第7話桜山のモテ期

その日の登校は、桜山と白鳥が手を繋いでいた。

あの、白鳥が桜山のどこに惚れたかは解せぬが、桜山はこの山本山高校のトップレベルの美少女を彼女にするとは自分でも信じられなかった。

男子は手を繋いで登校する2人を羨望せんぼうの眼差しで見たいた。


「桜山君、また、放課後ね」

「うん」

「じゃ~ねぇ~」


「おっと、裏切り者の部長。朝からお熱いですなぁ。この巨チン君」

黒川が牛乳屋さんのコーヒーを飲みながら言った。

「うるせぇ。ひがむなよ。あっちから、僕を選んだんだぞ!」

「やい、部長。オレのクラスの和田由美から手紙を預かっている。ほらっ」

桜山は黒川から手紙を受け取った。


「どうせ、ブスだから振るんだろ?今日の部活はオレに任せろ。和田の相手しなよ。ブスの。そして、浮気がバレて白鳥ちゃんと破局しやがれ!」

「うるせぇ。しっしっ」

桜山は野良猫を追い出すかのような仕草をし、黒川去っていった。

そして、トイレでこっそりと手紙を読んだ。

内容は、3年生の石神純子が書いた手紙であった。

桜山の事が好きらしい。石神と言ったら爆乳の美女だ!

何故、僕を……。

そして、手紙の封筒の中にコンドームが1つ入っていた。

桜山は理解出来なかったが、放課後、校舎の屋上に行く事にした。


「黒川、手紙渡したか?」

徳重はあんパンを食べながら黒川に尋ねた。

「もちろん。この計画は必ず成功する。石神先輩にオレらで集めた2万円を渡したら、1発位はエッチしてもいいってよ。それを、オレらが録画して、白鳥ちゃんに暴露する」

「黒川、やっぱりお前はクレバーだな」

「グフッ。グヘヘヘ。これで、桜山も終わりよ」

「……な、仲間で良かった」


放課後


誰もいない屋上で、桜山は石神を待った。しばらくして、石神は現れた。

「桜山君。手紙読んでくれた?」

「も、もちろんです」

「わたし、チンチンの大きな男しか興味無いの。桜山君は大きいんだよね?」

「ま、まぁ~。人からは言われます」

「わたしと、ここでエッチしよっ?」


「徳重、いよいよだな?録画開始だ!」

「ラジャー、黒川軍曹」


「ちょっと、何してんのよっっっ!アンタ達っ。由美ちゃんから聞いたわよ。アンタ、2万円で雇われたらしいわね?」

白鳥が現れた。

「ガキは黙ってて。わたしだって、桜山君の事が好きよ。最初は、遊びのつもりだったけど、この子なんか母性本能をくすぐるのよねぇ」


桜山は、うぁぁぁ~と、叫び屋上から走って部室に向かった。


そして、黒川と徳重も2万円が吹っ飛び、うぁぁぁと叫んだ。

「とりあえず、今の桜山君の彼女はわたしですから」

と、石神を1人残し白鳥は去って行った。

バカ2人は、

「石神先輩、僕らとどうかな?」

「ブサイクには興味無いの。ごめんね」

石神も去って行った。


残された2人は、項垂れて部室に向かい、部屋の隅っこで体育座りして、『ウォーリーを探せ』のページを捲っていた……。

因果応報とは、よく言ったものだ。

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