーションを手に入れたそうだ。マジックバイパーを狩らないと上級毒消しポーションは、手に入らないようだ。そうなると森の中に入らないと難しいかもしれない。


全員集合して、狩りの成果を報告しあった。ミラ姉達は、Aランク相当の魔物を105体。Bランク相当の魔物を62体狩ったそうだ。ドロップ品は、肉が多かった。キングボアを10回狩って、上級回復ポーションが1回だけドロップしたそうだ。僕たちもその位だから、ドロップ率は1割行かないくらいかもしれない。


マジックバッグは、Aランク105体狩って1回だけだったと言っている。僕たちは、グレートウルフのドロップ品だったけど、ミラ姉達は、キングベアを狩った時のドロップ品だったそうだ。ボアの皮で作ったから、そのボアを食ったことのある魔物からドロップしたのか?ドロップ率は数パーセントだ。


それでも、かなり高い確率でドロップすると言って良い。この報告をしたら、多くの冒険者がこの階層を目指すかもしれない。


「次の階層に行くか?」


「次の階層は、10階層だな。11階層に行く階層ボスの部屋か、この階層の階層ボスの部屋がエリアボスの部屋になっている可能性があるな。まあ、初回限定サービスのボスよりも弱い思って良いだろうけどな。」


ボフさんが教えてくれた。流石ベテランBランクパーティーのリーダーだ。


「せっかくだから、エリアボスを倒して帰りましょうか。そこにうまい具合に転送出口なんかあったら嬉しいけどね。まあ、そんなに都合良くいかないでしょうね。」


「じゃあ、次の階層入り口をサーチするよ。」


「サーチ。」


「2か所か…。森の方と草原の方2か所に反応がある。近いのは森の方。遠い草原でも、80kmしか離れていない。オットーで行けば1時間もかからないよ。僕は、森より草原の方が良いと思う。」


「私もそう思うわ。草原だったらオットーのスピードについてこれる魔物はいないから。」


「では、草原の階層入り口に向かおう。」


デッキにアンディー、ロジャー、ボフ、シェリー、アンジー、ルーで他は、中。デッキのメンバーは、物理系を中心に派手にぶっ放す連中だ。


「じゃあ、出発しましょう。」


途中で出会った魔物は無視して、階層入り口に向かった。30分で階層入り口に到着。入り口を守っているのはグレートウルフとキングベアだ。


デッキのメンバーの高火力物理攻撃で一瞬で魔石とマジックバッグをドロップして消えた。今回の探索3個目のマジックバッグ回収だ。 

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