第15話

 森の中はすごい静かだ。どのくらいかっていうと、ギリギリ呼吸も聞こえるくらい。


「何も居ませんね…」

「まあ、龍がいたらこうなるんじゃない?」


 レミリアが不安がっていたから、気休めになればと言ってみた。


「普通の森ならばそうですが、この大森林では滅多にありませんぞ?ロイ様」


 余計な一言だぞルドルフ。レミリアがさらに怖がるじゃねぇか。


「大丈夫だよレミリアさま」

「いざとなったらロイさまに担いでもらえるよ」


 エラとエリって、若干俺の扱い雑な気がするんだよね。


「ロイ様が大変じゃないですか…」


「大丈夫!女性は大体羽毛より軽い!」

「そうですぞレミリア様!!ロイ様ほどの男であれば、なんてことはないのですぞ!!ガハハハ!」


 レミリアは優しい。聖女超えて天使超越してもはや女神くらいには。だから言い切ってやるのが大事だ!


「むぅ!ロイ様だけ良い格好させませんよ!私もレミリア様を運びます!」

「レミリアさまは物ってこと?」

「はっ!?ち、違います!違いますよレミリア様ぁ!」


 エラとエリはよくテラを揶揄って遊んでる。仲が良いよねほんと。


「わかってるので落ち着いてください!エラも揶揄わない」

「はーい」


 レミリアはママ。はっきりわかんだね。


「はーいみなさーん。そろそろ氷塊が出てくる深層ですからねー。気を引き締めてくださーい」


 テッドが気の抜けた感じで報告する。


「もうそこまで進んだの?速いねー」

「魔物も動物もいませんからねー」


 メルトとテッドって、実はできてんじゃないかってくらい仲が良いよね。同級生だからって言ってたけど、それだけじゃないな?


「ヘルさん、そろそろ起きてください」

「んぅ…もう少し…」

「ダメですぞ?」


 ルドルフがヘルを起こす。実は魔法部隊長な見た目美少女のヘル。性別不詳だし、歳も分からん。わかるのは寝るのが好きなことと父様が子供の時から魔法部隊長だと言うこと。実はドラゴンなんじゃないかって疑ってる。


「この氷塊……レミリアの魔力の気配がする…!」


「きも……なんでわかるんすか?」


 おうロットテメェ喧嘩か?


「じゃあ、やっぱりレミリア様の魔力で孵ったドラゴンで間違いなさそう」

「警戒を怠るでないぞ!!」


 ランスは、いつもはチャラいけどいざって時は頼りになる。あとレオン団長、声デカすぎっす……耳キーンなった。




 進んでいくと、氷塊の数が徐々に増えていき、温度も下がっていく。


「うぅ…さむい…」

「大丈夫ヘル?暖房の魔法使ったら?」

「暖房じゃなくて、保温だよ…ロイ様…」


 寒さでやっと目覚めたヘル。

 保温の魔法とは、その名の通り温度を一定に保つ魔法。俺は冬は暖房、夏は冷房の魔法って呼んでる。


「私もかけて欲しい!ヘル様!」

「あ、俺も頼んで良いっすか?」

「こき使おうとしないで…エラちゃんとエリちゃんに頼んだら…?」


 メルトとロットがヘルを便利に使おうとする。あいつら、敬意は払うけど舐め腐ってる奴らだからな。そして、ヘルは面倒がってエラとエリにぶん投げた。


「まかせろ」

「よゆー」


「「《保温》」」


 エラとエリが持ってる杖を掲げ、全員に魔法を掛ける。さすが、年齢の問題をクリアしたらブルーローズ家の魔法部隊長になれる2人だ。


「よっ!流石未来の部隊長!」

「天才美少女双子!」


「どや」

「ふふん」


 こいつら仲良いな…


「あ、くる…」


 ヘルがそう言ったと同時、障壁が張られそこに何かが衝突する。


「でましたな、ドラゴン!」

「皆の者!!戦闘態勢!!!」


『ギャアアアアアアア!!!!』


 痛そうに鼻抑えてる…

 俺とレミリアの口が、同時に開く。


「「かわいい」」


――――――――――――――――――――

4000pv行きました!まじ卍

これからもよろしくお願いします。

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