第三話
一つは、親友である――
もう一つは、親友の姉の屋敷――
二つの屋敷、どちらかに向かうことになるというのは。都でかなりの問題が、現していることになるからだ。
弟、よりも。上品なのか? 下品なのか? 見る者次第で変わる微笑みをされた。
そして、
姉弟よりも飄々とした微笑みができる人物からは、「何かと便利ですよ。
そんなことを思い出し考えながら
壮麗な建物が。
巨大な石柱がそびえ立ち、重厚でありながら優雅な曲線を描いている。まるで永遠に存在するかのようなこの石柱は、見る者に圧倒的な威厳を感じさ。その間に設けられた木造の門は、精緻な彫刻が施されており、細部まで丹念に作り込まれていた。門の両側には桜の木が植えられ、花が咲き誇る季節になると、石柱の無機質との対比でより美しさが映えた。
今は花を失っているが、その枝を茂らせ広げ、優しい影を訪れる客人に投げかけ迎えている。
「ぉ、おして……だ、だいじょうぶ。な、の、か?」
門の横には、小さな張り紙が掲示されていた。
そこには、殴り書きで【おしてみて】と文が。一瞬で、本能的に危険だ! と博雅は察知した。
だが、これを押さないで。名を叫んで呼べば、ここの主は答え返してくる。しかし、あと、あと、が怖い――すねられる。
勇気を出し、取り付けるられている真鍮で作られた箱の出っ張っている部分に、右手人差し指が触れようとしたとき。
「
「ぃ、
救いの執事が登場した。
精巧に仕立てられた黒いスーツを身にまとい、その上から白いエプロンを着けた。
スーツは細部にわたって丁寧に作られており、シンプルながらも上質な素材が使われているのが、素人でも分かる。ジャケットは細身でスラリとした体型を強調しながらも、正確に採寸されているため動きの邪魔をすることはない。シャツは清潔な真っ白で、襟元には落ち着いた紺色のネクタイが結ばれいた。
エプロンは同然、白い。デザインよりも性能重視。しっかりとした素材で作られており、必要な各種小物が収納できるポケット付き。
髪はセミロングで、銀色の髪が優雅に流れ光を受けて美しく輝く。顔立ちは繊細で、どこか気が弱そうな印象を相手に感じさせるが、その瞳は強く優しく温かさが宿っていた。
ここの屋敷に訪問する客は、人外魔境の力を秘匿する必要がある。強者のなかの強者たち、それを相手にするのは、並大抵のことではできない。
洗練された執事の姿とは裏腹に、背には風呂敷。その中には新鮮な野菜が詰め込まれ、色とりどりの野菜が溢れ出し、鮮やかな色彩が目を引く。
さらに両手に持ったカゴの中には、輝く鱗、川の恵みである鮮魚が入っていた。
さすが、悪の陰陽師の世話係と称される男――蘆屋一文字。
「それ。触れると感電死しますよ」
「ぇ」
「
「一文字殿。帰ります」
「帰しませんよ。手伝ってもらうま、で、は」
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