第137話 討伐二日目の成果

ドローンで真っ直ぐロックバレーの拠点を目指した。到着したのは、午後3時半。道具屋に顔を出すと、エヴィがほっとした顔で僕を見た。


「良かった。リキロゲンボムの残りが100個を切ろうとしていたから心配していたんです。何度もケインから追加の注文があって、その都度ドローンで送ったんですけど。向こうも大変なようです。それと、出張所から何度かレイさんに来てい欲しいと要請が来ていました。」


話している時にもドローンが来た。エヴィのタブレットに追加100の注文が入ったようだ。昨日、ほとんどの人が銀貨9枚を手に入れているからな…。いったい何体のロックリザードが狩られたんだろう。


僕は、追加のリキロゲンボムを2000個作ってエヴィに預けた。れれから、ギルドの出張所に出向くと、出張所のギルド職員のゾーイさんが泣きそうな顔で寄って来た。


「レイさん、助けて下さい。倉庫が、溢れてしまいそうです。解体は後で良いので、場所を作って下さい。このままじゃあ、査定もできません。」


倉庫に行くと確かにロックリザードで溢れそうになっていた。とにかく収納しよう。しかし、次から次にドローンでロックリザードが運ばれてくる。いったいどれだけ狩っているんだ。このままじゃあ、討伐報償金の金貨2000枚は、あっと言う間になくなってしまう。


まず、落ち着こう。どうしてこうなったかよりも、今しないといけないことを片付けて行こう。この倉庫を片付ける。運ばれてくるロックリザードよりも早く収納し、素材に分けていく。肉は、しょうがない。アイテムボックスの中に入れたままだ。


魔石と皮をセットにして番号札と一緒に並べていく。ブレイディさんとブルックリンさんに査定をしてもらって番号札に値段を書き込んでもらったら、ゾーイさんとエイデンさんとでドローンに詰め込んでもらう。ドローンが一杯になったら、フォレストメロウのギルド倉庫へ送り込むためドローンを飛ばしてもらう。


手持ちのドローンをすべて使ってピストン移送だ。次々送られてくる素材に町のギルドもびっくりしているだろうけどそんなことは、気にしていられない。ドローンには、ギルド倉庫に着いたらすべてを倉庫の中に放出し、着陸せずに戻って来るように指示している。


町のギルド倉庫が、いったいどんなことになってるのか考えると怖いけど、途中でやめるわけにいかない。ベルトで、タブレットが震えている。見たくない。きっと、町のギルドからだ。でも、見ない訳にはいかないので、一度手を止めて連絡を確認することにした。


『FAG:(チェイス)何の嫌がらせだ。いい加減にしろ』


「ゾーイさん、ギルマスが怒っているようです。こっちの倉庫があふれていると事情を送っておいてください。僕の嫌がらせだと思われているみたいです。」


「ごめんね。レイさんには、手伝ってもらっただけなのに。」


さんざんな目に合っている僕らの事情を知ることもなく、冒険者の連中が拠点に戻って来だした。それに伴って、送られてくるロックリザードの数も減って来て少しだけ余裕ができてきた。


食堂の方で、笑い声が聞こえる。外は、暗くなってきた。


ロックリザードを運んでくるドローンも来なくなった頃、ようやく出張所の倉庫の外に出ることができた。そういえば、アンディーはどこに行ったのだろう。エヴィと話をしている時までは、一緒にいたのに…。


僕が食堂に向かおうとしていると、ロジャーとアンディーがお風呂の方から歩いてきた。もう風呂に入ったようだ。


「よう、レイ。何してたんだ?」

ロジャーが聞いてきた。


「ギルドの手伝いだよな。大変だったか?」

アンディーもにこやかだ。帝国での胃が痛くなるような緊張を忘れてしまったように、にこやかだ。


「大変だった。ロックリザードが次から次に運び込まれてきて、ギルド職員だけじゃあ手が回らない状態だったからね。」


「そうか。大変だったんだな。でも、俺たちも頑張ったんだぜ。」


「俺もだぜ。後半だけだったけど、頑張ったんだぞ。たった、50分で、100体だぞ。リキロゲンボムは使わせてもらったけど、一人で100体は、すごいだろう。」


「俺たちだって頑張ったんだぞ、ミラ姉と一緒に500体以上。途中から自分で持ってくるのが面倒になってドローン使って運んだけど最高新記録だぜ。」


「ふーん。二人合わせて600体ね。二人のことだから、後半50分競争なんかしたんでしょう。」


「良く分かったなー。まあ、1対2じゃあ、一人の俺の方が負けるのは当たり前だけどな。」


後半の異常な討伐ペースの意味は、良く分かった。それにしても、1500体くらいは、討伐してたように感じたけどな。倉庫からの溢れ具合から思うとさ。


「午前中は分からないけど、僕たちが帰ってくる前からかなりの討伐数だったみたいだけどどうしてなの?」


「ああ、それな、エヴィがメタルクラフトの練習したいてんで、鉄とミスリルをあげたんだ。そうしたら、エリックさんに教えてもらってそれで大剣を一杯作ってさ。練習品だからって、銀貨5枚で売り出したんだよ。それが、よく切れるのなんのって。冒険者の火力が爆上がりしてさ。さくさくロックリザードを狩ることができるようになったみたい。」


「そうか。全部、ロジャーが絡んでるんだ…。ロジャー、ギルド出張所の皆さんに謝りに行った方が良いぞ。本当に今日、大変だったんだ。それと、明日から、狩り禁止な。僕と一緒に砦づくりのためのロックブロック運びね。よろしく。」


「え?えええっ?狩り禁止はひどくねぇ?ロックブロックは運ぶからさ。せめて午前中だけでも狩りさせて、お願い。」


「今日一日で金貨500枚も稼いだんでしょう。もう良いよ。他の冒険者の皆さんに回してあげないとね。」


これ以上のペースで狩りを続けたら国外に販路を広げても大暴落が起きてしまう。この国の財政の為にもそれは、避けないといけないんだよね。まあ、いずれにしてもハイペースすぎるとは思うけどね。



今日の討伐数   冒険者ギルド  未確定 1500体くらい

         僕たち(僕以外)     600体くらい



討伐2日で2000体を超えるなんて思ってもいなかったな。この調子だと、思ったよりも早く討伐依頼は終了するかもしれない。


そんなこと考えながらお風呂を済ませて、夕食。

冒険者の皆さんは、お祭り騒ぎでした。昨日以上に大騒ぎ。ロジャーたちはそのお祭り騒ぎに参加していたけど、僕は、そんな気になれなくて宿舎の方に戻っていた。


ブルブルとタブレットが震え、ほとんど同時に3つの連絡が入ってきた。


『リリアン:相談がある』

『ティモシー:相談がある』

『クーパー:相談がある』


ほとんど同時に送って来たということは、皆さん別々の相談で、今別れてそれぞれの部屋に入ったということかな?」


僕もみんなに連絡を送った。


『レイ:相談が来た。集まって欲しい。』

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