第147話 ダンジョン探索と石材集め

 今日は、ロジャーの運転で、森のダンジョンに向かっている。ゴーレムコアの採集の為だ。僕とアンディーは、天井の席に陣取っている。時々森の木の枝がぶつかって来るけど座っていれば、頭にぶつかることは無い。頭上のフレームと手すりの壁が僕たちの座席を守ってくれる。冬になったら寒そうだから、頭の上に開閉できる天井がある方が良いかもしれないな…。


 5分もかからずにダンジョンに着いた。入り口から中に入る。腕の操作はしないで前方に現れるゴブリンは跳ね飛ばしながら進んでいく。1階層と2階層は難なく突破できた。


 ダンジョンに入って5分弱で、3階層-ゴーレム階層に着いた。一応、戦車の二階から腕を操作しながらゴーレムコアへの射線を作れたらコアを回収した。アンディーも同じように自分でゴーレムハンドを操作して射線を開いてコアの回収を行っていた。


 ゴーレム階層に着くと寄り道せず、ガーディアンの部屋へ向かった。アンディーは、ゴーレムとの距離を短くするためゴーレムハンドの上に乗っていた。


「じゃあ、ロジャー、今くらいの速度でゆっくり進んで。アンディー1・2・収納のリズムね。」


「じゃあ、はじめるよ。1・2・収納、1・2・収納、1・2・収納、1・2・収納…。」


「ロジャー、回転して。進みながら金属素材を回収するね。ゆっくりお願い。」


「アンディーも金属素材回収できる?」


「おう、大丈夫だ。アイテムボックスの熟練度が上がって容量がかなり増えたからな。この位の量なら楽勝だ。ロックリザードも2~3体収納できるようなっていたんだぞ。」


 ロジャーは、金属素材を収納する時、一旦戦車から降りないといけないけど、アンディーとなら一度も戦車から降りることなくコアの採集ができた。


「パーティハウスに戻るぞ。」


 運転席からロジャーが叫んできた。


「「おう!了解。」」


 僕とアンディーが応え、ゴーレム戦車は、スピードを上げてダンジョン内を駆け抜けていった。家に戻るまでかかった時間は20分弱。早かった。


「あら?もう戻ったの?まだ時間がかかると思って果樹園で何か収穫しようと思ったのに…。」


 ミラ姉とシエンナは、まだ着替えも終わってなくて、普段着のままだ。


「収穫に行って来ても良いよ。今日は、道具屋を開くわけでもないし、そんなに急がないからさ。」


「じゃあ、畑と果樹園見てくるね。種を蒔いて1週間くらいなのに、もう収穫できるなんてすごいわね。」


 果樹園の方は、さすがにまだ実は付いていないと思うが、畑の野菜は、かなり実っているようだ。これから美味しい野菜がたくさん食べられるようになる。


 今日は、アンディーは村に残る。基礎の石埋めだ。全長20kmにもなるから大変だと思う。今日一日で終わったらすごいよね。普通に歩いても半日以上は、かかる距離だからね。


「アンディー、大変だと思うけど、宜しく頼むわ。」

「頑張って下さい。」

「よろしくな。」

「頼むね。」


「おう、お前たちも頑張ってな。」


 僕たちが、森のダンジョンに出かける時間に一緒にバスが出発して、フォレストメロウ経由でロックバレーの拠点に行って、もう一度フォレストメロウ経由で村まで戻ってきている途中のはずだ。身体強化を持っている冒険者が何パーティーか砦建築の手伝いに来ていくれると言っていた。


 それに、ロックバレーの拠点からそれぞれの街に戻る冒険者は、もう少ししないと出てこないはずだけど、懐が温かい冒険者が沢山いるから、街に買い物に出る冒険者は多いだろう。


 冒険者たちの出した素材は、今、ギルドが預かる形になっているが、何しろ数が多すぎて査定してもらっても売れるまで時間がかかるようだ。早急にお金が欲しい冒険者には、ギルドがそこそこの値段で買い取ってくれるらしいが、実質販売価格よりもかなり少なく見積もられるから、冒険者としては、少し待って販売価格から手数料を引いた金額を貰った方が得なんだよね。だから、多くの冒険者が拠点に残っているわけだ。


 そこに、ダンジョンの探索依頼が出ている。分かっている階層は、2階層まで。1階層は、ロックリザードの幼体の階層。2階層が出口兼少し成長したロックリザードとロックの階層。3階層はあることは分かっているがどんな階層か不明。新階層の探索で銀貨5枚。ただし、5パーティーまで。後は、探索内容によって追加報酬とギルドポイントの付与だ。後、1週間は、5m以上のロックリザードの討伐には、王宮から討伐報酬がでるという追加依頼もなされたらしい。


 高ランクの実力はパーティーは、新階層の探索を中心に行うだろう。ロックリザード討伐の追加依頼が出たなら、リキロゲンボムの販売をもう少し続けないといけないかな…。ギルド出張所に販売依頼をしても良いから、聞いてみよう。保管庫と一緒に預けたら10日くらいは、大丈夫みたいだからな。


 ロックバレーの拠点に着いたら真っ直ぐ、道具屋に向かった。道具屋の前に並んでいる冒険者がいた。エヴィと話をして、ケインとエミリーの3人でリキロゲンボムの販売をしたいと言ったからお願いすることにした。今日は、一応2000個卸しておく。そんなにたくさんのロックリザードはいないはずだけど念のためだ。


 ロックバレーの石切り場に向かうと、もう何人かの冒険者がロックリザードの討伐の為に中に入っていた。ロックリザードは、餌場にもいなかった。僕も一緒にダンジョンに入って3階層を見て見たいとお願いしたら、一緒に行くことを許してくれた。


 昨日、転移した場所を確認して、目印を付けた。目印の先の壁からダンジョンに転移することをタブレットで出張所に知らせておく。これで、苦労せずともダンジョンの中にはいることができるはずだ。


 小型ゴーレム戦車にのって中に入ることにする。戦車の操縦は勿論シエンナだ。ゴーレムの索敵能力で次の階層入り口を探すことができないか試してみたけど、それは難しいようだった。でも、一度走った場所のマッピングは自動で行うことができるようだ。試しに、タブレットに転送させたら、地図がばっちり出来ていた。


 一階層のロックリザードの幼体はできるだけ潰しておく。潰すと、ダンジョンに吸い込まれて小さな魔石と時たまロックリザードの皮を落としていく。肉の時もあった。若いロックリザードの肉は、柔らかくて美味しそうだった。ゴーレムハンドが拾ってくれたのを収納してみた。


 2階層でロックリザードを索敵してみたけど、階層全体で10匹くらいしかいなかった。ロックはかなり増えていた。やっぱり1階層でそこそこ成長しないとロックをバリバリと食えないようだ。何日くらいで、ロックをバリバリ食うほどに成長するのかは分からないけど。


 索敵で見つけた10匹は、残しておくことにした。もしかしたらもう少しいるのかもしれなけど、それを目当てに入ってくる冒険者もいるようだからだ。


 次の階層に行く。階層入り口は見つけていたから、すぐに降りることができた。この階層は、ゴーレム階層。王都近くの鉱物階層ダンジョンと似ている。ゴーレムハンドを使って射線を開いてもらい、どんどんコアを収納していった。ゴーレム戦車の中を右に行ったり左に行ったりしながらコアの収納を行った。あっと言う間に100個ほどのコアを収納することができた。


 今朝と合わせると、かなりの量のコアが手に入ったことになる。もうしばらくゴーレムコアの回収をしたいところだけど、僕には、石材の回収という重要任務がある。泣く泣く、コアの回収を切り上げ次の階層入り口をサーチした。


 次の階層入り口に着くまで、10体くらいのゴーレムコアを採集しましたよ。


 次の階層入り口は、ゴーレム戦車で15分程走った場所にあった。徒歩で次の階層入り口を見つけようとしたらすごい日数がかかるかもしれない。


 次の階層は、フレームクロコダイルやフレームバードなど火属性の魔物が頻出する階層だった。フレームバードにはロジャーのクナイの投擲が良く効いた。普通の矢やウォーターボールは、素早くよけられてしまった。フレームクロコダイルには、水が効いた。凄い水蒸気を噴き出しながら黒い塊になって動けなくなった。その時に、ロジャーの投げ斧で首を落とせば、一発だ。火属性の魔石をドロップすることが多かった。


 僕は、ここまでで一度戻ることにした。マッピングは正確にできているから2階層の転送出口まで行くのにそう時間はかからなかった。


 1階層と2階層、3階層のマップをタブレットに転送してもらって、転送出口の魔法陣に乗った。少し気持ち悪い感じがして外に出ることができた。ゴーレムバイクを出して、一度拠点に戻った。1~3階層のマップをギルド出張所に渡しておけば、後からダンジョンに入る冒険者たちの参考になる。


 その後、石切り場に戻って、頑張って石材を収納したよ。ミラ姉達からタブレットへ連絡はなかなか来なかった。しょうがないから僕の方から連絡した。


「連絡届いている。ミラ姉に送信」


『ミラ:届いているわ。ごめん。連絡テストするの忘れてたわ』


「良かった。何か面白い物見つけたら教えてね。ミラ姉、ロジャー、シエンナに送信。」


『ミラ:代表して、了解よ』


 これで安心して石材の収納に取り組める。さあ、頑張ろう。

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