第4章 砦建築編

第85話 朝活?

 次の日、夜が明けて間もなくの時間、ブランドンさんとウィルさんが僕たちの家のドアをノックしていた。


 「お早うございます!」

 『ドンドンドン』

 「お早うございます。」

 『ドンドンドン』


 一番早く起きていたミラ姉がドアを開けた。


 「お早うございます。ブラントン様、ウィル様。あの…、今日は、どうしてこんなに早いのでしょう?」


 「すみません。早すぎましたか?皆さんが朝食を食べ終わる前にと思いまして、少し早めに町を出てまいりました。出来ましたら、ご一緒に朝食を取らせていただければと思い、宿に無理を言って、皆さんの分も含めて朝食を準備してもらってお持ちしたのです。」


 「朝食を一緒に取るために…、わざわざ。あの…、ありがとうございます。お待ちくださいね。皆を起こしてきます。」


 という訳で、僕たちは起こされて、朝食の準備をしている。王都の宿のメニューからいくつか精錬して並べて、ブランドンさんたちが持ってきた朝食も一緒に並べている。いつものテーブルだけじゃ狭いから、もう一つテーブルを精錬して並べた。勿論イスも。


 「では、皆さんお席にお着き下さい。」


 ミラ姉がホストだ。ブランドンさんたちを、席に案内してみんなも着席した。


 「ブラントン様、ウィル様、今朝は早くからたくさんのおご馳走を準備頂きありがとうございます。私たちからもほんの少しですが料理をお出しさせていただきますした。お口に合うと良いのですが…。殺風景な私どもの家ですが、ごゆっくりなさって下さい。では、いただきます。」


 「突然の来訪にもかからず、このような準備をしていただき、ありがとうございます。今日は、ご一緒頂きありがとうございます。」


 お互いに感謝の気持ちを伝えあって朝食を一緒に頂いた。


 「今日、9時に出発しようと思います。ドローンと同時に出発して、全速力で走れば、3時間弱で到着すると思うのですが。」


 食べながら、今日の予定をお互いに話した。僕たちは、朝食後、村の村長さんの所に行かないといけない。砦化の許可を見せて、協力をお願いしないといけないから。


 「では、9時、村の門の前でお見送りしますね。それから、これをプレゼントします。」


 僕は、初級ポーション入りのジュースが入った水入れを二人にプレゼントした。これを水代わりに飲みながら走れば、疲れないと思う。一袋に2ℓ程のポーション入りジュース、二つだ。


 朝食が終わって時計を見るとまだ、8時前。話をしながらゆっくり食事をしたのだけど、お二人が来た時間が早すぎた。


 僕たちは、ブラントン様とウィル様は、新たに見つかったダンジョンの視察に行くと村を出て行った。その予定があったからあんなに早く村に来たのかもしれない。


 僕たちは、村長の所に出かけた。


 「村長、お早うございます。」


 「おっ、お早う。どうした、こんなに早くから。」


 「実は、王宮から今回の働きに関してご褒美をいただきまして…。」


 「おう!それはでかした。王宮から直接ご褒美をいただくなどすごいことだぞ。よくやった。お前たちの両親たちも皆喜んでいるだろう。」


 「それで、こんな早くからそれを報告に来たのか?」


 「違います。褒美の内容について村長の許可と協力が必要なのです。」


 ミラ姉がどこかに行ってしまいそうな王宮からの褒美の話を村長との話の内容に戻してくれた。


 「それは、どのような許可と協力なんだ?」


 「まず、これを見てください。」


 僕たちは、王宮からもらった、砦化の許可証を見せた。


 「ん?これが報酬なのか?新たな依頼でなく。」


 「報酬ですよ。この村を砦化していいと言ってもらえたのですよ。しかも、ロックバレーの石材を自由に使っても良いという許可も頂いたのです。」


 「レイ、ロックバレーは、魔物しかも、ロックリザードが大量に発生して廃棄された石切り場だぞ。しかも、ロックバレーにいるロックリザードはCクラスの魔物だ。それが大量にいるということで廃棄された石切り場を自由に使って良いってどんな不可能なミッションだ。」


 「村長、ロックバレーについては、僕たちに考えがあります。勿論、冒険者ギルドにも協力してもらわないといけないことですが、任せて下さい。それで、お願いなのですが、僕たちが石を準備します。それを使って砦化する際の設計と防御壁の建設の手伝いをお願いしたいのです。」


 「石材が届いて、防御壁を組むなら、村全体で協力するさ。私たちもこの村を砦化するのは悲願だったのだからな。魔物の森からこの国を守る最前線。いつスタンピードに巻き込まれるかわからない村なのだから。」


 「俺たちは、今日からその計画を始めます。直ぐに石材を持ってきますからね。村の人たちにお話ししていてくださいよ。」


 アンディーが村長に念を押して、僕たちは、村長の家を後にした。


 そろそろ9時になる。ブランドンさんたち、間に合うかな?


 僕たちが村の門のところに行くとブランドンさんたちは、すでにドローンを出していた。


 既に、ドローンの中に出発時刻の9時を記入した紙を入れているそうだ。


 「では、9時ちょうどに出発します。お世話になりました。」


 「王宮に着いたら、王室の皆様によろしくお伝えください。チャールズ様とミーシャ様には、御用があればいつでも参上いたしますと言っていたと。」


 「承りました。必ずお伝えします。」


 「8時58分です。」

 ロジャーが時計を見て言った。


 ブランドンさんが時計を見た。僕たちもみんな時計を見た。

 「8時59分…、丁度。」


 「はい。合っています。」


 「王宮ドローン、上空で待機せよ。」


 ドローンが上昇し、待機した。


 「10秒前。…、5、4、3、2、1、出立!」


 ドローンと同時に二人の騎士は、出発しあっと言う間に小さくなった。


 僕たちは次にすること、ロックバレーに行って、魔物の調査をして冒険者ギルドに魔物討伐の依頼を出すことだ。


 ブランドンさんたちを見送ってすぐ僕たちロックバレーに向かった。王都のギルドで購入した地図にロックバレーは載っていたから、この村から道に迷わずに行くことができた。


 ロックバレーに近づいてくると、魔物の影が濃くなってきた。人が石切り場に近づかなくなって、その傍の草原にも魔物が増えて言ったようだ。魔物だけでなく草原の獣も影が濃い。餌が豊富なのだろう。


 僕たちはというか、僕以外の3人は、嬉々として肉が取れる魔物を狩っていた。あっと言う間に数十匹の魔物を狩って僕が全て収納した。一番後ろからついて行って狩られた魔物を右に左に拾って回った。


 ロックバレーについた頃には、狩った魔物の数は100匹になろうとしていた。


 (この数の魔物をどう処分するんだ。ギルドで引き取ってくれるかな…。)


 「三人とも、ちょっと狩りすぎじゃない?フォレストメロウのギルドだけじゃ引き取ってもらえないかもしれないよ。」


 「それなら、ドローンで王都の冒険者ギルドに送ればいいじゃないか。きっと買い取ってくれるよ。」


 「さあ、ロックバレーに入るわよ。ここからは、ロックリザードが大量発生しているらしいから、気を付けてね。何体か狩って冒険者ギルドにいくらで買い取ってくれるか聞かないといけないからね。できるだけきれいに狩ってよ。」


 ミラ姉が、指示を出す。チーム編成は、僕とアンディ。ロジャーとミラ姉だ。以前、ダンジョンでロックリザードを狩って時と同じ作戦で行く。僕とミラ姉が、ロックリザードを冷やして動きを止める。アンディーとロジャーが首を切り落として止めを刺して僕とロジャーが収納と言う流れだ。


 今日は、それぞれ10体くらいずつ狩ってギルドに持って行けば、査定平均を出してくれるだろう。


 「じゃあ、狩りを始めるわよ。はじめは、お互いに離れないようにしましょう。1体狩るのにどのくらいの時間がかかるかわからないからね。」


 「「「了解。」」」


 初めに会敵したのは、先行していたロジャーとミラ姉。ミラ姉がアイスジャベリンで氷漬けにして、ロジャーが首を落とした。15秒ほどで収納が終わっていた。頭も収納していたから少し時間がかかったようだ。


 次は、僕たちに譲ってもらった。


 僕が、リキロゲンボールで動きを止めてアンディーが大剣で首を落として収納。僕たちは、5秒。手を触れなくても収納できるのが大きい。その差だ。


 「一緒に行動しなくても大丈夫なようね。」


 「15分後に入り口の広場に集合しましょう。」


 「「「了解。」」」


 「アンディ―、後ろに乗せて。でも、安全運転で頼むよ。」


 二人の利用のマウンテンバイクに乗り換えて、共同作戦だ。アンディ―のソード・ショットを試してみた。一本のソードを発出する魔術だ。


 「リキロゲンボール」

 「ソード・ショット」

 「収納」


 見つけたら3秒で収納まで終わった。次のロックリザードを見つけるまでが一番時間がかかった。収納したらアンディ―のソードだけをアンディーの右肩の上に出してあげるとソード・ショットの準備が完了だ。


 一度だけ順番を間違って、リキロゲンボールを撃つ前にソード・ショットを撃ってしまったらロックリザードに弾かれてしまった。ソードが飛んで行って、もったいなかった。


 15分後に入り口に戻っていくと、ロジャーとミラ姉は、まだ戻っていなかった。僕たちが狩ったロックリザードは、75体だった。


 しばらくしてロジャーとミラ姉が戻って来た。二人が狩ったロックリザードは、30体だった。合わせて105体のロックリザードが手に入った。


 肉は、さっぱりとして美味しいそうだ。皮が、高価に取引されていると聞いた。冒険者ギルドに持って行って査定してもらおう。


 「三人とも、帰りには、魔物を狩らないでよ。これ以上狩っても無駄になってしまうかもしれないからね。」


 三人に釘を刺して、フォレストメロウに向かってバイクを走らせた。


 今日は、早朝から働いたなぁ、朝食からイベントがはじまったし…。


 フゥー、なんか色々あった。









【後書き】

第4章 始まりました。王都依頼編、長かったです。

ネタバレになるかもしれませんが、この章で新しい仲間が増えます。

お楽しみに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る