第204話 魔道具の使用練習

<ロジャー視点>

 今、ミラ姉とボフスラフさんが冒険者ギルドでアグリゲート登録をしている。これで、アグリゲートとして、依頼を受けられるし、ギルドポイントも折半できる。折半の割合も自分たちで決められるのだそうだ。してはいけないのは、全振り。一方のパーティーだけにギルドポイントを全て渡すことだけらしい。それなら、パーティーで依頼を受けろということだ。


 アグリゲートに関しては、細かい規則はない。いくつかのパーティーが協力体制を取ると約束して、それをギルドが確認したということだけだ。すぐに契約は終って二人は戻って来た。


「これから、宜しくな。アンデフィーデッド・ビレジャーの諸君。」


「「よろしくお願いします。」」


 俺も、シエンナも元気に挨拶した。ファルコン・ウイングの皆さんは、大人の礼で返してきてくれた。


「よろしく頼む。これで、私たちは、お互い5分5分のアグリゲートだ。今から、レイから受け取って来た装備の使い方の確認のためにダンジョンに潜ろうと思うのだが、問題はないな?」


「問題ない。どこのダンジョンに潜るのだ?この辺りのダンジョンには詳しくなてな。」


「レイから預かって来た装備の確認なら、森のダンジョンが良いかもしれないな。4階層辺りで装備に慣れてもらって6階層以降を攻略してみようか。」


「それが良いな。じゃあ、シエンナ。森の階層に行ってくれ。ゴーレム階層のガーディアンの間は、ミラ姉と俺でコアの回収をやってみようか。」


「それでいいわ。私もやってみたかったのよね。ゴーレムハンドに乗って収納。シエンナもコアの収納できるけど、私にやらせてもらって良い?」


 何故かミラ姉が嬉しそうだ。


「どうぞ。私は、エスの操縦をしてるのでお気になさらず。では、出発しましょう。」


 ロックリザードの皮鎧は全員装備済みだ。ゴーレム階層に到着する前に、タブレットの登録を済ませた。通信も練習したから大丈夫だろう。こんなに近くにいるのにタブレットを登録したり使用する理由を聞かれたけど、これから使うからと説明しておいた。


 ゴーレム階層では、ミラ姉が通りすがりにいくつかのコアを収納していたけど、特に攻撃されることなくいつものガーディアンの間の前に着いた。俺とミラ姉がデッキに上がっていくと側で見たいとストレージ持ちのアンジェリカとミラ姉とスキルが似ているボフスラフとソイントゥが着いてきた。


 窓を開けて、シエンナと連携確認をする。


「1で収納するからゴーレムハンドは、俺の方をガーディアンに寄せておいてね。1,2,3カウントで行くよ。」


「了解です。」


 シエンナが、ゴーレムハンドを伸ばして、俺の手の届くところにコアが来るように調節してくれた。


「じゃあ、行くわよ。1,2,3、次の次のカウントで収納を始めるわよ。1,2,3,収納,2,3,収納,2,3,…」


 ミラ姉が、声を出してカウントしてくれたから問題なくコアの収納は終った。こんなに楽に最難関の入り口をクリアして良いのだろうかって思える位スムーズだった。最後に収納したコア二つを破壊して魔石を取り出し、セットして次の階層へ向かう。


 48時間は、この扉は開いている。それを過ぎても転送されるから大丈夫だ。


「どうでしたか?ガーディアンの間は、こんな感じで私たちにとっては、ミスリルも手に入れられるお宝サービスの場所なんです。ファルコン・ウイングの皆さんもきっとできるようになりますからガーディアンのコアを稼いでいきましょう。」


「本当か?たしかに、ストレージを持っているアンジェリカは、コアの収納ができるようになるかもしれないが、うちはストレージ持ちは一人だぞ。今のやり方だと後一人は、ストレージ持ちが必要だし、エスか?エスも必要だ。」


「その通りです。でも、大丈夫だと思いますよ。すぐに手に入るはずですから。頑張りましょう。」


 それから、俺たちは、シエンナとドロフェイ以外は、デッキに上がり、草原階層で狩りをしている。まずは、アンジェリカの投擲武器の練習だ。投げ槍は、すぐにマスターできて、一撃で、ボアやキッキングディア―などを仕留めることができるようになった。ワイヤー付きの投げ斧は、取り回しに苦労していたけど、俺が、コカトリスの首を落とすのを見た後は、難なく使うことができるようになっていた。流石だ。この人たちのランクって何なのだろう。


「次は、遠距離攻撃の魔道具の練習ね。アンジェリカは、属性攻撃が必要な時以外使わないかもしれないけど、一応練習しておいてね。」


「シエンナ、今から遠距離攻撃の練習するから、索敵して敵を見つけたら早めに教えてくれない。」


「了解です。早速ですけど、11時の方向、すぐに進行方向になりますが、にフォレスト・スネークです。冷やして、動きを止めて首を落としてください。」


「了解。魔石ライフルをアイスジャベリンにセットして。アンジェリカ以外は、発見しだい一斉攻撃よ。最後は、アンジェリカに任せる。首を落として頂戴。」


「了解した。」


 中央にアンジェリカ、その両隣にサムエルとソイントゥ両端に魔石ライフルを構えたボフスラフとドロフェイの布陣で前方にフォレスト・スネイクが現れるのを待ち構えている。


 サムエルがアイテムバッグの中のリキロゲンボムから液体窒素を抜き出してウォーターボールにしたものを撃ち出す。超低温ウォーターボールがフォレスト・スネイクに命中し、蛇は、動きを止める。同時に、ソイントゥのアイスジャベリン、魔石ライフルから撃たれたアイスジャベリンも命中した。仕上げにアンジェリカが投げ斧で首を落として終了。大蛇は、魔石と皮だけを残してダンジョンに吸収されていった。


「あんな大型の魔物を数秒で仕留めるなんて、今まで経験したことがない。凄いものです。森の賢者の武器というのは。」


 サムエルさん絶賛だ。しかし、サムエルさんのウォーターボールでほぼ動きを止めていたんだけどね。


「3時の方向に、ブラッディブルが居ます。向かいますか?」


 シエンナは、効率よく魔物を発見するために4機のドローン、リングバード1号から4号を偵察に出している。そのドローンからの情報で索敵しているからどんな魔物がいるのかまで分かっている。シエンナの進化が止まらない。


「美味しいお肉が手に入るかもしれなわね。行きましょう。」


「了解です。布陣はそのままでいいと思います。ブラッディブルは、これといって弱点はありませんが、防御力が飛びぬけて高いわけでもありません。普通に攻撃して良いと思います。」


「ボフスラフさん。ガーディアンの間で手に入れた鉄の塊を使って槍か何かを作ってバレットの要領で撃ち出してみませんか?」


「手元にあるアイアンインゴットからなら槍を作ることができるかもしれないな。兎に角作ってみる。」


 俺が手渡した鉄の塊をクリエートの魔術で変形させていくボフスラフさん。あんまりカッコいい槍ではなかったけど、先端を鋭く尖らせた槍を10本ほど作ることができた。


「ダンジョンの中ですから、高火力で一気に仕留めましょう。サムエルさんは、魔石ライフルを使ってみて下さい。魔石ライフルの方は、魔力多めの高出力ファイヤボールにセットしてください。ボフスラフさんは、ウェポンショットで、槍1本から始めてみましょう。狙いをしっかり。では、ブラッディブル退治です。」


 ミラ姉が武器や魔術の指示を出す。会敵後、数秒でブラッディブルは肉と魔石になっていた。


「やった!肉です。今晩は、ご馳走になりそうです。」


 アンジェリカさんのはしゃいだ声が聞こえた。見た目大人の素敵なお姉さんなのに、はしゃいだ声が可愛い。


 肉と魔石を収納して次々に魔物を狩って行った。1時間程で20体近くの魔物を仕留めた。


「じゃあ、次の訓練に移りましょうか。」


「次は、どんなことをさせてもらえるんだ。なんか、ワクワクしてくるぞ。」


「次は、ドローンでの戦闘訓練です。戦闘といってもこの階層では、上空で会敵することはありませんから、まずは飛行訓練ですね。この中に、縮地や空中姿勢制御などのスキルを持っているのは誰でしょう?」


 ミラ姉の質問にアンジェリカさんが答えた。


「私と弟は、縮地と空中姿勢のスキルを持っている。高所からの飛び降りなら任せてくれ。」


 流石猫族だ。


「高所からの移動だけなら私もできるぞ。力業になるけど、私ともう一人くらいなら高所から安全に着地できる。」


 ソイントゥさんが手を挙げた。


「3人いれば、皆さんは自分たちだけでドローンを飛行させることができるようになりますね。でも今日は、私たちと一緒にドローンを操縦してみましょう。シエンナとアンジェリカ、そしてボフスラフさんで新しいドローンに乗って下さい。すべての有人ドローンは、シエンナと契約していますが、使役登録は、一人と行います。。使役登録は、アンジェリカさんが良いですか?ストレージ持ちですから、使用しないときは、ストレージに収納できるでしょう。」


「そうだな。それでお願いしたい。」

 ボフスラフさんが、了解し、他のメンバーも不服はなさそうだったので、アンジェリカさんに使役登録をしてもらった。


「もう1機は、どなたが使役登録しますか?」


「あの…、私にスキルが似ているドロフェイさんにしてもらえば、もしかしたらゴーレム系のスキルが生えてくるかもしれません。」


 シエンナの提案に誰も反対する者はなく、ドロフェイがもう1機の使役登録を行うことになった。


 アンジェリカさんは、ドローンにリカという名を付け、ドロフェイさんは、フェイと名付けた。


2台の名付けと使役登録が終わった後、無人飛行実験だ。シエンナが遠隔操縦を行い、飛行に問題がないことを確認した。


 最初の飛行訓練は、リカ機とミラ姉のリア機と俺のロイ機を使って行うことにした。リア機には、ミラ姉とソイントゥさん、サムエルさんが搭乗し、俺とドロフェイが一緒に乗る。


 リカ機の操縦席には、アンジェリカさんが座り、中央席にシエンナ、後部座席にボフスラフさんが座った。シエンナは、操縦席にいなくてもある程度ドローンに支持を出すことができるから、操縦練習の指導ができる。


 ドロフェイさんにも操縦席に座ってもらっても良かったんだけど、さすがに怖いからやめた。この後、フェイ機に乗った時にシエンナに指導してもらおうことにした。


 リア機を先頭に中央がリカ機、殿しんがりを俺たちが取ることにして、練習飛行の開始だ。






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