第27話「ギルドでも知ったことか!!!」

「レーザー叩き込んでやらっぁぁあアアアアアア!!」

「んだぁぁぁあ、おらぁぁあ!」


 ギルドで退治した因縁の者たち。


 ならばあとは激突するのみ!


「やってみろや、雑魚がよぉぉおおお!」


 だから──……ガンッ!! と負けじとライトの突き出す指先に頭突きをかますアグニール。

 レーザーの恐ろしさを知らないアグニールからすれば、あたり前の反応だ。


 そりゃそうだろう。

 なにせ、アグニールどもは、いまだにライトの属性が光だと思い込んでいるのだ。


 そうとも!

 だらか、アグニールもいっそブチかましてこいと言わんばかり!


 ……ふんっ。


 ならば結構!

 ならばいいだろう!


 ならば、死ね!


(……上等ぉぉぉおお!)

 ならばッ、みせてやろうじゃないか、攻撃力MAX級のレーザーの威力をぉぉおおおおお!


 すぅぅぅ、

「ドたまに、ぶちかましてやるぁぁぁああああああああ!」


 あああああああん?!


「レィーダァーだぁぁ?」


 はっ!


 光属性ごときが、

「──かなうけねぇだろうがぁぁぁああ!」

 ゲェェェエーハハハハ!! とゼロ距離で笑うアグニールに対して、ライトは!

「だったら……」


 ジャキンッ!!


「──だったら、試してみろぉぉぉおおおおおお!」


 光属性のその先のぉぉぉおおおお!


「……このレィザァァァッァアアアアをぉぉぉぉおお!」


 グリィィイ! と、頭突きをかまるアグニールのドたまにゼロ距離で指でっぽうを突き付けると、指先が凶悪に輝く!



   ……キュィィィイイイイ──────!




 大量の衆目のなか、ライトの指先が光り輝き────アグニールの醜悪なその面に!!


 ィィィィッィィィイイイイイイイイイイイイン──────!!



 チャージ……。

 完了────……しからばっっ!




   ……撃つッ!


  撃つッッッ!!




「撃つッッッ──────発射ぁぁぁぁぁぁあああああファイエーーーーーール!」……カッ




  ドキューーーーーーーーーーーーーーー……




「……ちょわぁぁあ!?」


 なにしてんのあんたぁっぁああ?!


 ……と言わんばかりに、ぱぁん!! と反射的にライトの腕をカチあげるメリザ!!

 その間0.5秒──!


 ジュウゥ♪ と一瞬だけ、アグニールの額と前髪が焦げるいや~~~~な匂い。


 ──それはもう、間一髪。

 …………いや、紙一重。

 もはや、刹那。


 そう。ギルド職員の勘というか、何というか────。


 とにかくやばい気配を感じて、とっさの動き!!

 それが良かったのか悪かったのかはさておき、

 情け容赦ない一撃をアグニールにぶち込もうと、魔力を放出したライトのレーザーが、




   ……ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン♪



 と、余韻を残して、天井に一直線!!!


 そのまま、


 ズドォォォォォオオォオオオン……!


 と大爆発し、

 オゾンの香りとともに、周囲にムワァッァアア……! と高温を振りまいた!


 その威力!!

 威力たるや──。


「な、な、な、なななんん……!」

「ち……」


 ドスンッ! と、腰の抜けたアグニール。


「生きてやがる……」

 総舌打ちするライトの眼下。

 そこには、ギリギリと直撃を躱せたアグニールのへたり込んだ姿。

 どうやら、かすったらしきレーザーが前髪と頭頂部を焦がして……いや、溶かして、禿げ頭にしただけで済んでいる。しかも、残る側頭部は、アフロ状態……!


 はっ! 運のいい野郎だ……。

 

 呆然自失のアグニールと、腕をカチあげたまま硬直したメリザさん。

 そして、ボケーっとしたサーヤやクッソや、その他モブの皆さんに──もとから、ぽけーっとしたヤミーがひとり。



    しゅぅぅぅうう……。



 遥か高空。

 ギルドの天井の大穴を開けて、昼下がりの青空には、レーザーが立ち上っていった不自然な雲が一筋渦を巻いている。


 そして、今更ながら音を立てて、間抜けな白煙を立ち上らせる屋根だったものと、カラカラとそれが落ちてくるころにようやく、



「な、なん、なにをしたぁぁああああ!」



 まるで、スポットライトのように、アグニールめがけて差し込む昼の陽光がサンサンとその禿げ頭をを照らし出した。

 禿げとレーザー……。



 それは、一種神々しくも見える光景。



 腰の抜けたアグニールとキラリと光る頭頂部、

 そして、指先からキラキラとレーザーの残光を纏うライト。


 まるで一枚の絵画のごとくそれ!!



「ふんっ…………外したか」


 ジロリ。

 腕をカチあげて直撃を逸らしたメリザを反射的に睨むライトであったが、ふぃっとし視線を戻してアグニールを三度みたび見落とす。


(つくづく、運だけはいい野郎だ)


 ……最大出力でぶっ放したのに、ほぼ無傷とはな。おかげ、ライトの魔力は枯渇寸前だというのに──。

「ま、」

 もっとも、それでも十分に高威力のレーザーはまだまだ撃てる。


「それだけのこと」


 で──……?


「何をしたかってぇ?」


 ……は!!

 そんなもんッ──レーザーぶっぱなしたに決まってんだろうがぁぁぁあああああ!!



  ──ジャキィィン!!



 再び指でっぽうの先に魔力を収束!

 一発で終わりなんて誰が言うかよぉお!


「トドメぇぇぇえ!」

「ぬわにぃぃいいい?!」


 何驚いてんだクソが!──逃がすかボケ!!

「一発で終わりと思ったら大間違いだぜ」


 そうとも!

 魔力ならある・・・・・・ッ──。


「ヤミー!」


 ……ばっ!


「ん?」


 酒場の料理の匂いにつられていたヤミーが、ポケ~っとライトを振り返るが、勢いよく差し出される手に気付くと満面の笑みでそこに飛び込む。

 まるで、ライトの手の先こそが自分の居場所とばかりに!


「──あとで、好きなだけ飯おごってやるぜ!!」

「うん!」


 よし……いい子だ!!


 そして────……!

「──お前らは悪い子だよなぁっぁああああああああああ!!」



 アグニーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーール!



 「人様をよぉ、

 「ダンジョンによぉ、

 「置き去りにしておいてよぉ、

 「のうのうと報告してんじゃねーーーよぉぉぉおお!!」



 だから、悪い子らには、

 レェイザァッァアアアを────発射ぁぁぁああああああ!!



  ──キュィィィィィイイイイイイン……!



 ジャキーーーンッ!


 第二弾装填よしッ!

 そして、指でっぽうの先端にアグニールの顔を照準する。


 あとは……。


 目標捕捉!!

 標的、アグニールとその取り巻きが二匹!!


「……そ・の・ま・ま・死に晒せぇぇえええええええ!」


 ウィィィイン!!

 インインインインインインンンンンンンンン……!


 これでもかというくらいに収束していく光の束!

 まるで、太陽。……指先に灯った太陽だ。


 その熱量と魔力にさすがのアグニール達も顔面蒼白!

 なにより、さっき躱せたとはいえ、その威力を目の当たりにしているのだから当然だ!


「ちょ、ちょ……! な、ななんんなんだそりゃ?!」

「や、やばいわよ!! あれはやばいって!」

「な、何か知らんがまた来ますよ!! きますって!」


 あわわわわわ。


「はっ!」

(……今更慌てても遅い! もう外さねぇぞ、アグニール!)



  ──ィィィィィィィィィイイイン!



「ど、どどど、どうする?!」

「そ、そりゃぁぁ!」

「に──」


 は!


「逃がすか、ぼけぇぇぇええ!」

 その脳天にぃぃい!



 ──発射ぁぁぁああッ!



「ひぇぇぇええ! 来るぞぉぉお!」

「ぎょぇぇぇええええええええええ!」

「こうなったもう──────」



 バ、バ、バ、



「「「バリアーーーーーーー!!」」」


 ブゥゥン!! × 3


 そう言うや否や、

 突如、青みがかった透明な壁のようなものが3人の前に現れる。

 それは、アグニールは無色、サーヤは赤、そしてクッソ神父は黄色──。


 三つそろってアホ────じゃなくて、青!

 青い障壁!


 ……そうとも!

 これぞ、魔術師系統の汎用スキルその2!!



 魔法障壁バリアーであるッッ!!



「はっはぁぁああ!──どうやら、光魔法に攻撃魔法が加わったらしいな、ライト!!」

 だが、それがどうした!

「見ろッッ! Aランクパーティの完璧なるこの布陣を!」

 これこそ、魔力譲渡と同じく、魔法使いなら誰でも使える対魔法障壁にして、魔法攻撃の唯一にして完璧な対抗手段!!

 これがあれば、そんじょそこらのへぼ魔術師くらいの攻撃なら完璧に防ぐことができるうえ、

 たとえ上級の魔術師の上位魔法相手でも、注ぐ魔力次第で、その対魔法防御を向上させる────ある意味上級者用のチートスキルなのである!!


「はーっはっはっは! どーだぁあ! みたかぁあ! これがぁっぁああああ、このアグニールの実力だぁぁあ!!」


 そして、知れ!

 実力の差をぉぉぉおおおおおおおおおおお!


「「「うーーーーーおりゃっぁぁあああああああああああ!」」」


   ──バリアー全開ッッッッ!!


   俺が……俺たちこそが、

  「「「──『銀の意志ズィルバー』だぞ!」」」


 そして、知れ! クソ雑魚! Aランクパーティに実力を……アグニール達に魔力の合計、3000オーバーを!!


 つまり、当然、このバリアーンの魔法防御力も3000オ……────ドキューーーーーーーーーーーーーーーーーーーン♪





     バリィィィイイイン!!!!!!





「どわぁっぁあああああ!」

「あっちぃぃいいいいい!!」

「ぎゃぁぁあああああああ!!!」



     ──ボッカァッァァアアアアアアン!!



「は、」

「え、」

「ごふっ、」



 あっさりとぶち抜かれた、防御力3000オーバーのバリアー(笑)。

 その砕かれたバリアーの眼前に仁王立つのは指先だけを突き出したライト。


 一発。

 たったの一発。

 もはや、一発という定義。


 最初に位置から一歩も動かずアグニール達を狙撃したライトがニヒルに笑う。




「レーザーの攻撃力は100000だっつの」




 そのまま、レーザーの残光を灯した指先に「ふっ」と息を吹きかけた────。

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