第109話 転生実験計画
学校から帰って、ランニングと筋トレを行った。帰る途中でランニングに行くと本田さんたちに見つかって、大変なことになりそうだから自重した。
家から、学校と反対側に向かってしばらく走って川沿いの散歩コースに出た。今回は川下に向かって走ってみる。息は上がらないけど、スピードは抑え気味にしておく。30分ほど走って川の反対側に回って家まで帰った。あんまり目立ってないと思う。
家の中でトレーニングをしていると父さんが帰って来た。
「今日は、早いね。」
「定時に、出れたからな。玲は、トレーニングか?」
「土曜日に向けて少し体力つけないといけなくてね。まあ、一日二日で着くものじゃないとは思うけど、筋力増強・筋力アップポーションがあれば、少しは変わるんじゃないかと思ってさ。」
「それってすごいよな。一度のトレーニングで目に見えて効果が表れるからな。父さんのお腹も少しへこんできたぞ。」
「母さんが帰って来てから詳しく話すけど、今度の土曜日、向こうからレイが来て、僕は向こうに行ってこようかと思うんだ。」
「??」
「それでさ。お土産何が良いと思う?物は持って行くことできないけど、レシピ化すればお菓子も渡せるし、着る物やアクセサリーだって渡せるでしょう。こっちの素材なんかも良いかもしれないよね。」
「ちょっと待て。向こうってどこ?」
「異世界だよ。今朝、行けるようになったんだ。新しい仲間とも会うことができたんだよ。凄いよね。」
「訳が分からん。異世界っていくことができるの?情報しかやり取りできなかったんじゃないのか?」
「今でも、情報しかやり取りできないと言えばできないけど、僕自身の情報を向こうに送って、代わりに向こうからレイの情報がやって来るって感じかな。」
「今度の土曜日、明後日ね。パートタイム異世界転生の実験してみるからさ。向こうから無事にレイがやってきたら、この世界を案内してあげてよ。きっと、ビックリすると思うよ。色々と。」
僕は、父さんに概略だけ話して、自分の部屋でパートタイム異世界転生の実験計画を日記の紙に整理しておくことにした。
『パートタイム異世界転生実験計画
日時 地球時間 9月9日(土) 午前3時頃
異世界時間 9月9日(?)午後3時頃
↓
地球時間 9月10日(日) 午前8時or9時
異世界時間9月10日(?) 午後8時or9時
地球でレイに体験させたいこと
マイクロナルドのグッデイセット
バーベキュー(?)
ドライブ
動物園
筋肉増加・筋力アップポーション
モノレールと電車
飛行場
化粧品づくり
ポーションの精錬…変化するかどうか
異世界で経験したいこと
ゴーレムバイク
魔物狩り
ダンジョン探索
ポーションづくり
レイの作ったポーションの精錬…変化するかどうか
携帯電話作り
人が乗れるドローンづくり
ゴーレムカーづくり 』
色々考えてみたけど、初めての異世界転生だからやりたいことの中から一つか二つ実現出来たらいいと思うことにした。これから、何度でも行き来することができるはずなんだから。
でも、くれぐれも安全第一だ。無理はしないことだけは、肝に銘じておこう。
母さんが帰って来て、晩御飯の後に異世界転生について話すことにした。母さんは、いつもの時間に帰って来て、晩御飯の準備をしてくれた。
「で、何ですって。ちょっと異世界に行ってくる?」
「そう。ちょっとだけね。パートタイム。レイと僕との一時的入れ替わりの実験をしたいんだ。だから、僕はいなくなるわけじゃないよ。中身がレイになるだけで。そんな実験をやってみたいんだ。これが計画書。」
「実験計画書と書いてある割には雑ね。観光計画みたいになってるじゃない。」
「そうだな。一体何を明らかにしたいんだ?異世界に随意に行くことができるかどうかか?」
「偶然だったけど、それはほぼ確定できたと思う。向こうのレイと僕が協力すれば、随意にできる。ホームスペースにあるダイアリーを同時に操作すれば、転生できる。だから、どちらかが拒否すれば絶対できないんだよね。」
「それじゃあ、あっちから来るレイ君につまらない思いはさせられないなぁ。」
「でも、あんたもあっちで頑張んなきゃ、二度と来るな!なんて言われてしまうかもよ。」
「そ…、そうだね。さっき、転生した時にシエンナなんかとっても慌てていたし…。そんなこと言われたらどうしよう。立ち直れないかもしれない。」
「まあ、あんたなら、そんなことはないでしょうけど、それよりも、実験なら立証したい仮説を立てておいた方が良いかもね。」
「立証したい仮説?」
「そうだね。玲がしたいこととレイにしてもらいたいことの中に両方自分たちが作ったポーションの精錬が入っているのはどうして?」
「それは、僕が、自分で作ったポーションを再度、精錬しても効果や効能はほとんど変わらないんだよね。じゃあ、僕がレイの作ったもの、レイが僕が作ったものを精錬したらどうなるのかなって、物質は持っていけないけど、魔力回路は一緒に転生するのか知りたくてね。まあ、僕とレイの魔力回路が全く一緒だったり、魔力回路は、異世界に持って行けなかったら同じ結果になると思うんだけど…。」
「それは、良いんじゃない。実験後の考察の方向性もあってると思う。」
「レイにモノレールや電車なんかの社会的インフラ設備を見てもらいたいのは、魔術には、イメージが重要だからなんだ。向こうの世界のインフラ整備に役立ててもらえないかなって思ってね。」
「じゃあ、動物園に行くのは?」
「地球上の生物に魔石を持っているものが居ないか確かめてもらおうと思って。」
「魔石探しね。でも、それってあんたが向こうの世界に行って魔物を狩れば、分かるようになるんじゃない?」
「そうだね。そっちの方が確実かもしれないね。」
「じゃあ、おもちゃ屋さんや家電ショップなんかも面白がるかもしれないね。異世界にはない物ばかりだろうからね。」
「それと、場所はどうするの?あなたの部屋のあなたのベッド?向こうのレイ君はどうしてもらうの?それも、確認しておきましょう。私たちの待機場所もどうしたら良いか分からないでしょう。」
「じゃあ、少し変更しよう」
『
転生実験開始時はお互いにベッドで横になっておくこと
ベッドの側には
地球 父・母が待機
異世界 誰が待機しておくか決めておいて教えて。
地球でレイに体験させたいこと
マイクロナルドのグッデイセット
バーベキュー(?)
ドライブ
動物園
筋肉増加・筋力アップポーション
モノレールと電車
飛行場
化粧品づくり
ポーションの精錬…変化するかどうか
おもちゃ屋さん
家電量販店
』
実験開始場所とベッド側での待機者の名前を加え、体験してもらいたいことに、おもちゃ屋さんと家電量販店を書き加えた。動物園にはいってもらおう。レイのびっくりする顔を写真に撮って、後で見せてもらうことにした。自分の顔なんだけど…。だったら取らなくていいかな…。微妙だ。
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