第146話 ロックリザード討伐終了
今日から全員餌場での狩りだ。シエンナは、餌場全体が見渡せる場所に位置取りし、ソーディー、インディー、ガーディーを均等に距離を取って配置した。ガーディーは、いつも通り、シエンナの真下に位置取りしてい要る。アンディーは、マウンテンバイクに跨ってやはり、全体が見渡せる高台に位置を取った。ロジャーも同様だ。
シエンナのすぐそばに、ゴーレムに守られたケインたちのが位置取りした。横には、ミラ姉がいる。僕は、ゴーレムに警護されながら一人で石材の採集をしていた。餌場での採集は、ちょっと危険だし、ロックリザードの餌になっている岩は、不純物が多くて石材に向かない。
討伐が始まった。ロックリザードが小さいため次々に討伐されてい行く。冒険者の皆さんの熟練度が上がっているのも相まって相当早い。僕は、石材集めを中断して、ロックリザードの回収と解体・素材分けに集中していた。一人じゃとても追いつかないから、ロジャーにも素材回収をお願いした。
午前中だけで、僕が回収したロックリザードは、800体を越えた。ロジャーも同数位だと思う。
それにしても、減り方がおかしい。昨日の夕方より確実に増えている。どこから現れているんだ?
「中型のロックリザードが出て来たぞーっ!」
冒険者の声が響いた。
「出てきた?」
アンディーとロジャーが声がした方にマウンテンバイクで駆け寄って行った。声を出した冒険者もBクラスだったようで、難なくロックリザードを討伐した。
僕も、その声を出した冒険者の方に走った。勿論、身体強化ポーションを飲んでいる。だから息切れもしない。
「どこから、現れたんだ?」
ロジャーが冒険者に聞いている。
「あそこ。あの壁の辺りから出てきた。突然だったんだ。その前に気配もなかった。」
ロジャーが言われたところに近づいて行った。アンディーと僕も一緒に近づいて行く。
壁に手を当て確認していく。何も以上はない。壁に沿って右に進む。手を壁に当てながらだ。先頭には、ロジャー。触る壁の高さを変えて僕。アンディーは、壁をよじ登ってかなり高い場所を探っている。
「その辺だ。そのあたりから、現れたぞ。」
冒険者さんがそういった時、ロジャーが消えた。僕も一緒に壁に吸い込まれた。転移型のダンジョン入り口だ。
「ウワッ。」
壁だと思って押したら、抜けて行ってしまったような、支えが急になくなってバランスを崩したような感じだ。
暗闇に目が慣れると、広い空間が広がっているのが分かった。
隣にロジャーその前にアンディーが立っている。
「ダンジョンだな。転移型のダンジョン入り口だな。」
「ロックリザードが出てきたということは、どこかに出口があるということだよね。」
「入ってきた場所と同じなら分かりやすいんだけどな。」
暫く、後ろの壁を触ったり叩いたりしてみたが、何も見つからなかった。同じ場所に出口はないようだ。
「とにかく、探索するしかないけど…。ミラ姉とシエンナ呼ぶ?」
「いや、無理だな。今、二人が抜けると、討伐中に死亡事故が起こりかねない。」
「まず、出口を探して、外に出よう。そうすれば、入り口と出口が分かることになる。それさえ分かっていれば、たくさんの冒険者が居るんだから勝手に探索してくれるだろう。」
「そうだな。とにかく、出口を探そう。レイ、サーチしてみてくれ。」
「了解。サーチ。この階層には、下への階層入り口しか見つからない。下に行くしかないかな。ロジャー、索敵に何か引っかかる?」
「うううん。いる。小さいけどロックリザードかな。でも幼体のようだ。とにかく気配が小さい。」
「じゃあ、脅威は小さいってこと?」
「まあ、斧や大剣で討伐可能だろうな。」
下の階層入り口に行きつくまでに数体のロックリザードに会敵したけど、ペットと言えるくらい小さいものばかりだった。まあ、すぐにでかくなって人類の脅威になるんだろうけど。
下の階層に着いた。あの小さなロックリザードもチョロチョロしているけど、そこそこ大きくなったものが何体かいた。リキロゲンボールでロックリザードの動きを止めてロジャーアンディーが交互に仕留めていった。
しばらく歩くとガリガリという音が聞こえてきた。ロックだ。ロックがロックリザードに食われていた。ロックの数は、そう多くないようだけど、このダンジョンに沸いたらすぐにロックリザードに食われてしまうのかもしれない。
ロックを食べ終わるとその場に現れた魔石もぱくりと食べてしまった。腹いっぱいになった様子のロックリザードは僕たちが仕留めた。
この階層には、下への階層入り口の他に階層入り口がある。下階層の入り口とは違うようだから、もしかしたら出口かもしれない。下に行くか、ダンジョン出口と思われる方に行くか迷っていたが、これ以上勝手に探索を進めるとミラ姉に怒られるかもしれないという結論になった。
ダンジョン出口と思われる場所にい移動した。僕たちの目の前に大型のロックリザードが居た。あと一歩でダンジョン出口とおもまれる魔法陣のようなものがある場所に入ろうとしていた。
「リキロゲンボール、リキロゲンボール、リキロゲンボール」
「オリャー!」
ロジャーが投げ斧で首を落とした。
『ドサッ』
首だけが魔法陣のような模様の中に落ちて、光を放って消えて行った。
今頃、あの壁の辺りにロックリザードの首だけが現れているんだろうな…。不気味だ…。
ロックリザードの本体を収納して魔法陣の上に乗った。フッと重力が無くなるような変な感覚の後、さっきの餌場に戻っていた。
「ウアッ。」
ロックリザードの首に近寄ってきていた冒険者が驚いて大きな声を出していた。僕たちが、ダンジョンに吸い込まれて20分くらいたっていただろうか。ミラ姉達は、心配そうに僕たちが消えた壁の辺りを見ていた。中に入るか相談していたそうだ。ただ、ロックリザードの討伐中の冒険者がどうなるか考えると中に入ることもできずに心配だけしていたと少し涙目で言ってきた。
そういえば、何で、タブレットで、大丈夫だと連絡しなかったのかな…。それに、ミラ姉たちもどうしてタブレットで連絡しようとしなかったのだろう。
気が動転している時ってなかなかそんなこと思いつかないよね。
ロックリザードが生まれるダンジョンがあることと、そのダンジョンの中のロックリザードも数が少なくなっていることをミラ姉達に話して、討伐の最終段階に入ったことを確認した。
今日中に一旦、ロックリザードの討伐は終了することになるだろう。この後は、僕たちは石材の採集を行うことになる。冒険者の皆さんは、討伐報酬は出なくなるけど、ここのダンジョン探索に残る人は少なからずいるかもしれない。ギルドからも探索報酬が出るかもしれない…かな?
ロックバレーの最後のロックリザードが討伐されたのは、4時近くだった。タブレットで、ギルド出張所とフォレストメロウの冒険者ギルド、王宮のティモシー様に討伐終了の報告をした。皆さんからよくやったとお褒めの返信を頂いた。
その日の夕食は、お祭り騒ぎだった。そこで、ダンジョン発見の発表もなされた。さらにお祭り騒ぎが加速した。
ダンジョン入り口と出口の場所は、ギルマスへ報告した。ギルマスは、ダンジョン探索報酬を出すと約束してくれた。難易度が定かではないので、どのくらいの冒険者が探索に挑むか分からないけど、ロックリザードの討伐もあんまり成長しないうちにしてもらえば、再び、ここがロックリザードに占拠されることは無いだろう。その為にも、冒険者に常駐してもらいたいものだ。
成長したロックリザードが居ないのであれば、浅い階層は、初級から中級ランクの冒険者向けかもしれない。金貨1枚は、出ないと思うが、領主様が、ギルドの常時依頼としてロックリザードの討伐あげていただけないだろう。そうしたら、あの拠点は譲って差し上げても良いのだけど…。後で、ギルマスに相談してみよう。
僕たちは、もうしばらくこの拠点で石材の採集を行う。後2~3日頑張れば、採集は終了すると思う。一日120万個採集できたのだから、残り500万個くらいロジャーと二人で頑張ればなんとかなるはずだ。明日には、砦の基礎部分の積み上げが終わっているはずだから、アンディーには、村に残ってもらって基礎の石材の埋め込みをしてもらおう。
明日は、僕は、石材採集、アンディーは、砦の基礎作り、ロジャーとミラ姉とシエンナには、新ダンジョンで、ロックリザードの討伐の仕上げと朝のうちに沸いてきているロックリザードの討伐をやってもらおう。タブレットで連携して、何かあったらすぐ合流するようにしよう。タブレットで連絡が出来たらだけど、転移型のダンジョンは、通信ができるかどうか、やってみないと分からない。
明日は、朝一でゴーレムコアの採集があるから、今日は、パーティーハウスで寝ることにする。エヴィとケイン、エミリーは、ここでのお祭り騒ぎを楽しいみたいだろうから、置いて行く。
明日からは、砦づくりの手伝いをしてくれるように言ってある。
僕たちは、エリックさんを連れて、ロジャーが運転する小型ゴーレム戦車でパーティーハウスに戻った。
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