第181話 学校づくりと溶岩魔術具

 エスでロックバレーに向かった。石切り場に着くと僕とアンディーはせっせとロックブロックの切り出しだ。アンディーは1個ずつ、僕は、石の塊をまとめて収納して精錬でロックブロックにしていく。かなり上達したから、石の切り出しも早くなった。アンディーは、ウェポンバレットで、崖を崩してブロックに加工している。とっても豪快だ。1時間ほどで蓋の合わせて4万個程のロックブロックが出来ていた。


 まずは、拠点のすぐ横に冒険者の学校の施設を作る。防御壁を作っておけば、建築ギルドに依頼して学校の建物と宿舎、食堂兼お風呂なんかを作ってもらえばいい。かなり大きな建物だから専門家に任せた方が良いだろう。予算は、金貨2000枚ある。木材なんかは、僕が準備することができるから人件費とその他の材料費だけで良い。王都でも珍しい窓にはめるガラスもたくさん作ることにした。


 200m四方の城壁を作っていく。位置を少しずらして強度を増すようにしながら石を作んでいく。アイテムボックスの中から狙った場所に慎重に重ねて行った。一壁分200m厚み1.5m高さ3mを並べたらアンディーに地下に沈めてもらって基礎の部分を作った。それを4面分、魔物に注意しながらだけど、冒険者たちがこの辺りの魔物を狩りまくって食料にしているから、作業の間魔物は現れなかった。


 ロックバレーの拠点は今ものたくさんの冒険者で賑わっている。宝石の魔石が手にはいる階層があるからだ。それに、ロックリザードの幼体にもしばらくは少ないけど討伐褒賞が出るからだ。さらに、ロックリザードの幼体の討伐には、偶にだけど肉やロックリザードの皮のボーナスも手に入る。ロックリザードの皮で作った防具は、安くなったと言え、丈夫さと強さは抜群で、冒険者ならだれもが欲しがる。


 そんな拠点のすぐ隣に冒険者の学校を作ろうと言うのだから、冒険者が覗きに来るのはしょうがない。僕たちが崩御壁を作っていると何人もの冒険者がやってきて声をかけてきた。


「やあ、レイ。今日は。」


今日こんにちは。ヴェルさん。今日はどうしたんですか?」


「久しぶりに、宝石取りに行ってな。そこそこ採集できたから戻ってきたところだ。今から、ギルドに持ち込んで査定してもらうんだ。5階層までは細かい地図ができているから比較的楽に行くことができるようになったからね。」


「宝石は、良い値が付きますからね。高く査定してもらえると良いですね。」


 それからも、何人かに声を掛けられたが、夕方には、作業は終って拠点の隣に学校用の敷地が完成した。次は、森の賢者の研究所だ。大きさは、ここと全く同じで良い。壁は少し高く厚くするけど、このまま収納分析してしまえば、一気に作ることができるようになる。


 時間は、夕方4時。タブレットでシエンナたちに連絡すると、後数分で着くだろうということだった。警備のためにゴーレムを一体作って中継基地用のアンテナを合成した。これで、ゴーレムから直接タブレットに情報を送ることができるようになった。アンディーと乖離自宅を済ませて、敷地の外に出ると直ぐにエスに乗ったシエンナたちがやって来た。


 アンディーは、中に乗らずにデッキに上がっていった。帰り道にチャンスがあれば、魔物を狩るつもりらしい。僕は、中でゆっくり座らせてもらう。まだ、少しボーとしている。時差ボケが抜けきらない。


「暗闇の階層でたくさんの光属性の魔石を採集してきたわ。アンディーもレイもいないから拾うのが大変だったけど200個以上手に入ったわよ。これで、契約分のカメラ機能付きのタブレットを作ることができるでしょう。」


「赤と緑と青の魔石もそれぞれ50個くらいずつ欲しいかな。それだけあれば、余裕で作れると思うよ。」


「じゃあ、森の賢者の研究所が出来たら、次は、宝石採集に行きましょう。」


「それとさ。溶岩流階層に行って溶岩を採集してきたいんだ。もしかしたら魔石代わりになるかもしれないんだよね。あまり性能は良くないかもしれないけどね。」


「溶岩流階層なら今から行って採集できるわよ。今からなら15分で行って採集して、15分で砦に戻れると思うわ。採集にも時間はかからないでしょう。」


「そうだね。それなら、シエンナ、お願いして良い?」


「はい。了解です。上のアンディーさんたちにも連絡しておきますね。」


 それから、溶岩流階層に行って、溶岩流を5000kg程回収してきた。溶けた状態だから、少し取り出して、丸い形にでもして固めてみよう。熱を抜くことはアイテムボックスの中でもできるからな、液体からの個体への状態変化もさせいないといけない。


 エスの中で、溶岩を加工しているとすぐに砦に到着した。


 一度取り出してみる。魔石よりもかなり重い。重くて黒い石になっている。もう一度収納してお湯を出す魔法陣を刻んでみた。


「何作っているの?」

 運転席の向こうから僕の手元を覗き込んだミラ姉が聞いてきた。


「お湯を出す魔道具。魔法陣を刻んだ溶岩だよ。」


「魔石じゃないのに魔法陣を刻んで効果があるの?」


「向こうの世界じゃ効果があったよ。お湯が出た。ただ、ミスリルを含んでいて魔力を流してもどんどん抜けて言ってたけどね。」


「魔力が抜けるんじゃ、意味ないじゃない。」


「この溶岩にミスリルが含まれているかは分からないでしょう。もしミスリルが膨れていたらラッキーだしね。」


「あんなにたくさんある溶岩にミスリルが含まれていたら、私たちあっと言う間に大金持ちよ。」


「さっき精錬しようとしたけど、できなかったんだけどね。」


「じゃあ、溶岩にミスリルは含まれていないのね。」


「そうだね。多分。さあ、森の賢者の研究所作りを始めようか。」


 まず、冒険者の学校の精錬コピーを元に外壁を精錬する。100m四方だ。壁の厚みは、3mにする。高さは、隣の壁と同じ高さ地下に潜らせる分も足して15m下に5m潜らせる。


 まずアンディーに深さ5m、幅3mの穴を掘ってもらう。その中に防御壁を入れる。100四方の10mの壁に囲まれた空間ができた。流石に10mの壁の圧迫感は半端ない。入り口の門から50m程を広場にして、ドローンやゴーレム戦車の待機場所にする。奥の建物は、3階建てほどにする予定だ。研究スペース、工房、倉庫が主な施設にする。


 その建物も、建築ギルドに依頼することにした。出来上がった後に色々細工した方が面白いものが出来そうだ。


 出来上がった賢者研究所の中に、バストイレ付きコテージを設置した。結界のオンオフは、タブレットからできるようにする。これで、パーティーハウスで作ることができないものもわざわざ賢者の工房に行かなくても作ることができる。


 次に、お風呂くらいの大きさの桶を作った。露天風呂みたいだ。そこにさっきの溶岩魔道具を設置して魔力を入れてみる。地球の溶岩みたいに魔力が抜けることは無く、中に溜まっていった。そして、すぐにお湯が出だした。少し濁っている気はするけどそれは、溶岩の成分が溶けているからだろう。時期にきれいなお湯になるはずだ。


「シエンナとミラ姉達は、パーティーハウスに戻っていて。僕たち、このお風呂に入ってみる。それから、バリーおばさんの所に化粧水と乳液持って行って使ってみるように言ってみてよ。お風呂上りと朝の洗顔の後にだよ。宜しくね。」


 ミラ姉達が研究所用地を出て行ったら桶を収納して、再精錬で3倍くらいの大きさにした。お湯は、精錬で足した。だから、すぐに入ることができる。僕たちは、壁に囲まれていることをいいことにマッパになって、お風呂に飛び込んだ。


「気持ちいいね。」


「そうだな。今日もなんか色々あったけど、楽しかったな。」


「そうだな。色々あったけどな。」


 ロジャーとアンディーと三人で臨時の露天風呂を楽しんだ。パーティーハウスに戻ったら晩御飯だ。お腹が空いた。


 ここまで終わったら、パーティーハウスに帰ることができる。いずれは、この研究所からパーティーハウスまでの地下通路を作ろう。









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