第8話

 合同訓練当日。めちゃ広いロッシュ家うちの訓練場に、2つの領地の騎士団が集まっていた。全員じゃなくて、どちらも半数ずつとはいえ、それでもまだまだ余裕がある訓練場。いつも広いと思っていたが、あまりにも広すぎる。

 あまりの広さに恐れ慄いていると、後ろから声をかけられた。


「ロイ様!おはようございます、今日はいい天気ですね」


「そうですね。晴れてよかったですよ」


 我が愛しの婚約者さま(まだなってない)からのご挨拶だ。

 頭を撫でて泣かれちゃった時を境に、心を開いてくれた気がする。一緒に魔法の鍛錬をしているから、少なくとも仲良くはなってると思う。


「皆の者ぉ!今日は晴れだ!つまりいい日だ!だから、不様を晒した奴は基礎トレーニング10周ダァ!!!」


「「「押忍!!!!」」」


 凄い気合が入っているブルーローズ公爵家の騎士たち。空気が震えた気がしたんだが。


「さて、向こうは暑苦しく喝を入れいるが、こちらは普段通り気合を入れて行おう。それと、不様を晒した奴は基礎トレーニング15セットだ!」


「うぇ!?なんでこっち多いんすか!」

「こっちも暑苦しいじゃないっすか!」

「横暴だ!」

「ふざけるなぁ〜!」


「黙れぃ!口答えは5セット追加だ!」


 いつも通り茶々を入れつつ、文句垂れつつも指示に従う我が家の騎士たち。いつも通りすぎる気がするんだが?

 両者とも、仲が良いみたいで一安心だ。


「ルドルフ殿!今日は、良い一日にしましょう!」


「そうですな、良い一日にしましょう、レオン殿」


 ムッキムキなブルーローズ公爵家騎士団のレオン団長と、細マッチョな我が家の騎士団の団長ルドルフが、笑顔で握手をしている。

 持ってる武器が見た目の印象と真逆だなこの2人。レオン団長は短剣で、ルドルフは大剣だ。


「僕たちも、気合を入れますか」


「そうですね!レオン団長たちに負けないように、頑張りましょう!」


 体の前で両手をぐっと握って、そんなことを言うレミリア。ぐうかわ。


 基礎トレーニングから始まった合同訓練。


「HAHAHAHAHAHA!!!」

「気合を入れろォ!!!」


「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」


 基礎トレーニングの後は団長二人対その他。

 ギャグマンガみたいなぶっ飛ばされ方してて可哀想になってきた。


「どうされました?ロイ様」


 こっちを向いたレミリアが聞いてくる。


「いえ、何でもありませんよ」


「そうですか?」


 そう言いながら、寸分違わぬ俺の氷像を作り出すレミリア。


「完璧にできませんね…」


 寸分違ったらしい。どこが違うんだろ?わかんね。

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