第9話変身

ミステリー研究会のマネージャーの1年生、吹上ひとみは今日も部室の掃除をしていた。

マネージャーは、近所の住民からの迷い猫などの捜索願いを山本山本高校新聞の端のミステリー研究会の電話番号で仕事を募り、依頼書を作成するのが仕事である。

今日の吹上はいつもと違った。

メガネからコンタクトレンズに変えたのだ。


「オイッスー」

德重が現れた。

「お疲れ様です」

「……君、だれ?」

「吹上です。メガネからコンタクトに変えました」

「いい、実にいい」

「そうですか?嬉しい」

実は、吹上は德重が好きなのだ。ミステリー研究会に所属しているのも、德重の側にいる事が出来るからである。


「德重先輩」

「なんだ、吹上」

「じ、実はわたし、德重先輩の事が……す、す……」


「おやおや、お熱いですなぁ~」

吹上の天敵、黒川だ!

「貴様は誰だ?」

「おい、黒川。ひとみちゃんだよ。イメチェンしたんだ」

「な、なんて事だ」

「先輩、どうしたんですか?」

「ひとみちゃん、オレの尻をそのモップでおもいっきり殴ってくれないか?」

「……本気ですか?」

「もちろん、本気じゃよ。さぁ、乙女よおもいっきり」


ドゴッ!


バタッ。


黒川はこめかみを殴られ気絶した。

「ひとみちゃん。さっき続きなんだけど」

「わたし、德重先輩が好きなんです」

「……ぼ、僕もひとみちゃんが好きだよ」

「内緒にしましょうね」

「あぁ、特にコイツにバレたら僕らは破滅だ」


「ひとみちゃん」

「はい」

「今日は一緒に帰ろうね」

「はいっ」


2人は手と手を握りあった。

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