第88話 ゴーレムとの連携
王宮から手紙が戻って来たのは、シエンナを連れて村に戻った後だった。それにしても大急ぎで、会議をしたのだろうな。また、王様と宰相閣下が暴走したのかもしれない…。
手紙には、
『ロックバレーの状況報告、大儀であった。ギルド依頼の件、王宮で討議した結果を知らせる。尚、魔術契約書を封入している故、条件に同意するときは、契約されることを所望する。尚、この契約は、王宮とアンデフィーデッド・ビレジャーとの間で交わすものとする。
1,アンデフィーデッド・ビレジャーは、1000頭分のロックリザードの皮を王宮に収める。収める皮は、鎧を作ることができる位の品櫃の者に限る。
2,ロックバレーのロックリザードの1頭討伐ごとに金貨1枚の討伐褒賞金を与える。ギルドには、1頭に付き、金貨1枚と銀貨2枚の依頼料を支払うものである。
ギルド依頼方法。
一回目の討伐依頼として金貨2400枚をギルドに支払う。依頼達成ごとに1200枚ずつ依頼料を支払い、残りのロックリザードの確認を行う。
宰相 ティモシー・ウォルドグレイヴ
財務大臣 クーパー・エヴァンズ
付則
・1000体を超えるロックリザードの皮を収める場合、1000体以降は、適正価格で買い取りを行うものである。』
正式な手紙はここで終わり、契約書が蝋封され入っていた。契約書には、すでに宰相閣下とクーパー様のサインがなされていた。
それとは別に宰相からのぶっちゃけ手紙が入っていた。
『国庫がひっ迫している。マウンテンバイクももう少し増やしたい故、提示した条件でお願いしたい。陛下も大変心苦しく思っている。頼む。
宰相 ティモシー・ウォルドグレイヴ 』
ここまで書かれてしまうと、サインしないわけにはいかない。僕たちは、パーティーとして、5人連名でサインした。シエンナは、まだお試しだからとサインを渋っていたが、この依頼に関しては、シエンナの力が必要だ。だから、サインを無理やりお願いした。
再度、王宮にドローンを飛ばした後、シエンナと一緒に草原に出た。シエンナとゴーレムの連携練習だ。
初めは、ゴーレム1体と連携する練習をする。ゴーレムに盾を持たせて、シエンナは、魔法の盾だ。シエンナの後ろをゴーレムが守り、ロジャーとアンディーが前や後ろから物理攻撃を行う。二人を受け流し、ミラ姉がいる所へロジャーやアンディーを誘導できればロックリザードも楽に誘導できるだろう。
アンディーの攻撃をゴーレムが完全に止め、ロジャーの正拳突きは、シエンナのシールドバウンスで受けて、ミラ姉の方に跳ね飛ばした。
アンディーがゴーレムを大きく避けながらシエンナに攻撃を仕掛けたが、危なげなく受け流すと、バランスを崩したアンディーの後ろからシールドバッシュで追い打ちをかけ僕の方に誘導してくれた。
「次は、ゴーレム2体との連携練習ね。前のゴーレムには、剣と盾を装備させよう。後方のゴーレムには大楯のみにしてみよう。攻撃はシールドバッシュだけになってしまうけど、あまりたくさんの選択肢があるより、シエンナの背中を守るということをメインに行動させた方がやりやすいと思うんだよね。シエンナはどう?」
「そうですね。さっきのゴーレムは、盾のみでしたが、私が思ったように動いてくれました。これだけ、思い通り連携がとれると1体でもかなり心づ用ですね。では、盾だけの方がガーディー、盾と剣の方がソーディーと名付けましょう。」
「次は、ゴーレムに魔力登録をしてシエンナとのつながりを強くしてからやってみよう。じゃあ、シエンナ、ゴーレムコアに魔力流してみて。」
シエンナは、2体のゴーレムのコアに魔力を流し、満タンにした。
「じゃあ、始めるよ。次は、ミラ姉も加わって3人で攻撃してみて。今回は、物理攻撃だけね。よーい、はじめ」
今度は、ロジャーとアンディ―もスピードを上げている。目まぐるしく動きながらシエンナに一撃を入れようと隙を窺っている。
『カキーンッ』
アンディーの一撃は、ソーティーに止められた。回り込んだシエンナにシールドバッシュで飛ばされアンディーは、僕の目の前に…。横からミラ姉がシエンナに突っ込んでいったが、それを予測したいかのようにガーディ―にシールドバッシュで飛ばされてきた。
「参った。降参だ。」
ぐるりとシエンナたちに囲まれたロジャーが降参した。
シエンナとゴーレムの連携を繰り返し練習して、日が落ちた頃、我が家に向かった。疲れた。
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