第114話 ゴブリンダンジョン
「
ロジャーがダンジョン入り口の右側で大きな声で挨拶した。すると、何もない所から、突然人が現れた。
「おーっ!レイじゃないか。どうしたんだ?C級冒険者が言ってたぞ。お前らが王都からでかい依頼貰って来たって。ロックバレーの方の依頼って話だったと思ったが…。」
このダンジョン入り口の監視をしているディーコムさんが僕に話しかけてきた。
「そうなんですけど、ちょっとだけ、ダンジョンに潜ってみたくてですね。」
「何、初心者みたいなこと言ってんだ!お前ら、もう、Bランク冒険者なんだろう。Aランクも視野に入ってるって話じゃないか。浅い階層でちまちま稼ぐんじゃなくて、最深部まで潜ってこい。」
「無駄話は、もう良い。ダンジョンの浅い階層で変わったことなどないか?」
ミラ姉が、ダンジョン探索前の情報収集に入った。王都では、初心者向けのダンジョンで、闇奴隷商人が暗躍していた。このダンジョンでも、何か危険なことが起こっているかもしれない。
「そうだな…。変わったことと言ったら、最近、少しずつダンジョンから進化したゴブリンが外に出てくるようになってきた。その都度、対処しいてるが、何匹かは、森に逃げ込んだり、ダンジョンの中に逃げ戻ったりしている。ダンジョン内のゴブリンの数が増えてきているのかもしれない。中に入るのだったら、1~2階層のゴブリン退治をしっかりやってくれると助かるんだがな。」
「分かった。1~2階は、素通りしようと思っていたけど、ゴブリンが多いようだったら、間引いておく。他に、気になることは無いか?」
「浅い階層に関しては、特にないな。しかし、このダンジョン、当初思われていたより、かなり深いようだぞ。そして、成長も早いのかもしれない。誰も最深部に到達していないんだ。」
「それなら、新しい資源調達用のダンジョンになるかもしれないな…。ギルドも忙しくなるんじゃないかな。」
アンディーが、ディーコムさんの情報に付け加えてくれた。
「いや~。フォレストメロウの町から少し距離がありすぎてな。俺たちの監視役もなかなかお役御免にならないんだ。もう少し近くに拠点があれば、このダンジョンも賑わうんだろうけどな。」
「こんなところで、世間話していても時間がもったいない。ダンジョンに入るぞ。」
「おいおい、時間がもったいないはひどいんじゃないか…。まあ、気を付けて行ってきな。それから、お前らが乗って来たそれ、幾らぐらいなんだ?俺たちも買えたら欲しいのだが…。」
「これか?ギルドで販売しているバイクは、金貨30枚だ。」
「ヒェ~!金貨30枚か…。ここの監視料2か月分近くかかるのか!何かあった時、その魔道具があれば、町までの知らせがスムーズになると思ったんだけどな…。ギルドで準備してくれないかな…。」
「ギルマスに伝えておこうか?」
「まあ、無理だろうけど、一応伝えておいてくれ。ついでに、定時報告を書きあげているから、帰りによって持って行ってくれないか。依頼料は、銅貨2枚で、ついでだから良いだろう?」
「定時報告に行かなくて大丈夫なのか?買い出しなんかもあるだろう?」
「いや~。前回の報告の時、買いすぎてしまってな。食料は、ダンジョンと森の中でそこそこ手に入るからな。今回は、買い出しの必要がないんだ。だから、頼む。」
「急がないんだったら、良いぜ。俺が預かって持って行く。」
ロジャーが引き受けるようだ。
「情報ありがとう。今からダンジョンに潜る。出てくるのは、明日の昼の予定だ。今回は、第5階層」
ミラ姉の一言で、僕たちはダンジョンに入って行く。初めてのダンジョンに少しドキドキだ。
1階層では、現れたゴブリンに、ロックバレットを撃ち込んでいった。人型の魔物に向かって攻撃魔術を放つのは少し抵抗があったが、死んでしまったゴブリンが魔石だけを残してダンジョンに吸収されていくので、命を奪っているという罪の意識は感じずに済んだ。
確かに、ゴブリンの数は多く、ゴブリンアーチャーやゴブリンマジシャンがやたらいた。シエンナがガーディ―を付けてくれてなかったら、怪我をしていたかもしれない。
「本当に、ゴブリンの数が増えていな。」
「このダンジョンは、魔素が濃い気のかもしれないわね。フォレストメロウの上級冒険者が1~2階層の魔物をほぼ殲滅してから一月もたっていないのよ。それなのに、こんなにたくさんのゴブリンが居るなんて信じられないわ。」
「このままほっとくと、ダンジョンの外に溢れて、また大きな集落を作りかねないな。」
「二手に分かれて、ゴブリン狩りをしたらどうでしょう。効率よく討伐できると思いますよ。」
シエンナが提案してきた。
「レイ、この階層をサーチして地図を描くことができる?」
「前一度やってたから、できるはずだよな。」
ロジャーは、そう言うが、それは、僕じゃないレイだ。魔力回路は、玲の物みたいだから、やってみないと分からない。とにかく言われたように、階層の通路をサーチしてみた。
「サーチはできた。今からイメージを紙に転写してみるね。」
サーチでつかんだ通路の図をアイテムボックスの中で紙に転写してみた。かなり正確な階層図が完成したと思う。
「それ、2枚作れる?」
「簡単だよ。」
ミラ姉に言われて、階層図を2枚にして取り出した。
「私と、シエンナとレイで右側の階層のゴブリンを殲滅、ロジャーとアンディーで左側を殲滅してくことで大丈夫?」
「ミラ姉のチームは、レイの攻撃魔術の練習を兼ねての殲滅作戦だな。」
「じゃあ、俺とアンディーは、できるだけ早く殲滅終了して、そっちのチームに合流するな。レイ、ビシバシ鍛えてもらえ!」
ロジャーとアンディーは、マウンテンバイクを取り出すと、岩だらけのダンジョンをすごいスピードで走り去って行った。
「私たちも出発しましょう。シエンナ、ソーディーを先頭にしてあなたは、
「了解しました。」
「レイ、ガーディ―が居るかって気を抜かないでね。ゴブリンを見つけ次第ロックバレットで殲滅よ。サーチでゴブリンの居場所確認できる?」
「やってみる。サーチ。」
「すぐそば、あの通路の陰にいるみたい。」
「ソーディー、おびき出して。」
先頭のソーディーがガチャガチャと壁を叩いて音をたてた。音におびき出されるように通路の陰から4匹のゴブリンが現れた。
僕はロックバレットをミラ姉は、アイスジャベリンを放ち、一瞬で殲滅は終った。後に残ったくず魔石を拾って先に進んだ。
ゴブリン数百匹を倒したころには、ロックバレットを外すこともなくなってきていた。サーチの精度も上がって、ゴブリンの種類もサーチで見分けることができるようになった。
「左奥にゴブリンロードがいるみたいだよ。」
「今日、3体目のロードね。こんなに上位ゴブリンがいるなら階層ボスが生まれているかもしれなわね。」
「階層ボスもゴブリンでしょうか?」
「さあ、どうだろう。ゴブリンキング位なら良いんだけどね。」
「レイ、ゴブリンロード以外にな上位種はいるみたい?」
「サーチ、…。ゴブリンソルジャーやアーチャーはいるみたい。数もかなり多い。進化種が20匹以上はいる。普通のゴブリンは100以上いるみたい。」
「後ろは?」
「後ろは、大丈夫。殲滅している。」
「この通路の奥をサーチしてみて。さっきのサーチで見つけていない隠し部屋なんかない?」
「探ってみる。サーチ、…、通路は、見つけられない。でも、なんか変だ。行き止まりのはずなんだけど、次々にゴブリンが出てくる。ポップしている感じじゃないんだよね。出て来てる感じ、出口があるわけじゃないのに…。」
「ロジャーさんたちが合流するのを待ちますか?」
「レイ、アイテムボックスの中にロックバレーで採集してきた石のブロックは残っている?」
「ちょっと待ってね。」
僕は、アイテムぽっくの中を確認した。
「300個くらいはあるみたいだよ。」
「じゃあ、洞窟型のダンジョンでやっちゃいけないことやってみましょうか。」
なんか、ミラ姉が悪い顔をして言ってきた。何を思いついたんだ…?
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