第93話 ロックバレーの拠点完成

 「お早う。拠点づくりの途中だったけど、夜警無しでも大丈夫だったわね。」


 「外と中にゴーレムたちがいるからね。安心して寝ていられるよ。」


 「さあ、レイとアンディーは仕事初めて。シエンナとロジャーは護衛ね。私は、朝ご飯作るわ。ちょっと豪華目に作るから楽しみにしてて。それからさ、アンディ―、焼き窯作ってくれない?ロックブロックは、少し余裕あるでしょう。ブロック2個ぐらいで小さめの窯で良いからさ。」


 「良いよ。上に火を入れるタイプ、それとも、下から加熱するタイプ?煙突はどうするかな…。」


 「外に作ってくれればいいよ。だから煙突は無しで大丈夫。火は、上に入れるタイプで良いかな…。下から加熱狩るタイプだと鉄板がいるでしょう?火加減も難しいみたいだし。」


 「じゃあ、ロックブロックを2個外に置いとくね。先に塀作りに行ってくる。シエンナも一緒に行く?塀の中だったら護衛は必要ないかもしれないけど…。」


 「一応ついて行きます。ゴーレム連携の練習にもなるし、斧の素振りをゴーレムと一緒にしておきますよ。」


 「正門の横の壁から積み上げるね。裏門は、小さい扉で作った方が良いよね。」


 「そうだわね。もしもの為の避難口として作っておいた方が安心よね。人が一人ずつ出入りできるくらいの大きさで作っておいて。」


 「了解。行ってきます。」


 僕たちは正門の方からブロックを積み始めた。アイテムボックスから思った場所ぴったりに出していくことが上達した。全く隙間なくブロックを積み上げていくことができている。


 僕がブロックを積んでいる間、シエンナとソーディーは、斧の素振りを始めた。

 「シエンナ…。それって、戦斧じゃなくて、木を切る斧なんだけど…。」


 「大丈夫です。魔力の通りも良いですから、戦斧としても使えると思いますよ。」


 「いや…、重すぎない?木こり用の斧なんだよ。持ち手は木だし…。」


 まあ、良いか。気にせずロックブロックの積み上げをしよう。集中・集中…。


 正門側のブロックは、直ぐに積み終わった。門は、東、川の方を向いている。北側にロックバレーの石切り場がある。一番、魔物が押し寄せる可能性があるのは北側だ。


 北側の塀には3か所ほど階段状にして、塀の上に上ることができる場所を作った。階段の場所だけは厚みが1.5mになる。魔物が押し寄せた時、塀の上に登って撃退できるようにだ。他の場所にも作った方が良いかな?後で聞いてみよう。


北の壁を積み上げ終わった時、ミラ姉が朝ご飯ができたと呼びに来てくれた。


 「さあ、食べて。頑張って作ったのよ。」


 朝ご飯にしては、豪華な料理がたくさん並んでいた。特に美味しかったのが、ひき肉と野菜を一緒に炒めてピリ辛にしたものが中に入っているパンだ。とにかく美味しかった。沢山食べた。


 「ミラ姉、朝ご飯の片付けが終わったらロジャーと一緒にロックリザード狩りに出かけて良いよ。ロジャーと一緒に片付けもやってさ。中の護衛は大丈夫なようだから、シエンナは、アンディーの護衛に回ってもらったらいいからさ。」


 「良いわね。そのフォーメーション。じゃあ、ロジャーは、この後、朝ご飯の片付け一緒にするわよ。それから、ロックリザード狩りね。」


 「了解だぜ。」

 ロジャーが親指を立てて答えた。


 「OKです。」

 シエンナも直ぐに頷いた。


朝ご飯の後、ゆっくりすることもなく塀作りだ。裏門側、ほとんど北側と同じ作りだけど、真ん中あたりに1.5mの隙間を作って木枠を入れて裏口にした。木の幅を残して、ロックブロックを加工して、石の中に木を埋めるようにしてみた。


 そこに、金属の扉をはめ込んだ。金属枠を石の中にはまるように加工したから、かなり時間がかかった。でも、こうすると丈夫で扉を開けた状態なら金属枠を付け替えることができるからメンテナンスが簡単だ。


 最後に東側の壁を積み上げて完成。そのころには、アンディーとシエンナは戻ってきていて、アンディ―は、正門側から壁の強化を始めていた。あれ?跳ね橋、上げていたはずなのにどうやって入ったんだろう?不思議だ。


 それから、僕とシエンナはゴーレムを従えて材木の採集に行った。


 森に着くと、真直ぐに伸びた木を選んでソーディーに斧で切り倒してもった。切断されると倒れる前に収納して、枝落としと乾燥、板づくり、角材づくりまで行った。ソーディーが一本の木を切るのには、30秒もかからない。とっても忙しかった。


 途中からガーディーだけに警護を任せて、シエンナも斧で木を伐り始めたからもっと忙しくなった。30分ほどで100本以上の木を材木に加工し、拠点予定地に戻った。


 まず、正門の北側にギルド出張所を作る。東屋を少し大きくして壁を付け、南側に窓と扉を付けた。内装は、ギルド職員の人たちが整えるということにして、がらんとしたままだ。裏口を作り、出張所の裏に職員用の宿舎を作った。魔石をセットして魔力を流すと結界が張られる仕組みはサービスだ。宿舎は二部屋だけ。男女別に寝ることができれば大丈夫だろう。


 ギルド出張所の隣は、酒場兼食堂になる建物だ。ギルド出張所の4つ分の大きさにした。厨房も中に作らないといけないからそのくらいの広さは必要だろう。東屋を合体した建物だから、屋根が変な形になったけど、雨漏りはしないはずだから許してもらおう。ギルド出張所と同様裏口を作って従業員用宿舎に直ぐに入れるようにした。この宿舎にも結界機能をサービスした。従業員の安全は担保しないとね。ここまで作るのに3時間以上かかった。


 北側の建物は完成。後は、冒険者の宿舎だ。男性用の宿舎と女性用の宿舎を作ることにした。各宿舎長さを50mにして、受付は、両方の宿舎を行き来できる形にした。女性冒険者の方が圧倒的に人数が少ないから、女性宿舎の方がゆったり目にスペースを取ることにした。宿泊スペースと歓談できるフロアーに壁は作るが、個室は作っていない。討伐依頼が落ち着いたら石工さんや冒険者の宿泊所に作り替えることになるだろう。


 宿舎の従業員宿舎は、女性宿舎の西側に作った。部屋は二部屋。他の職員用宿舎と同様に結界機能はサービスだ。これで、ギルド依頼の施設はすべて整ったことになる。家具もベッドも調理道具も何もないからがらんとしているが、立派な拠点になった…と思う。


 最後に、食堂の従業員宿舎の隣に僕たちの拠点を作った。いつも使っているコテージを二つ並べてつなぎ、トイレもそれぞれのコテージに作った。トイレは、スライム浄化方式だ。汚物層には、臭い結界の魔石を置く予定だけど今は、持っていない。


 早い所、スライムを捕まえてこないといけない。でも、スライムを入れると、収納できなくなるから、ここに固定すること決定だ。


 お風呂も作りたかったけどお湯を出す方法と貯めた水を外に捨てる方法が思いつかなくてやめた。


 オマケ施設として、食堂の隣に石窯を設置して屋根を付けた。僕たちのコテージのすぐ前だ。


 すべての施設の設置が終わって、僕たちもロックリザード狩りに行くことにしたのだけど、ふと困った。誰に跳ね橋を操作してもらえばいいんだ。でも、大丈夫!毎晩見張りをしてくれているゴーレム君が居ました。アイテムボックスからゴーレムを出し、跳ね橋の操作と留守番をお願いして僕たちもロックリザード狩りに出かけた。


 


 


 




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