第29話「撃ったあとの後始末……」



「おら、てめ! どこ行こうってんだ!!」




 ゲシッ!!




「うぎゃ!!」




 虫みたいにコソコソ逃げ出そうとしたアグニールのケツに一撃くれてやり、肩をグルグル回すライト。


 真似してヤミーもグルグル回す。




「だから、待てつってんだろ!!」


 そこにすかさずツッコミを入れるメリザさん。


 だが、さすがにこれを邪魔されるいわれはない。




「なんですか? こればっかりは邪魔しないでほしんですけどねー」




 踏み。




 アグニールの服の裾を踏んづけ、逃げられないようにしつつ、メリザさんに詰め寄るライト。


 その剣幕にメリザが驚くかと思いきや、


「いえ、邪魔する気はありませんよ?……ライトさんのやらかしは別にして、」




 ごほんっ




「……アグニール氏にも聞かねばならぬ事情が大いにありそうですしねぇぇー……」


 ジロリとにらむメリザの視線にアグニール達が震えあがる。


 どうやら以上に、思い当たるところがあるのか、キョドキョドと視線が泳ぐ。




「ほぅ、なら──」


「なら──じゃねーよ!! 馬鹿!! おめーはマジで馬鹿だよ!!」




 はぁ。とため息一つ。




「いいですか?……いくら、こいつらがやらかしたからと言って、街中で魔法ぶっ放していいなんて理屈、あり得ないでしょうに?」


「…………ま、まぁそうだけど」




 痛いところを突かれたライト。


 実際、徐々に冷静になるにつれて、やらかし過ぎたことに気付いて冷や汗を流す。


 さっきまではどうでもいいと持っていたが、これで冒険者ライセンスをはく奪されても困る……。




「さて、というわけで冷静になったところで────……事情を話してもらいましょうか」


「む……。わ、わかった」




「わかった──だぁ?」




「……わかりました」




 メリザさんの絶対零度の視線にすばやく謝るライト。


 もとの素直さが帰って来たようだ。








「で──お前らだよ」








 パチンッ! メリザが指を弾くと、ギルドの用心棒をしている冒険者がぞろぞろとやってくると、アグニール達を拘束していく。


 そして、もちろんライトもだ。




「……へ? 俺?」


 え? 俺も何もやってない────……いや、あるわ。




「そーだよ、やらかしまくってんだよ──とりあえず、両者ともに拘束します!」




 神妙にお縄につけ!!




 カカァ!! と、効果音付きでメリザさんが言い切ると、無事、屈強な冒険者にライト達は拘束されることになるのだった。

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