第133話 初日討伐数

「俺たちにも、挑戦させてくれ!」

「銀貨1枚は持っている。俺たちにボムを売ってくれ。」


「はい。ちょっと待って下さい。ここは、狩場ではないんですが、ここ数日、狩りに来てなかったので、餌場を追い出された、弱いロックリザードが入り込んでいるようなんです。この奥に、もっと大きな、ロックリザードが居るので、自信がある方は、そちらでの討伐をお勧めします。」


「えええ、このロックリザードが弱いのか…。」


「いや、あの…、奥にもここにいるロックリザードと同じくらいの奴が沢山いますが、ここには大型や中型のロックリザードが居ないと言うだけでして…。そちらの方が高く買い取ってもらえるので得だと思いますよ。」


 とにかく、ここにいる数匹のロックリザードは、サクッと討伐して奥の方に行きたいのだけど、なかなか話が進まない。


「アイスジャベリン、アイスジャベリン、アイスジャベリン、アイスジャベリン、アイスジャベリン…、アイスジャベリン。」


 あっと言う間にロックバレーの石切り場入り口のロックリザードは行動不能になった。


「ソードショット、ソードショット、ソードショット、ソードショット、ソードショット、ソードショット、ソードショット、ソードショット。」


 8体のロックリザードにとどめが刺され、狩場ポイントへ移動することができるようになった。


 ポイントまでにも4体のロックリザードが居たが、それもミラ姉達に瞬殺された。一体瞬殺されるごとにどよめきが起こったが、素知らぬふりを通して、ですたすた奥に歩いて行った。


「ここが狩場ポイントです。」


 石切り場兼、切り出した石の集積所だったのか、平らな場所がかなりの広さに広がっている。


「この広場には、狩りを行っているパーティーの数しかロックリザードを入れません。ですから、この入り口で狩りを行うことを、ポイント担当のケインに伝えて下さい。」


「今、10体のロックリザードが入り込んでいますね。まずは、10パーティーでここにいるロックリザードを殲滅してください。どなたか討伐していただける方いらっしゃいませんか?」


 ぽつぽつと手が上がりはじめ、10パーティーが決定した。


「では、皆さんで打ち合わせをして、どのロックリザードを討伐するか決めて下さい。高ランクのパーティーは、できるだけ大物を狙っていただくようにお願いします。危なかったら救援に参りますので、安心して戦って下さい。今日は、初日でデモンストレーションなのですから。」


「決まったぞ。ボムを支給してくれないか。」


「はい。では、手袋とボムを支給します。ケイン、頼む。契約書にケインの印鑑を忘れないようにな。」


 昨日のうちにケインとエミリーには、ボムを支給の印鑑を渡している。その印鑑が押された契約書の持ち主には、銀貨1枚分のリキロゲンボムをすでに支給しているという印だ。


「分かってるよ。任せとけって。」


 ケインは、ドンと胸をたたいて、リキロゲンボムを渡し始めた。手渡し係がケイン、印鑑係がエミリーになっているようだ。


「シエンナ、所定の位置についてくれ。インディーとソーディーも移動開始だ。ガーディーとバッキーもな。」


 今までの打ち合わせ通り、僕たちのパーティーで狩場ポイントを担当するのは、僕とシエンナだけだ。後の3人は、遊撃隊として奥の方で狩りを進める。


「狩りが終わったら、一名はこちらで報告をお願いします。収納をお持ちなら自分たちで収納してかまいません。お持ちでないときは、おっしゃっていただければ、こちらで収納してまとめてギルド出張所まで運びます。その際の引換券をお渡ししますので、なくさないようにしてください。査定が済んだら、引き換え番号が、出張所に貼りだされますから、討伐報酬と素材の代金を受け取って下さい。討伐から報酬受け取りまでの流れは以上ですが、大丈夫ですか?」


「わかった。とにかく、討伐したら、一名ここに来ればいいんだな。来た時にその後のことは指示してくれ。じゃあ、討伐を始めて良いんだな。」


「はい。お願いします。」


 10パーティー46名の冒険者が散って行き、それぞれの獲物に向かって攻撃を始めた。高ランクと思われるパーティーは流石に連携が取れている。あっと言う間に首を切り落としてしまった。一番時間がかかったパーティーでも20分だっただろうか。10体のロックリザードが片付けられた。


 10パーティーの内、収納を持っているのは2パーティーだった。残りの8パーティーのロックリザードを引き取りに行くのは、ケインとエミリーの護衛も担当している人型ゴーレムだ。回収係兼用の人型ゴーレムを二人には、10体付けることにしている。回収は9体までしか行わない。1体は護衛専用だ。


 9体の人型ゴーレムには、大型のアイテムバッグを融合している。ロックリザードだったら100体は、余裕で収納できる大きさだ。


 ただし、随時査定をしてもらわないといけないので、10体たまったらドローンで出張所に運ぶようになっている。さっき、ミラ姉達が倒したロックリザードと、入りぐで2つのパーティーが倒したロックリザードはすでに出張所に送り込んでいる。


 引換券は、9体のゴーレムがそれぞれ持っていて、A-000~I-9999までの通し番号になっている。それぞれ2枚ずつ持っていて一枚は、ロックリザードに貼り付ける。魔力で識別できるようにしているから不正はできないと思う。今回は、最高900000体分の券を準備していることになる。足りるだろう。


 白銀の豹が倒したロックリザードには、0-0000が、女性冒険者の皆さんが倒したロックリザードには、0-0001の識別番号が貼られ、その番号の引換券が渡されている。


 今回倒したロックリザードには、A~Iの引換札をもったゴーレムがそれぞれ引き取りに行き、引換札を渡した。最後にロックリザードを倒したパーティーが貰った引換札がA-0001だ。


 次から、20パーティーずつの討伐体験をしてもらって、全員が1体ずつのロックリザードを討伐し終わったのは、夕方の4時を回っていた。つまり、今日一日で昼間到着したパーティーは銀貨9枚の収入があったことになる。だって、全員リキロゲンボムを使用したからだ。白銀の豹の皆さんだけ金貨1枚だ。ボム1個はオマケしてあげた。


 ゴーレムタブレットを使って、エリックさんに連絡し、3時50分には、ゴーレムバスをフォレストメロウに向かわせた。4時には、更に31名の冒険者が拠点に到着した。


 今回の討伐依頼の情報が出回ったことで国内のロックリザードの素材は暴落している。一番高く売れていた皮の部分でも1体分金貨1枚平均だ。魔石は、大きさで価格が大きく違い、大きな物だと金貨10枚になる物もあるらしい。しかし、今回は、一番高い魔石でも金貨3枚だったそうだ。


 肉は、安い。とにかく安いが良く売れている。この拠点でも買い取って、唐揚げという料理や焼き肉、香辛料まぶしや燻製など色々な料理として提供されている。うまい。名物料理になりそうなくらい美味しい。


 最初に討伐した査定結果がでたとギルド出張所に引き換え番号が貼りだされた。素材をドローンで運搬するからすぐにお金にできるらしい。今の所、安いとはいえ、ロックリザードの皮は、引く手あまただ。あっと言う間に売れる。


 討伐初日にして金貨を数枚手に入れたパーティーがいくつもあり、食堂はお祭り騒ぎだ。夕方着いたまだ一体もロックリザードを討伐していないパーティーもご相伴にあずかっている。明日からは、自分たちで計画して討伐してもらう。一日に何体くらい討伐できるか楽しみだ。


 今日の討伐数  冒険者ギルド  48体

        僕たち     12体


 食堂でお祭り騒ぎの食事をしているとゴーレムタブレットが振動した。外交部隊のクーパー様からだ。






☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ロックリザード討伐は順調な滑り出しです。

外交部隊からの連絡

明日からの本格的なロックリザード討伐

開拓村の砦づくり

同時に進んでいきます。お楽しみし。


面白いなと思ったら ★

一話から読んでみようと思ったら ★★

早く次が読みたいなとおもったら ★★★


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よろしくお願いいたします。

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