第167話 国王陛下と魔術契約
午前中、一番の時間に謁見が行われる。あの後、今回の報酬は、まとめて謁見の場でと言い渡された。でも、今回の謁見ってロイヤルカーの献上の場のはずなんだけど大丈夫かな。それに、緊急依頼の報酬はすでに頂いている。金貨800枚の予定が金貨5000枚に膨らんでしまった。
ギルドには、討伐したロックリザードの皮や牙、その他の素材が山積みで保管されている状態だ。その全てが売れてしまったら、とんでもない金額を手にすることなるのは確定している。
だから、生活していくうえで、お金の心配はない。自由に冒険が出来て、この国の役に立てればもういうことは無い。できれば、他の国旅に行ったりもしてみたい。色々なところを見て回りたい。そんな願いはあるかもしれない。
「アンデフィーデッド・ビレジャーの者たち、皆、謁見の間へ入るがよい。」
「只今より、アンデフィーデッド・ビレジャーの此度の働きに対する叙勲の儀を執り行う。」
「アンデフィーデッド・ビレジャーの者たちよ。お主らは、何を望む。できることなら爵位を与えたいのだが、受けてはくれぬか?」
「恐れながら、
「お主たちは、これからもあの砦に住んで、この国の役に立ってくれると申すのだな。」
「はい。許していただければ。これからも。ただ、
「むろん大丈夫じゃ。存分に冒険し、この国ために働いてくれ。他国に出て行くことも制限するものではない。ただし、お主たちの家は、あの砦にあることは、忘れてくれるな。それは、良いな。」
「あの…、私やシエンナは女の子です。結婚してあの砦を出て行くこともあるかと存じますがそれは、お許しいただけますか?」
「お主が、嫁に出ると言うのか。その男を連れてくるのじゃ。すぐに検分してやる。」
「いえ、違います。今の話ではございません。もしも、結婚するならという話です。」
「うむ。その時は、その男を儂の所に連れて来い。その男が、儂の目にかなえば、儂が、この王宮からお主らを嫁に出してやる。よいな。シエンナもじゃ。約束だ。」
「あの…、そんな約束してよろしいんですか?」
「王室の総意じゃ。この約束をたがえる出ないぞ。そして、儂ら王室は、儂らの名誉と儂ら王室の魔力にかけて誓おう。お主らが我が国のために働く限り、お主らの砦が我が国を守っていてくれる限り、王室は、砦を、お主らを決して裏切ったり、害したりすることはない。今回の働きは、それ程の物だった。これからも、この国を頼む。」
「ありがたきお言葉。私たち、アンデフィーデッド・ビレジャーは、この国を決して害することはございません。この国を守り続けることをお約束いたします。」
こうして、僕たちが作った砦は、僕たちの拠点になった。これからも王室良好な関係が続けられるように、相互に守りあう、破格の魔術契約が約束され、今回の叙勲の儀は終了した。
「それでは、今回の献上の品、ご覧ください。」
白が基調で側面に金泊で森と剣の王室のシンボルが反対側には、猛々しいドラゴンが描かれた多足ゴーレム車、通称ロイヤルカーが現れた。
「もう一品は、上空からこの国をパトロールするドローンでございます。」
カメラ付きドローン。カメラからの情報をカラー写真でタブレットに送信することができるパトロール用ドローンだ。前面に小型のモニターを配置しており、タブレットを持っていない物とも簡単な通信を行うことができる。
「うむ。では、ロイヤルカーの試乗を行うことにする。行先は、森の賢者の砦。アンデフィーデッド・ビレジャーのパーティーハウスがある砦じゃ。同行するのは、私たちの家族。護衛は、アンデフィーデッド・ビレジャーの全員と、王宮騎士12名。ロイヤルカーに乗り切れぬ騎士は、マウンテンバイクで、車の前後の警護。二階席に乗るのは、儂、国王のエルザード・ウッドグレンとエラ。エレノアとオースチン。チャールズ。アメリア、レイ、お主らは、上に乗るのだ。2階護衛席にオードリー、アンドリュー。近衛より2名。ティモシーも上に乗るのじゃ。一階席の護衛責任者、ボールズ。ミーシャとステラ、アンディーとロジャー、シエンナ。シエンナ、運転の補助を頼む。出発の時間は、ティモシーが手配せよ。できるだ早くな。」
「あの…、今日は、領主様を、フォレストメロウまでお送りしないといけないのですが…。」
「おおっ、そ、そうなのか。アーヴィンには急がせて済まないことをするなあ。お主ら、今からササッと送ってまいれ。アンディーとアメリアがドローンで送れば、往復1時間もかかるまい。その間に、菓子や軽食の用意をさせておく。ティモシー、アーヴィンに至急連絡を頼む。アーヴィンは、タブレットを持っておるのじゃったな。あっそうか、領騎士が一緒に来ておった。そ奴らは、マウンテンバイクの後ろに乗せて連れて行け。よし、これですべて解決だ。ミラ、アンディー、急ぐのだぞ。」
国王陛下の一言で、領主様はドローンでフォレストメロウまで送られることになり、20分後には、機上の人となっていた。そして、更に1時間後、出発の準備を終えた僕たちは、ロイヤルカーに乗せられている。王都のたくさんの人たちが、ロイヤルカーを一目見ようと道に鈴なりになっている。
王都内をゆっくりと進み、ロイヤルファミリーの方々は、にこやかに市民の皆さんに手を振っている。僕とミラ姉は、護衛のような顔をして、隅の方に立っていた。ロイヤルカーが門を出てスピードを出したところで、僕たちは、椅子に座った。
横を見るとマウンテンバイクに乗った騎士の方達が並走してくれている。その数、前に3台、横、左右に一列で二台ずつの4台。後ろに4台が連なって、領騎士の4人を乗せている。壮観な眺めだ。
「それにしても揺れぬな。」
「そうでございますね。外を見なければ、止まっているように思ってしまいそうです。」
あまり、話が弾んだわけではないが、流れていく外の景色をうっとり眺めながら、お茶を頂く、2時間の旅は優雅なものだった。ただ、国王陛下の一言がなければ…。
「のう、お主たちは、叙勲の儀で伝えた契約の準備はどのくらいできると思っておるのだ?」
「陛下?あの…、それは、どういうことでございますか?」
「契約の儀に必要な魔石のことだ。大がかりな魔術契約だからな。Aランク以上の魔物の魔石が人数分。後、これは、王家で準備するのだが、ドラゴン以上のSランクの魔物の魔石が一つじゃな。」
「ええっ。Aランクの魔物の魔石など持っておりません。」
「なっ…、どうしてなのだ。あれだけ多くの国宝級のロックリザードを持ち込んでおいて、何故、Aランクの魔物の魔石を持っておらぬのだ。おかしいであろう。」
「何をおっしゃるのですか。ロックリザードは、Cランクの魔物ですよ。私たちが狩ったのは、ほぼロックリザードだけです。まあ、コカトリスの魔石は持っていますが、そのコカトリスは、ロックバレーのロックリザードより小さい魔物でしたし、Bランクとは言えないような物です。」
「お主ら、良く分かっておらぬようだが、国宝級のロックリザードは、全てAランク以上の魔物だぞ。アースドラゴンに匹敵するような討伐の困難さを持っている魔物だ。魔石も大きいであろう。」
「あれが、Aランクの魔物なら、数百個以上持っております。その全部を、市場に出せば値崩れする危険性があると、ギルドが販売を控えているところです。」
「やはりな…。そうではないかと思っておったのだ。国宝級のロックリザードがあれだけ討伐されたのに魔石が出回らないのでな。そうであれば、何も心配ない。お主たちの準備は終っておる。後は、私たち王室の準備だけだ。それもすぐに終わらせて見せようではないか。もしかしたらお主たちへの指名依頼となるかもしれぬがな。」
「次の指名依頼ですか。それでしたら明々後日以降に、お願いいたします。既に違う依頼を受けております故。」
「そうか。明々後日以降か…。お主らも、休まず働く奴ららよのう。」
「では、ティモシー、明々後日以降、アンデフィーデッド・ビレジャーへ指名依頼を頼む。Aランクの魔石を8個、いや、15個。その依頼達成後、受けることが可能であれば、アースドラゴン以上の魔物の魔石を1つ手に入れてくるように依頼してくれ。」
「畏まりました。明々後日以降でございますね。」
ティモシー様の返事に満足そうに頷く国王陛下とラサ妃様だった。
それから、30分もせず、僕たちの砦に到着した。国王陛下は、外周から一周砦をご覧になり、中に入ると村長さんと僕たちのパーティーハウスで閲覧された。
この砦の使用について村長に伝えられ、この村に住む自由気にしについては、今まで通りだが、今後この砦で得た収入については、1割の徴税対象となると伝えられた。それは、この村に着く前にロイヤルカーの中で話し合ったことだ。
村長は、今まで通り、この村の
こらのことは、砦に到着した、国王陛下が、フォレポイ村の住民全てを集めて伝えたのだが、突然、森の賢者の話が出てきた。
「この砦の運用方法については、今回の働きで
こうして、僕たちの砦建設は、国王の認める所となった。今後は、この砦に住み、この砦を豊かにする。ここを、たくさんの仲間と過ごし、冒険するための拠点としていくんだ。
【後書き】
第4章 砦建築編がようやく終了しました。
10人乗りドローン製造・王家との魔力計画・帝国は?
明日の、レイのパートタイム転生は?
気になることはたくさん残っちゃいましたが、とりあえず終了といたします。
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次の章も楽しみだなって思っていただいたら
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今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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