第131話 討伐準備とプレオープン
バスに乗ったまま冒険者ギルドの前に停車した。冒険者ギルドの前は、ちょっとした広場になっている。バスは、その場でぐるりと一回転して方向転換した。
今日ギルドに集まっているスタッフは、ケインたち孤児院のスタッフが3名、調理場スタッフがウェートレスも含めて10名。宿屋スタッフが8名、後は、僕たちがエリックさん含めて6名、ギルドスタッフが6名の33名だ。
席には、余裕があるが、荷物が多い。調理道具や食品や食器、そのほか沢山だ。10世帯分の引っ越し位の荷物があった。ギルドのエントランスに所狭しと置いてある。個人の荷物もあるようだけど、それはそれぞれが持っているようだ。
ロジャーと手分けして収納していった。同じ場所に出すものを一人が持つように整理して収納していったつもりだけど、出してしまってから整理してもらおう。
12時30分には、全員バスに乗車し終わった。バスに乗った後も大騒ぎだった。フカフカの椅子や透明の窓にも驚いていたけど、最初ゆっくり動いて町を出たバスが、加速した時には、悲鳴が上がっていた。生まれて初めて体験するスピードなんだから無理もないと思う。
途中、10体ほどの魔物を弾き飛ばしてバスは進み、20分もしないで拠点に着いた。全員魂が抜けたような表情になっていたけど、拠点を警備するゴーレムにビビって目が覚めたようだった。
冒険者ギルドの出張所には、ロジャーが、預かって来た色々な荷物を下ろした。
宿泊施設には、僕が荷物を下ろして、最後に一番たくさんの荷物がある食堂に荷物降ろしに行った。食材関係と調理道具は、僕が持っていて、食器や飲み物はロジャーが担当してした。指示された場所に持ってきた荷物を全部降ろし終わった頃には3時を過ぎていた。
荷物を全部下ろした後、前回の施設づくりで作れなかったお風呂を作ることにした。家のお風呂を作ったことで、魔石に魔法陣を書き込んで、お湯が出る魔道具が作れるようになったからだ。大きな魔石がいくつもアイテムボックスの中に入っている。これを材料にすれば、大きな男湯と女湯を作ることができる。
料金を回収する人を雇うのが面倒だから、しばらくは拠点利用者は無料にしようと思う。みんなが清潔を保てれば、病気の予防にもなるだろう。
男湯と女湯を建てて、入り口や脱衣場を整えた。その後、アンディーを呼んできて、土魔術で湯舟と洗い場を作ってもらう。アンディ―は、土魔術の熟練度が上がり、固めた土をカチカチの石のようにすることができるようになっている。勿論、本物の石と比べると強度は落ちるが、陶器なんかよりも何倍も丈夫な物だ。しかも、自由な形にできる。
アンディーにお湯を貯めるためのかけ湯壺や上からお湯が流れ落ちてくる叩き湯なども作ってもらった。男湯、女湯共に5個の魔石を使ってたくさんのお湯をかけ流すようにした。魔力の補充は、1月に一度くらいで良いと思う。
冒険者が来る前に、プレオープンし、スタッフ同士で準備の確認と施設の確認をした。僕たちは、それぞれ宿舎を持っているけど、ホテルスタッフの練習の為、男性用宿舎と女性用宿舎を利用することになった。食事も、全員で食堂で食べた。食堂スタッフの練習の為だ。
拠点用の道具屋も作り、明日販売するためのリキロゲンボムを100個と保管用の保冷バッグ。お金を保管するための固定金庫などを設置した。
ケインとエミリーの移動販売は、実際に冒険者が来ていら現地で行うことにした。
冒険者による討伐開始の前日、スタッフは大忙しで準備を整えていた。全員が食堂での食事を終え、お風呂を堪能した後、僕と、ミラ姉、シエンナは、フォレストメロウの町まで戻って、明日からの冒険者受け入れの打ち合わせをした。
ロジャーとアンディーは、拠点警護の責任者として残ってもらった。拠点から町までの道はすでに暗くなっていたが、シエンナの情報共有を使えば、昼間と変わらないくらい周りの状況把握ができる。
フォレストメロウの町でギルマスと確認したことは以下の内容だ。
明日は、ギルドで契約が済んだ冒険者が30以上になったらバスに乗せて拠点まで送る。最高速度で走れまば、往復20分で済むから、契約者は町の門の前で並んで待ってもらえば良い。運転手は付けずにゴーレムバス・ブルーの自動運転で拠点まで移動してもらう。
フォレストメロウの町での出発の合図は、ギルマスにお願いする。もしも、ギルマスが無理なら事前にゴーレムタブレットで連絡してもらえば、シエンナを通して出発指示の担当者を変えることができる。
拠点の出発前に、ゴーレムタブレットでギルマスに連絡して、今晩の内に、出発担当者を登録できるように、待機してもらっていたからバスが到着してすぐに登録は終了した。出発合図の担当は、ギルマスの他、副ギルドマスターのエイデンさんと担当受付嬢のティアさんだ。皆、自己紹介無しで登録できる人だったので良かった。
明日は、12時までにギルドで登録を済ませたパーティーを拠点に運び、拠点で契約の確認と施設の使い方についての注意を徹底する。
その後、宿泊施設で自分たちの宿泊手続きを取ってもらう。それから、討伐方法のレクチャーを行うことにした。この流れをギルドの契約の時に徹底してもらう。誰も死なないためにロックリザードの討伐方法と安全に討伐するためのルールをたたき込む必要がある。
一番大切なことは、ロックリザードを行動不能にする冷却魔術を持たないパーティーは魔術具を使うか、ロックリザード数をコントロールした討伐ポイントで狩りをすることである。討伐ポイントならいざという時、救援に入ることができる。
まず、ギルドマスターから契約時にこのことを徹底的にたたき込んでもらった後、ロックバレーの拠点へ案内すると念を押した。
12時に間に合わなかったパーティーは、夕方、4時にもう一度迎えが来るからと、待つように指示してもらうことにした。歩いて行けば、途中に魔物はいるし、魔物を倒しながら歩けば、翌日までかかる距離だからだ。勿論、1度で乗り切れない人数なら、全員運び終えるまでピストン輸送を行うと約束している。
次の日の打ち合わせが終わり、三人で闇に包まれた道を、拠点まで戻った。暗闇走行の練習のつもりだったのだけど、バスの前方でバスが放つ光に反応して目だけを光らせる魔物はとっても怖かった。
フォレストメロウの町は、たくさんの冒険者で溢れかえっていた。明日になれば、もっと多くの冒険者がやってくるだろう。楽しみだ。
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